カテゴリ:第2章 泡沫の夢のように
僕は人混みを掻き分け、足がもつれて倒れ込みそうになるのを辛うじて手で支えた。 薄っすらと積った雪には、点点と赤い血の痕が散らばり、その先にうつ伏せに倒れている金髪の女性の肩を震える手で叩いてた。 肩に手を置き、回り込んでその顔を覗き込むと、間違いなくアリシアだった。 「ア……アリシア?!アリシア!!」 生気のない真っ青な顔…… 紫色の唇…… 今にも途絶えそうな細い脈 「アリシア!!!!アリシアーーーーー!!!!」 僕は全てを失ってしまうかもしれない恐怖に怯えた。 コートを脱いでアリシアに着せ、僕は意識を失っている彼女に応急措置を施すと、必死で神に祈った。 神様、お願いです。 僕の命も何もかも全てを上げてもいい。 だから彼女を助けて下さい…… それから、数十分後に到着した救急車に僕も一緒に乗り込み、青白いその指先をマッサージし続けた。 小さな彼女の息が、今にも消えそうで気が狂いそうになる…… なぜこんなことになっているんだ?! ジョージと一緒だったはずだ。 それなのに、どうして彼女は一人、このボストンに戻ってきたんだ?! ジョージは一体どうしていないんだ!! 救急車は病院に滑り込み、アリシアを乗せたストレッチャーが救急車から下ろされ、その横を僕は並走した。 施術室の中にアリシアを乗せたまま、ストレッチャーはその部屋の奥へと吸い込まれていった。 ↑ランキングに参加しています♪押して頂けるとターっと木に登ります 「フラワーガーデン1」はこちらです。良かったらお楽しみ下さい♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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