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カツラの葉っぱ 大好き!

カツラの葉っぱ 大好き!

スタジオジブリあれこれR2

<スタジオジブリあれこれR2>
スタジオジブリのあれこれについて集めてみます。
宮崎監督や高畑監督の人なみ外れた頑張りと、社員に対する温情などが「原則社員」の体制を支えていたのではないか?と思うのです。
今後、ジブリはどのように変わっていくのか?

・熱狂!アニメ経済圏(4/1週刊東洋経済)(2017年)
・NHKスペシャル『終わらない人 宮崎駿』(2016年)
・スタジオジブリの近況(2016年)
・スタジオジブリ解散のうわさ(2015年)
・日米アニメ戦争が始まる8(2015年)
・『アナと雪の女王』の快進撃(2014年)
・厳しいアニメ業界(2014年)
・フランスのジブリ・オタクがすごい(2013年)
・いかにディズニーと闘うか?(2008年)
・ジブリの売りは歌なのか♪

R2:『熱狂!アニメ経済圏』を追記


<熱狂!アニメ経済圏(4/1週刊東洋経済)1>
図書館で『熱狂!アニメ経済圏(4/1週刊東洋経済)』という週刊誌を、手にしたのです。
クールジャパンといえば・・・
この週刊誌のコピーにもあるように、結局、誰が儲かっているのか?という疑問があるわけですね。

p36~39
<結局、誰が儲かっているのか?>
 「どっちか見た?」昨年以降、職場か家庭でこんな会話をした人も多いはずだ。アニメ映画『君の名は。』と『この世界の片隅に』は、幅広い世代が映画館に足を運ぶ社会的現象を引き起こした。
 前者は国内アニメ映画では宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』(2001年公開)に次ぐ興行収入を記録。後者はSNSなどで評価が広まり、単館系作品としては異例の上映館数につながっている。

 両作品のヒットは、アニメ市場において氷山の一角にすぎない。昨年の国内邦画興行収入ランキングではトップ10の11本中、実に7本がアニメ。テレビでも「おそ松さん」のような成人女性に支持される深夜アニメなど、人気作品が複数生まれている。

 アニメ市場の規模は15年に1兆8255億円と過去最高を記録したが、16年は『君の名は。』効果などでそれを更新し約2兆円に達した公算。日本は今、第4次アニメブームの真っただ中にあるのだ。

<乱れ飛ぶドルと人民元、アニメ製作に食い込む>
 「えっ、1話3500万円!? さすがに高くないか」。16年春、ある子ども向けテレビアニメの取引額を知った業界関係者は仰天した。買い手は米ファニメーション。アニメのパッケージ販売・映画配給の北米大手だ。このときは動画配信やDVDパッケージ販売などの権利の包括契約だったが、前回ブームのピーク期でも1話500万円程度が相場だった。しかも取引したばかりで、人気は未知数。『ドラゴンンボール』級に大化けするとの期待で青田買いされたのだ。

 これはずば抜けた例だが、海外では日本のアニメの取引額が総じて高騰している。要因は有料動画配信サービスの競争激化だ。米アマゾンは1月、米国のプライム会員向けに、月額4・99ドルでアニメが見放題になるサービスを開始した。米国ではネットフリックスやHuluなど動画配信事業者の競争が激化しており、差別化できるコンテンツとして日本のアニメが注目されている。

 さらに激しい競争が起こっているのが中国だ。アイチーイー、テンセントという、それぞれのユーザー数2億人超を抱える動画配信の2大ガリバーを頂点に、複数の事業者がユーザー獲得競争を繰り広げている。売上高以上のコストをかけてコンテンツを買い付ける事業者もあり、日本のアニメが高値で取引されている。

 今増えているのが、権利を買うだけでなく、アニメ製作に直接食い込もうとする外資の動きだ。日本のアニメの大半は、複数の企業から出資を募り制作費を確保する「製作委員会方式」を採用している。製作委は作品の放送や配信などで生じる著作権収入を出資企業に配分すると同時に、各社が得意とする分野で作品を利用しておカネを稼ぐことを認める「窓口権」を割り当てるという、2種類の利権配分機能を持つ。
(中略)

 住友商事の笹島一樹・放送映画事業部チームリーダーは、「日米協業で、ディズニーのように長期間にわたってキャラクター利用などでおカネを生めるビジネスを作る」と意気込む。

