カテゴリ:森田理論学習の進め方
「三業を整える」という言葉が仏教の中にあります。
「三業」というのは「身業」「口業」「意業」の3つです。 「身業」というのは身体を整えること。美しい立ち居振る舞いを心掛けること。 健康な身体を維持するということです。 「口業」というのは言葉づかいを表します。 相手に対して怒りの感情をぶっつけたり、汚い言葉で罵ったりせず。いつも穏やかで思いやりのある言葉を心掛けること。 この「身業」と「口業」が整って初めて「意業」すなわち心が整うことになるのです。 心を整えるという言葉が流行しましたが、いきなり心を整えることはできません。 心を整えるためには、まずは立ち振る舞いをただし、美しい言葉使いを心掛ける。 その先にこそ「意業」がある事を忘れてはいけません。 行動は多少乱暴でも、心の中は優しい。 言葉づかいは荒っぽいけれども、本心ではそんなことは思っていない。 周りの人たちはきっと自分の心を分かってくれている。 そういう人がいます。しかしそれは違うと思います。 暴飲暴食を重ねて、いつも傲慢な振る舞いをしている。 怒りを前面に出し、部下を怒鳴りつけている。 そういう人で心が整っている人を私は知りません。 心穏やかに過ごしたいと思うのであれば、また周りの人たちからの信頼を得たいと思うなら、まずは自らの立ち振る舞いや言葉使いを見直すことです。 (限りなくシンプルに、豊かに暮らす 枡野俊明 PHP研究所 168ページより引用) この話は、神経症の克服にも役立つと思います。 神経症に陥っている人は、心が不安でいっぱいになり、居ても立っても居られない状態になっています。絶えず心がかき乱されているわけです。 普通は、すぐにでもその不安を軽減、あるいは除去しようとする。 薬物療法などがそうです。カウンセリング、様々な精神療法などもあります。 しかし、これらの対症療法で、すぐに不安がなくなるかといえば大変難しい。 多少の効果があっても、すぐにまたぶり返す。さらに新たな不安が出てくる。 不安による生きづらさはほとんどなくならない。 ここで枡野さんの話が参考になります。 枡野さんは、「身業」と「口業」が整って、初めて「意業」すなわち心が整うことになるといわれています。これを森田理論で言い換えれば次のようになろうかと思います。 不安に振り回される生活をなくするためには、まず規則正しい生活をする。 衣食住を自ら整える。つまり日常茶飯事に丁寧に取り組む。 運動を心掛けて、身体を鍛える。 つぎに「かくあるべし」を自分にも相手にも押し付けるようなことをしないで、事実本位に生きていく。どんなに理不尽な出来事であっても、できる限りの対策をとったのちは、自然の流れに身をゆだねる。事実をあるがままに受け入れながら生きていくということです。 人間関係の基本は、自分の「かくあるべし」を相手に押し付けないことだと思います。 森田理論の学習と実践によって、そういう態度を養成していく この二つは森田理論のかなめです。 口で言ってしまえば、簡単なことですが、実践は大変難しい。奥が深いのです。 横道にそれてもよいので、元の路線に立ち戻れる修正能力は身につけておきたいものです。 それが森田理論の学習によって可能となるのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.11.14 06:20:05
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