森田理論学習のすすめ

2024/06/03(月)10:21

☆ひきこもりの子供の立ち直りの支援

子育て、しつけ、教育(170)

先日紹介した宮崎県の精神科医水野昭夫医師は、引きこもりや不登校の子供は、そのままの状態がいつまでも続いたら、子供は精神的に参ってしまうと言われる。 引きこもりは、吐いたり下痢をしたりするのと同じに一時的なもので、続けていたら自然体が弱ってしまいます。 閉じこもりは防衛反応なのだけど、いつまでも閉じこもっていてはいけません。 また引きこもりや不登校は、家族全体の問題であるので、そのまま家庭に居座った状態で改善することはほとんどない。 水野医師は彼らを家庭から救出し、宮崎市にある「自立支援アパート」に収容しておられる。 ここで、いきなり社会に出られないから、いろいろな体験をしたり訓練をするのだそうです。 今までのしがらみを洗い落とすのだそうです。 とはいえ、今まで家に閉じこもっていた子供たちを、家から連れ出して収容する事は困難を極める。 水野医師は2回も3回も通って粘り強く子供を説得し、子供を連れ出すようにしている。 東京など関東圏の病院では、収容のために消防庁や国土交通省の許可を受けた精神障害者移送のエキスパートを使うことがあるが、このような有無を言わせない強制収容は家族への恨みをさらに深め、心の歪みはさらに大きくなるばかりであるといわれる。 水野医師は、何回も往診をして、患者さんに心の準備をさせたうえで、最終的には強制的に収容するようにしている。 なかなか言うことを聞かなかったり、暴れる子供も多いが、いったん連れ出して収容し、治療が進んでいく段階で、たいていの子供が、 「あの時、ああしてもらっていなかったら、今の自分はない」と言ってくれる場合が多いという。 痛みを伴うが事態は確実に好転してくるのである。 「自立支援アパート」は宮崎市内に12箇所あり、年齢、性別、職業、病歴を問わず、多種多様な人間が住む場所となり、大きな1つの家族になっている。 ここを拠点にして、フリースクール、職業訓練施設などが用意されており、活動を通じて同じような境遇の人たちとの交流を進めていく。 水野医師は、ここで彼ら自身が両親に変わる人を探すことが大事だと考えています。 また、患者の中に、本当の友人を見つけたり、 「あいつがよくなったのだから、おれもよくなろう」と尊敬できる同世代の仲間を見つけたりしたときによくなっていきますといわれている。 これは森田先生が神経症で苦しんでいる人たちを、一般社会から隔離し入院森田療法で行われていたことと同じことです。 森田先生のところへ入院される患者さんは、社会生活に行き詰まり、切羽詰まった人達でした。 このような人たちを、いったん家族、職場、学校から切り離し、森田先生の目の届く範囲内に収容して直接指導していくことで神経症を乗り越えていくことができたのです。 隔離療法は大変有効であったのだろうと思います。 今は残念ながらほとんどなくなってしまいました。 不登校や引きこもりの場合も、普通の生活に行き詰まり、本人はもとより、家族を巻き込んで大変大きな問題になっているわけです。 そんな時、水野医師の行われているような往診家族療法と自立支援を組み合わせた治療方法が大いに役に立つものと思われます。 まだ日本には数は多くはないのでしょうが、こういう施設があるということは心強い事だと思われます。 (ひきこもり500人のドアを開けた 精神科医・水野昭夫の「往診家族療法」37年の記録 kADOKAWA)

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