<相次ぐ放送延期、疲弊する制作現場>
 外資や異業種も入り乱れ過熱するアニメ市場。だが、制作現場に目を向けると、光景は一変する。
 「制作上の都合により、放送・配信を延期します」。複数の業界関係者は「スタジオが恒常的に抱える人手不足や運転資金不足といった問題が、制作に混乱をもたらしている」と指摘する。
 アニメ市場は過去最高を更新し続けているが、制作業界の成長率は市場全体を大きく下回る。その根源にあるのが、製作委やテレビ局が支払う制作費の頭打ちだ。金額は作品によって異なるが、相場は1話当たり1500万~2000万円と20年前からほぼ変わらない。

 一方で以前より繊細で滑らかな映像表現が求められ、1話当たりにかかる時間や人手は膨張している。CGなどデジタル技術の導入も相まって、制作コストは上昇の一途だ。活況期にもかかわらず制作会社の儲けはむしろ悪化し、4社に1社が赤字に陥っている。

 そもそもアニメ業界は、独特な生態系で維持されてきた。業界企業の8割が年商10億円以下の中小零細。同業他社やフリーのアニメーターに工程を外注することで作品を完成させる。共通のITシステムなどはなく、原画・動画の紙の束を「カット袋」と呼ばれる袋に入れて手渡す。セルに色を塗る工程こそデジタル化されたが、基本的には『鉄腕アトム』時代と同じだ。

 この極めて労働集約的な生態系が半世紀を超えて維持されているのは、日本人特有のきまじめさの賜物といえるが、現状では制作現場を疲弊させているのも事実だ。
(中略)

 アニメの魅力を創出する制作現場が、低い制作費に甘んじる産業構造は半ば限界だ。適正な額の制作費を製作委に求めるか。出資によって販路開拓の権利を得たポリゴン・ピクチュアズのように、窓口権をつかむか。市場の熱狂が止む前に活路を探さなければ、日本のアニメ産業は瓦解しかねない。


【熱狂!アニメ経済圏(4/1週刊東洋経済)】
東洋

週刊誌、東洋経済新報社、2017年刊

<商品の説明>より
宴の裏側 結局、誰が儲かっているのか?
[Part1]アニメ産業革命の旗手たち
異次元ヒットの中の人が語るチャンスと危機感
COLUMN│宮崎 駿 長編復帰をめぐる騒然
INTERVIEW│神山健治●監督
エイベックス、アニメの会社になります! 『ユーリ!!! on ICE』『おそ松さん』『KING OF PRISM』
逆上陸した業界の異端児 ポリゴン・ピクチュアズの製販革命

[Part2]2.5次元って何だ?
<ルポ> アニメ マンガ ゲーム お父さんの知らない最先端エンタメ 2次元 演劇はブルーオーシャンだった
INTERVIEW│鴻上尚史●作家・演出家

<読む前の大使寸評>
クールジャパンといえば・・・
この週刊誌のコピーにもあるように、結局、誰が儲かっているのか?という疑問があるわけですね。

amazon熱狂!アニメ経済圏(4/1週刊東洋経済)


ウーム 中国のアニメ市場からむしり取った儲けで、コンテンツを磨くといった才覚が求められているのだが・・・言うは易しであるなぁ。



<NHKスペシャル『終わらない人 宮崎駿』>
15日深夜にNHKスペシャル『終わらない人 宮崎駿』再放送を観たのだが、興味深い内容であった。
アナ雪やベイマックスなど、ディズニーのCG作品の跋扈を見るにつけ・・・宮崎監督ならずとも、大使でも危機感を覚えるんですよ。


2016.11.13終わらない人 宮崎駿より
宮崎

 3年前、電撃的な引退宣言を行った世界的なアニメーション映画監督・宮崎駿(75)。長編映画の現場から身を引くと宣言した宮崎だが、その創造への意欲は実は衰えていなかった。

 新進気鋭の若きCGアニメーターとの出会いから、初めてCGを本格的に使い、短編アニメで新たな表現への挑戦を始めた。だが、映画作りは難航し、制作中止の危機に直面する。宮崎アニメ初となるCG短編制作の舞台裏を、カメラが2年にわたって独占取材した。

 クールジャパンの基幹コンテンツと期待されながら、国際的にはピクサー、ディズニーらのCGアニメに圧倒されている日本のアニメーション。宮崎が世に放つ短編は、日本アニメの未来を変える一手となるのか。番組では、巨匠の溢れ出る映画作りへの想い、苦悩、あがきを生々しく活写していく。

