カテゴリ:第1章 哀しみに散る花
私は手に目を落とし、じっと指輪を見つめた。 エドは私の目の前でパチンと指を鳴らすと、今度はその手の中からイヤリングを出し、私の耳に嵌めた。 「あなたの本職はマジシャンなの?」 真剣に尋ねる私に、彼は大笑いしながら、「まさか!」と否定した。 「でも、あなたが望めば望みのものはなんなりと……」 エドに手を引かれ歩いているうちに、いつの間にか大広間へと続く階段の上まで来ていた。 「行こう」 そう言うエドの腕に手を通し、彼の歩調に合わせて横を歩いた。 階段の上段に立つと、ざわめいていた招待客は水を打ったように静まり返り、一斉に私たちを見上げた。 次の瞬間、どよめきと感嘆の溜息が漏れる。 エドがクスリと笑う。 「みんながあなたに見惚れてますよ」 大広間から流れてくる弦楽合奏の調に乗りながら、私達は一歩一歩階段を踏みしめて下りて行った。 爪弾き跳ねる弦の調はピツィカート・ポルカ…… 微笑み掲げる人々の手には炭酸の立ち上るシャンパン…… 温かな祝福の声に包まれながら、さざめく人々の間をエドは嬉しそうに私の手を引いていった。 ↑ランキングに参加しています♪押して頂けるとターっと木に登ります 「フラワーガーデン1」はこちらです。良かったらお楽しみ下さい♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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