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カテゴリ:プシコ(精神疾患)な毎日
毎年この時期になると、病院を襲うのが退職ラッシュ。
12月に賞与をもらっておいて、年明けに話を切り出すのだ。 実践が身につくと、医師の指示で働く病院よりも自分たち主体で働ける支援施設へ行って力を試してみたくなる、PSW(精神保健福祉士)さんたち。 安月給と激務、無理なローテに嫌気がさして密かに次の職場の面接を受ける、看護師さんたち。 産休はとるものの、産休明けに復帰しようという気持ちになるほどの職場でもない、という女性職員。 みな、精神科医療とはどんなものか、ということを理解しかけた頃に、辞めてしまう。 大体辞めたい人の噂、というのはその職種内ではおおかた広まっていて、医師、さらに管理職の耳に入るのは慰留したってどうにもならないところに来てから、ということになる。 新しく入職する人もないわけではないが、精神科医療の特殊性を理解するまでには時間がかかる。 ある意味、胆が据わっていることが必要だが、その域に達している人材は決して多くない。 自分の職場を見ていて不満なのは、そういう人と人とを繋ぐ絆があまりにも薄いこと。 話が出れば、直属の上司、あるいは同じ職種のトップは慰留に努めるが、実際の人事あるいは勤務条件、給与を決められるのはオーナーただ一人。 そのオーナー自身に人を繋ぎ止める力がなくては、退職ラッシュは免れない。 表向きはオーナーの言うことを「はい」と二つ返事で聞いている職員が、初めて翻す反旗がもういきなり退職願、なのだ。 そのことに気づかないのか、××看護師が退職したのは、●●医師の言動に原因がある、などと平気で言う一部管理職。 たかがヒラの医者の一言で、いきなり退職するのなら、退職したほうが大人気ない。 ヒラの医者にそんな力があるわけないではないか。 慢性的人間不信のオーナーは、何でも二つ返事で自分の言うことを聞く新しい人材は可愛がっても、その人材がある程度の期間内部にいて自発的に仕事をし始めると、どうも誰でも信用できなくなってしまうらしい。 長い職員でも数年。短い職員なら数ヶ月。ある種の病気みたいなものだから、仕方ない。 元々の能力の高い人材ほど、仕事が分かってくると自分の判断で自発的に動き始めるから、オーナーの思うとおりにならなくなる。 多少オーナーにとって耳の痛い正論も言うようになる。 本当に病院の将来を考えて、こうしないとこの病院はダメです、と苦言も呈するようになる。 イエスマンだけで職員を固めようとするのなら、この病院は終わりだ。 一時、やたらに器だけを広げるような形で業務を拡大してきた私の職場。 患者さんを診きれていない医者が何人もいる。 間もなくその反動がやってくるはずだ。 もしそのまま本格的な業務縮小傾向に陥ったら、あっという間に10年前の病院の姿に戻るだろう、と私はいささか冷ややかに見ている。 今、ひとつの区切りを迎えて何となく職場には退廃的なムードが漂っている。 区切りの前も後も、同じスタンスでやっている私には、それがよく見える。 ここをどう乗り切るかが医療機関の運命を決める。 ここを踏みとどまらないとダメだ、ここで残ったものだけが、この病院の本当の姿なのだ、と私は思っているのだが、それが周囲に伝わらないのが、もどかしい。 間違ったことには黙っていられない私も、どこまでもつだろう。 自分が辞めると言い出すのが先か、クビにされるのが、先か。 辞めるのは簡単だが、残された患者さんを誰に任せるのかと思うと、まだ辞めるわけにいかない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年01月09日 23時02分40秒
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