3年前、電撃的な引退宣言を行った世界的なアニメーション映画監督・宮崎駿(75)。長編映画の現場から身を引くと宣言した宮崎監督だが、その創造への意欲は実は衰えていなかった。

アナログ派の宮崎監督がCGアニメに挑戦する様が放映されていたが・・・
監督の目指すものは、最新技術でどう描くかというよりも、何を描くかというところにあるようですね。つまり、クリエーターの深い悩みがあるようです。

番組の最後で、長篇アニメの新企画にも触れていたが・・・
監督に残された時間はあまり無いのが辛いところか。



<スタジオジブリの近況>
スタジオジブリの近況がスタジオジブリ・トップに載っています。
なんだか、過去の遺産で食っているような感じで、様変わりしているなあ。

宮崎さんと高畑さんのお二人の作品を作るのが、この会社の原点だったわけで・・・しかたないところかも。


スタジオジブリ・トップより
ジブリ
2016年4月15日
スタジオジブリ最新作「レッドタートル ある島の物語」のカンヌ国際映画祭への出品が決定しました

9月17日(土)に全国公開が決定した、スタジオジブリ最新作「レッドタートル ある島の物語」が、第69回カンヌ国際映画祭※「ある視点部門」に出品されることが決定しました。




<スタジオジブリ解散のうわさ>
ちょうど1年前くらいにスタジオジブリ解散のうわさがあったけど、今どうなっているんでしょうね?


2015.04.5ジブリ解散!人件費だけで毎年20億円、赤字続きで倒産危機より
「昨年公開の『風立ちぬ』を最後に宮崎駿監督(73)が引退したときからスタジオの解散説がささやかれ、今年春になってから、スタジオ創業メンバーでプロデューサーの鈴木敏夫氏(68)も決断し、スタジオのスタッフにそれが伝えられています」

それは大ニュースだ。

「ただこれだけ大きなスタジオが一気になくなるというのは衝撃だけに、それを発表するタイミングを探っているところです。今後は新作はつくらず会社としては版権管理のみを行うことになるようです」

にしても、なぜ?

「巨額な制作費がかかるアニメですが、ジブリはそれを自社スタッフで行うため、人件費が経営を圧迫しています。『風立ちぬ』は興収116億円を稼いでいますが、年間人件費だけで20億円はかかる会社としては100億稼がないと会社を維持できないのです」
なるほど…。



<日米アニメ戦争が始まる>
20日から全国で公開した「ベイマックス」であるが…
攻撃的なベイマックスに書いたように、なにやら敵愾心を抱いた大使である。

『日本最強論(文芸春秋SPECIAL:2015冬)』というムック本に載っていた鈴木敏夫さんの弁を聞いて日米アニメ戦争の実態がわかりました。


<「アジアで日米アニメ戦争が始まる:鈴木敏夫」>よりp220~224
鈴木

 宮さん(宮崎駿監督)が引退を表明してから、もう1年あまりが過ぎました。これはスタジオジブリにとってももちろんですが、日本のアニメ業界にとっても大きな節目だったと思うんです。
 とりあえずジブリはいま制作部門を解体して、小休止に入っています。2014年に『思い出のマーニー』を撮った後は、次の映画制作の予定は立てていません。実は、2001年に『千と千尋の神隠し』を作った後も一時、アニメ制作を休んだ時期がありますが、時代が大きく動くときに、ジブリというスタジオに何が出来るのか模索する、そういう時間も必要だというのが、いまの僕らの判断なんです。

 では、いま我々が直面しているのはどういう節目なのか…、説明は難しいのですが、大きく言えば、日本のモノづくりと同じことがアニメ制作の世界でも起きているということなんです。
(中略)
<ジブリは孤塁を守る>
 そして次に何が起きるか。日米による東南アジアのアニメーターの争奪戦です。そこで優秀なアニメーター、スタジオをいかに確保するか、という戦いがもうすでに繰り広げられ始めている。よくiPhoneについて、アイデア、デザインはアメリカのアップル、重要な部品は日本、韓国、台湾で作られ、組み立てるのは中国で、と言われますね。それと同じようなことがアニメの世界でも起きつつあるのです。

 もうひとつ、大きな流れとして見えてきているのは、これは海外、国内を問わずですが、コンピュータで描く、いわゆるCGの分野に優れた若いスタッフが集まりつつある。
 これは手描きのアニメーションを追求してきたジブリとしてはなかなか難しいところですが、宮崎吾郎監督がNHKBSプレミアムで初めてテレビアニメを作ったんです。『山賊の娘ローニャ』という作品ですが、これはすべてCG。ポリゴン・ピクチュアズという制作会社なのですが、ジブリでも一番上手いアニメーターが見学に行って、「みんな上手い」とショックを受けて帰ってきたんです。

