|
カテゴリ:生き方
【自分のことは自分でやる】
忙しい毎日を送っていますと、自分でやれることをつい人に頼んだりしたく なります。 最近は家の掃除も、誰もいない留守のあいだにしてくれるロボット掃除機が よく売れているそうです。 これは、ある意味では生活の利便性を高めてくれるものとして、現代人に とってはありがたいものです。 しかし、このような器械が普及していくと、人間らしさや人の心のあたたかさ がだんだんと置きざりにされていくようで、少し心配です。 道元禅師がまだ若い頃、中国に留学したときの話です。 道元禅師が寺で修行をしていると、本殿の前で一人の老僧がキノコを天日干し にしていました。 その日は、とても暑くさらに見るからに背中も丸くなっていて、禅師はつい 声をかけました。 禅師は、「おいくつでございましょうか?」と尋ねます。 老僧は「六十八歳です」と答えました。 禅師は、言いました。 「そのような作業なら、修行僧や下働きの人にしてもらってはどうでしょう」 すると、老僧はいいました。 「私は、典座(てんぞ)です」。〈注:典座とは、寺の食事を作る係りです〉 続けて「他の人にしてもらっては、自分がしたことにはなりませんから」 と言いました。 それでも禅師は、老僧の体を心配して言いました。 「そのとおりでしょう。しかし、今は暑いのでもう少し涼しくなってからでも いいのではありませんか」 すると、老僧は答えました。 「今やるべきことをしないで、いつやるのでしょう。 やるべきときにやるのが、禅の修行なのです」 この老僧の言葉に、禅師はハッと気づかされたといいます。 「自分がやるべきことを、ただ淡々とやることが禅である。修行は他人にして もらうものではないのだ」と。 禅寺では、朝起きて顔を洗い、掃除をする。この行為自体を修行とします。 ただ体を動かしているように見えても、その行為自体で自分を磨くというのが 仏の教え、禅の教えです。 面倒だから誰かにしてもらおう、ということではなく自分がやるべきことを きちんとやる。禅の世界ではここに、修行者としての姿があると説きます。 自分でできることは、自分でやっていきましょう。 (by ハートリンクス) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年09月30日 07時00分07秒
コメント(0) | コメントを書く
[生き方] カテゴリの最新記事
|