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カテゴリ:エッセイ
人間がコントロールできないものは山ほどある。天候を自在に操れるという人はいないと言えば、誰もが当たり前だとうなずくだろう。しかしながら、コントロールできないにもかかわらずコントロールできると思っているモノも多数存在する。 最近受けている研修で、他人の行動や気持ちをコントロールすることは不可能であるという話を聞いた。だから相手を意のままに動かそうという傲慢な考えではうまくいかないと。考えてみればその通りだとお父さんも思う。自分の行動や気持ちを意のままに操ることができる人がいるとは思えない。
もちろん仕事上においてだから上司は部下に指示しても意味がないという話ではない。これはコントロールというよりも、お互いが仕事の中で役割分担をし、命令系統や上下関係の中で一種の契約をしている状態である。その中で上司の指示に従う、会社方針に従うという状況が生まれている。それでも個人間の人間関係や指示の出し方によって他人の行動は変わるし、完全にコントロールできるわけでは無い。 それでも会社にいて部下を持つ立場になると、必死になって部下をコントロールしようとするのが人間なのだと思う。お父さんもどうしたら部下が指示に従うか常に考え悩んでいる。
同じような状況で、コントロールできないのだが何とかコントロールしなければと思ってしまうのが、子供の躾や教育である。生まれてからずっと親として保護しながら養育しているので、子供は自分の指示に従わなくてはならないし、親なのだからある程度子供をコントロールできると思ってしまう。 ちなみにそれがうまくいったという親にまだ会ったことはない。お父さんも先日の研修で「人生で失敗したこと」という項目に「子供の教育」と書いたぐらいである。
親として生きていると、自分が通った道に似た道を子供が歩むので、子供の悩みが理解できる、もしくは理解した気になるときが多々ある。特に学生時代の学校の悩みや人間関係、若い頃特有の強い思い込みや反抗心など、子供を見ているとつい自分の学生時代を思い出すほど同じだなあと思う時がある。
それでも彼らが悩んでいるとき、それを一発で解決するような方法を子供に教えることはできない。物理的に何が欲しいモノが買えないで悩んでいるのを買ってあげるような話なら解決できるが、そんなことで深く悩む子供は少ないだろう。親としても何でも買い与えるわけにもいかないので、お互いに悩むことはあるかもしれないが。 お父さんは、精神的なモノは本人の意識の持ち方や考え方によって解決方法がまるで異なると思っている。同じ状況で同じ内容の悩みを持っている人が、一つの解決方法ですくわれることはない。それぞれに価値観も考え方も感受性も異なるからだ。
そして自分の子供でも悩みを解決することなどできないのだから、血も繋がっていない他人の悩みを解決することなどできない。それでも人間は悩んだ時に人に助けてもらいたいと思うし、悩んでいる人を見ると何とかしてあげたいと思うものである。 どうせ人には解決できないとか、人の悩みなど解決できないから放置するという人は少ない。中にはいるのかもしれないが、そういう人は人間関係を周囲と上手に築くことは難しいだろう。
人間というのは実に面倒くさい生き物だと思う。お父さんも悩んでいるときに慰められてありがたいと思う時もあるし、余計なお世話だと思う時もある。ただどちらも悩みが解決するわけでは無い。そこは気持ちが軽くなるか余計イライラするかの違いぐらいだろうと思う。 こう言ってしまうと身もふたもないが、お父さんの経験上、悩みは時間が解決することがほとんどである。誰かに解決してもらうことは非常に少ない。
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最終更新日
2024.09.25 00:10:11
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