なんであたしがあんたの機嫌取んなきゃいけないのよ

角川文庫　な50-3怖い絵　泣く女篇／中野京子

タイトルがスーパー直球勝負でヒュウ★となりました。
ぱっと見怖いとか、ずっと見てると寒気がする絵が好きです。
お化け的な怖さとか、グロテスク内臓飛び散り的な怖さではなく、絵の細部をよく見てモチーフだとか、絵が意味しているものを考えると怖いという知的な怖さでした。
自分は絵心というものがないので、こういう風に注釈つけてもらえると非常に助かります。

紹介されてる中で特に好きなやつ
レディ・ジェーン・グレイの処刑
可憐な乙女が超悲惨な運命をたどるというのは胸に迫りますね！
自分はなぜだか目隠しをした女性にとても惹かれるので、ウェディングドレス並みにキレイな白ドレスを着た女性が目隠しをして、処刑されるという構図に非常に惹かれました。
この数秒後にこの人殺されるんだっていう切迫感と、でも今確かにこの人は生きてて肌からは清らかな光発してるんだっていう感じがなんとなく怖かったです。

ラス・メニーナス
描かれてる人がみんなこっち見てるけど、何見てるんだろうなってのが最初の印象。
解説にもあるように、矮小の道化役の人の顔が怖くて印象的です。
全体的な暗さとか光の当たり方も、なんか不気味なところが素敵です。
犬がストレスに耐えてる顔をしているところが可哀相。

ガブリエル・デストレとその妹
この絵は見たことだけありましたが、こういう意味が込められているとは知りませんでした。
この暗示的な恐怖感すげー

ベツレヘムの嬰児殺し
これが一番怖かった。
嬰児殺しってタイトルついてるのに、一滴も血が流れてなくて、これから殺すところなのかなと思いましたが、実はこの絵が改竄されたもので、原画にはおびただしい子供が殺されてるところが描かれているってのにびっくり。
一件ポップな色合いなのに、完璧な地獄が描かれてるところがすごい。