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FLOWER GARDEN 2

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2009.06.18
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しんと静まり返った川面を祈る思いで見つめた。
どれくらい経ったのか……
静寂を破る水飛沫の音と共に、二つの影が水面に現れた。

「先生!」

リンは先生の顔を上に向かせ脇で抱えるようにして川を横断し、私のいる川縁を目指して泳いできた。

「先生は?!」

リンは陸に上がると肩で息をしながら、強く咳き込み、それから深く深呼吸した。
そして先生の口元に耳を寄せると、「大丈夫だ。息がある」と額に垂れた前髪を掻き上げた。

「良かった。じゃ、すぐに病院に……」

立ち上がろうとする私の手を素早くリンが捉えて、首を振った。

「病院には戻らない」
「そんな!直ぐに先生を診て貰わないと」
「戻らない」
「ひどいわ!」

掴まれた手を振り解こうと体を捩じらせたけれど、リンの腕はびくともしなかった。

「医者に診せないとは言っていない」
「だって、でも、病院に戻らないって……」
「僕達のアジトがこのすぐ近くにある」
「僕達って……アジトって……?」

私の質問が耳に入らなかったのかリンは先生の脇に肩を入れると、立ち上がろうとした。
私は慌てて反対側に回り込み、先生の腕を自分の肩に回して彼の体を支えた。

「車で5分とかからない。ヤブだが腕の確かな医者もいるから安心しろ」

リンはニッと口の端を上げて笑った。
先生を引き摺るようにして、後部座席に乗せると私も滑り込み彼の頭を膝の上に乗せた。
リンはふんと鼻を鳴らすと、運転席に乗り込んだ。
そして、私から上着を引き取ると、黒いトランシーバーのようなものを取り出した。

「ああ。トシコか?これから5分後に客を連れて行く。ドクター・ケイに代わってくれ」

リンは先生の容態を手短に伝えると、黒いトランシーバーを置いた。
私がじっとそのトランシーバーを見ていることに気づいたのか、ミラー越しに彼と目が合った。

「これが気になるか?」

私は正直に頷いた。

「これはトランシーバーではないよ。そうだな、未来型移動用電話、と言っておこう」
「電話?これが?」
「まだ、試作段階だけどね。きっとこれからはこの電話が主流になる。さ、着いたぞ」

車はいつの間にか木々に覆われた砂利道の上を揺れながら走り、1軒のログハウスの前で止まった。

リンは車を降り、後部座席の扉を開けると身を屈めて先生を抱きかかえた。
私も脇から支えるようにして、ログハウスの階段を上がった。

リンが扉を開けよう手を掛けたけれど、それよりも早く中から扉が開いた。

「お帰りなさい、リ……」

中から出てきた東洋人らしい女性は、大きく目を見張り後ずさった。


そして、彼女の口は、確かにこう動いていた。

「テツヤ」と。


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Last updated  2009.06.19 01:35:22
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小山千鶴@ Re:ひさしぶり・・・(06/20) koukoさん ご無沙汰しています。 本当に…
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