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2020年12月23日
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テーマ:老荘思想(128)
カテゴリ:道家思想

 
Hua Mountain, China
Photo by Andrew Ngan Kee
images.jpeg
 
 
 
 

道家思想篇 118 老子 獨立第八十


  「小國〔しょうこく〕寡民〔かみん〕。
  人に什伯〔じゅうはく〕するの器〔き〕有〔あ〕るも用〔もち〕いざらしむ。
  民〔たみ〕をして死を重んじて遠く徙〔うつ〕らざらしむ。
  舟輿〔しゅうよ〕有りと雖〔いえど〕も、之〔これ〕を乘る所〔ところ〕無〔な〕し、
  甲兵〔こうへい〕有りと雖〔いえど〕も、之を陳〔ちん〕ずる所〔ところ〕無し。
  民をして復〔また〕結繩〔けつじょう〕して之を用〔もち〕いしむ。
  其〔そ〕の食〔しょく〕を甘〔あま〕しとし、
  其の服〔ふく〕を美〔び〕とし、
  其の居〔きょ〕に安〔やす〕んじ、
  其の俗〔ぞく〕を樂〔たの〕しむ。
  鄰國〔りんごく〕相〔あい〕望〔のぞ〕み、
  雞狗〔けいく〕の聲〔こえ〕相〔あい〕聞〔き〕こえ、
  民〔たみ〕老死〔ろうし〕に至るまで、
  相〔あい〕往來〔おうらい〕せず。」
 
 
   小國寡民。
   使有什伯人之器而不用。
   使民重死而不遠徙。
   雖有舟輿、無所乘之、
   雖有甲兵、無所陳之。
   使民復結繩而用之。
   甘其食、美其服、安其居、樂其俗。
   鄰國相望、雞狗之聲相聞、
   民至老死、不相往來。
   
  
  
   (Standing alone)
   In a little state with a small population, I would so order it, that, though there
  were individuals with the abilities of ten or a hundred men, there should be no
  employment of them; I would make the people, while looking on death as a grievous
  thing, yet not remove elsewhere (to avoid it).
  Though they had boats and carriages, they should have no occasion to ride in them;
  though they had buff coats and sharp weapons, they should have no occasion to
  don or use them.
  I would make the people return to the use of knotted cords (instead of the written
  characters).
  They should think their (coarse) food sweet; their (plain) clothes beautiful; their
  (poor) dwellings places of rest; and their common (simple) ways sources of
  enjoyment.
  There should be a neighbouring state within sight, and the voices of the fowls and
  dogs should be heard all the way from it to us, but I would make the people to old
  age, even to death, not have any intercourse with it.
   ( Daoism -> Dao De Jing
 
 
 
 
 「小さい国で人民も少ないのが理想的だ。
 たとい他に十倍・百倍する器量の人がいても、その才能を用いさせない。
 人民が生命を大切に思い、死を重大なことと思うようにし、
 (質朴ながらも豊かな生活を送らせて、)
 遠くへ徒〔うつ〕り住みたいというような気持を起こさせない。
 船や乗車があっても、これに乗って行く必要を感ぜしめない。
 甲〔かぶと〕や兵器の備えはあっても、これを陳〔なら〕べて戦争などをすることはさせない。
 人民をして古代の淳朴な、繩を結んで契約するような状態に立ち復〔かえ〕らせる。
 このような至治の極、人民が各々〔おのおの〕その食を甘しとし、その服を美とし、
 その居に安んじ、その風俗を楽しんで満ち足りて、
 隣国と相望める近きにあり、お互いの国の雞や犬の鳴き声が聞こえ合うほど接していながら、
 各自の土地に満足し切って、老いて死ぬまで、互いに往来しようとも思わない。
 かかる国こそわが理想郷である。」
 
 (新釈漢文体系 7 『老子 荘子 上』P.129 明治書院発行 )
 
 
 
 
 『小さくて人口の少ない国がある。
  数多くの道具があったとしても、誰もそれを使わない。
  人々は生命を大事にし、誰も遠くに移住することを望まない。
  船や車は役に立つが、誰もそれに乗らない。
  すばらしい武器を所有していても、誰もそれを使わない。
  人々にもう一度、縄(なわ)を結んで約束のするしとしたような時代に戻らせ、
  すばらしいごちそうで楽しませ、立派な服を着させる。
  自分の住居でおちつかせ、習慣を楽しませる。
  隣の国はすぐ見えるところにあり、
  鶏(にわとり)の鳴き声や犬(いぬ)の吠(ほ)えるのが聞こえるけれども、
  人々は互いに往き来することもなく、その人生を送るのである。
 
   注釈
  
  この章は縄(なわ)を結んで約束のしるしとした古代について述べている。
 国は小さく孤立(こりつ)し、人口は少ない。違った国の人々は互いに交流しなかった。
 老子(ろうし)の教えは、文明の進歩した時代から遠い過去へと戻るものだと批判されている。
 しかし、老子が心にもっているものは大いなる「道」がまさる理想的な社会である。
 大いなる「道」がまさるとき、人々は自分の人生を楽しむ。
 彼らは食物、服装、住居、伝統的しきたりを十分に満足する。
 人々がほんとうに自分たちの人生を楽しむとき、存在と思惟〔しい〕は全体的に同一になる。
 人々が戦争を意図しないのは深い根源的(こんげんてき)な調和をもっているからである。
 だから、武器は必要ないのである。
 人々の内的調和がはかられるとき、別に遠くへ行かなくても幸せに暮らせる。
 だから、船や車は役に立たない。
 調和的生活を送ると、人々はものの現象だけでなく、その本質をつかむ。
 彼らは離れた場所に住んでいるけれども、互いに交流する必要はない。
 何故ならば、その精神生活が調和しているからである。
 この考えは『荘子』の「馬蹄(ばてい)」の章であらわされている。

  自然の本性が保たれていた時代、人々は静かに動き、しっかりと見つめていた。
  その時、山の上に道はなく、水の上にも船や橋もなかった。
  万物はそれ本来のために産み出された。
  ・・・・・・その時、人は鳥や動物と一緒に住んでいた。そして、あらゆる創造物は一つであった。
  善人と悪人の区別はなかった。知識もなく、すべてが等しく、
  徳が惑(まど)うこともなかった。
  悪い欲望もなく、すべて等しく、人々は自然の完全な状態と人間の完全性を得るのである。
  
  それは老子のいう人間の完全性と自然の完全さを示している。
 荘子はいう。
 「本来の自然のうちにあるものは、弓形のない曲線であり、線のない直線であり、
 回りのない丸、四角のない長方形になっている。
 それらは、にかわ(※膠)がなくてもくっついており、縄がなくても結びついている。
 このように、あらゆるものはその内的実在からつぎつぎに創造されるのである。
 どうしてそのようになるのかは誰れにもわからない」。
 「道」の哲学でいう創造性がわかると、人間の自然的完全性をはかるのに必要な
 根源的調和の構造は明らかになってくる。
  
  (後略)』
 
 (張鍾元 著 上野浩道 訳『老子の思想』P.324 ~ 326 講談社学術文庫)
 
  (つづく)





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Last updated  2020年12月25日 08時11分37秒



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