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カテゴリ:思い出(社会人・海外)
お父さんはお母さんが作るお弁当を毎日会社で食べている。いわゆる愛妻弁当というやつである。そのため会社で頼んでいるお弁当屋さんを使うことはほとんどないのだが、毎日のようにお弁当を頼む社員にとっては、お弁当屋さんの質と値段はかなり重要である。
お父さんが入社した当初は、会社近くにあるローカルの食堂にお弁当を注文していた。日替わり弁当だけしかないのだが、ご主人が山菜を取ったり港町まで魚を仕入れに言ったりする人で、季節の料理が使われていてなかなか好評ではあった。唯一の欠点は、ご飯が自分の田んぼで作ったお米で、精米機もすべて自前だったのだが、ご飯に小さな石がよく混じっていたことだ。突然口の中でガリッと硬いモノに当たる。近くの人が振り向くほどの音が出ることもあった。
そのお弁当は、高齢による食堂の閉鎖で注文できなくなってしまった。その後、会社近くの農家の嫁グループが作るお弁当を頼むようになった。こちらは日替わり弁当の他にカレーなどもあって、値段も安かったので社員には好評だった。 ところが好評で他からも注文が殺到したこと、初期価格を安く設定してしまったことで、売れれば売れるほど赤字になるお弁当になってしまったらしい。地元農家の奥様達だったので、老人宅への昼食として人気があったことで、値上げをすることができずに閉店することになってしまった。
その後、少し離れた仕出しの会社に依頼したが、日替わりという名の揚げ物の種類が変わるだけのようなお弁当を1年ほど依頼したが、これならコンビニ弁当が良いという社員が増えて、1日1個や2個しか注文がない状態が続いてしまい、結局仕出し屋から利益にならないと断られてしまった。往復1時間以上かけて配達している分でやはり赤字になってしまうようだった。
結局今はチェーン店のほっかほっか亭のお弁当を注文している。以前は配達をしてくれなかったのだが、ライバル店の消滅によりそれなりに量を受注できるようになり、配達しても利益がでるという判断になったようだ。 専門のお弁当屋さんなので、今までに比べてメニューも豊富であり、何よりもハズレと思う弁当が無いことが社員にはウケている。会社としては、来客の昼食に使うにはちょっとということになるのだが、ほっかほっか亭になってから若い社員の利用が増え、毎日それなりの数を注文している。
お父さんもごくまれにお母さんが寝坊したときなどに食べることがあるが、たまに食べるととても美味しい。いつもの愛妻弁当よりも油が多く塩分濃度も高いせいで、とても美味しく感じる。3日連続食べろと言われたらちょっと嫌ではある。カロリーも高めなので、食後に眠くなるのも困りものである。
そして今、ほっかほっか亭も店を後継者がおらず、店をいつまで続けるかわからないという話が出てきている。過疎化しているお父さんの会社周辺では、これ以上お弁当を頼める店があるかどうかとても心配である。 ほっかほっか亭の存続を望みたいが、閉店するとしたら赤字とかではなくオーナー及び店員の高齢化であるため、無理して頑張ってくれとは言いだしづらい案件である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.08.24 00:10:19
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