カテゴリ:第1章 哀しみに散る花
ジョージがキスを止めた瞬間、力が抜けた私は床に崩れ落ちた。 その時を待っていたかのように、エドはジョージの胸倉を掴み、拳を振り上げた。 だけど、ジョージは目を瞑りもしなければ、避けようとすらしない…… 「ジョージ!!」 私は叫び、目を瞑った。 「あ……。止めちゃった」 訊き慣れた男のヒトの声に目を開けると、先生がエドの拳を手で受け止めていた。 「先生!」 先生はエドの拳を掴んだまま、にこっと微笑んだ。 「ただいま。話し合いは出来た?」 「え?!あの……」 動揺しながらも、無傷のジョージと目が合い、「は……い」と赤面しながら答えた。 「それは良かった……。だそうです。マッカーシーさん……」 先生は、微笑みながら握った手で握手した。 床にへたり込んでしまった私の手を取り、体を起こしながらジョージは心配そうに瞳を覗きこんだ。 「アリシア。大丈夫か?」 ジョージの問いに、私は何とか頷いた。 エドワードは、ジョージから私を奪うと、「フィアンセを帰してもらうよ」と言った。 そして、強引に私の手を引くと、足早にホテルの廊下を歩き出した。 私は、何度も何度も振り返り、ジョージを見つめた。 泣いたら、ジョージが見えなくなる。 だから、泣かないで最後までジョージを見ようと、歯を食いしばり堪えながら彼を見つめた。 ジョージはただ腕を強く掴み、私をじっと見送っていた。 「君には、本当に振り回される……」 車に戻り、私を先に乗せると、エドは深い溜息を吐き、シートに体を預けた。 別れたばかりなのに、もうジョージに会いたくて、抱き締めて欲しくて、私は零れそうになる涙を必死に堪えていた。 ジョージ…… もう一度、また抱き締めて欲しい…… そう心の中で、祈った。 その時、私はあることに気付き、「あっ!!」と叫んだ。 「どうしました?アリシア?」 「いいえ。何でも……」 私は冷や汗をかきながら、「どうか、先生が忘れてきたリュックの中身を見たりしませんよ~うに……」と必死に心の中でお祈りをしていた。 ↑ランキングに参加しています♪押して頂けるとターっと木に登ります 「フラワーガーデン1」はこちらです。良かったらお楽しみ下さい♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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