 (中略)
 庵野ももうとっくにCG主体となったアニメの現場を想定して、準備を進めているわけです。僕自身は手描きにこだわりがありますよ。しかし、この趨勢は変わらないでしょう。
 しかも、先に挙げたように、アジアの制作現場とも、彼らはネットワークで繋がっています。だから国際的な分業も瞬時にこなせる。
 だから、ジブリ的な手描きアニメーションは伝統工芸として残っていくのだと思います。時代の流れの中で孤塁を守っていく(笑)。

 面白いのは、吾郎監督の『ローニャ』は、すべてCG、それも3Dで立体的に作ったものを、あえてセル画にみせかけている。つまり平面的に見せているんです。その方が日本人には受け入れやすい、と彼は判断したんですね。

 平面か3Dかというのは、これは単純に、画面の質感の好みなのですが、つきつめると、日米の文化の違いにまでたどり着くテーマではあります。アメリカ人はもともと3Dが好きだったんですね。というのは、そもそもアニメーションの初期から、まず人形でキャラクターを作って、それを平面の絵に写生する、という作業をやっていた。また、一度俳優たちに演じさせて、日本は「漫画が動く」ものがアニメーションなんです。平面が動き出すから驚くわけで、平安時代の絵巻物にまで遡る、日本オリジナルのものでしょうね。

<アジア全域で役割分担>
 さて、そうなると、日本のアニメづくりは今後、どうなっていくのか、という問題になります。
 制作現場がどんどんアジアに移っていく、となると、「日本アニメは空洞化していく」という結論になりますが、それを空洞化というのは間違いではないか、というのが僕の考えなんですよ。

 つまりアジア全域が、それぞれに役割を担って、1本の作品を作る時代が来た、と考えればいいのではないか。だから、日本の若者で自分は現場で絵を描きたいというのであれば、タイやマレーシアなどのスタジオの門を叩けばいいわけです。
 実際、僕のところにもアジアから、これまでの日本での映画作りのノウハウを教えて欲しい、という要望が来ています。そうした日本の持つ経験知のようなものには、全アジア的にニーズがあるのだと思います。確かに日本は年を取った国ですが、逆に言えば、若者にない経験と知恵がある。


スパイダーマンのようなアメコミ由来のアニメを作っているうちは、ジブリも無視できたが…
ディズニーが総力あげて仕掛ける「ベイマックス」となると、これは貿易戦争という側面があるのでしょうね。

でも、なぜこうも敵愾心がわくのか?・・・
「ジャパニメーション」はなぜ敗れるかを再読して考えてみたい。



<『アナと雪の女王』の快進撃>
ハリウッド嫌いの大使は『アナと雪の女王』を観るつもりはないのだが・・・
『アナと雪の女王』DVDの売上げが快調で、『千と千尋の神隠し』が持つ歴代記録更新の期待がかかっているそうです。(えらいこっちゃ)

そのあたりを、WEBRONZAの記事を見てみましょう。
この記事で日本型主観主義とあるのは、要するにテレビアニメ風な臭い演出のようだが・・・・

ハリウッドとスタジオジブリでは、制作技術やマーケティングがどう違うのか?
つい、ナショナリズムの血が騒ぐわけです。

9/11『アナと雪の女王』の光と影――国境を越える日本型主観主義より
アナ

 9月3日、ディズニーは公式Twitterなどで映画『アナと雪の女王』の続編となる新作短編『Frozen Fever』を2015年春に公開すると発表した。

 このニュースに先立つ8月25日、『アナと雪の女王』の観客動員がついに2000万人を突破した。主要都市のシネコンなどでは上映を終えた館が多いものの、地方都市や小劇場などで未だ興行は続いており、今も動員は増え続けている。

 日本で公開された全ての映画で2000万人を突破した作品は『アナと雪の女王』と『千と千尋の神隠し』の2本だけだ。後者の持つ観客動員記録は2340万人である。

 発売中のDVDセット『アナと雪の女王』は、累計売り上げが213.4万枚に到達。DVDの歴代最多売り上げ記録も『千と千尋の神隠し』が持つ240.3万枚(本年8月18日現在)だ。こちらも歴代記録更新の期待がかかっているという(8月27日付『オリコン』)。

(中略)
<日本型主観主義の導入>
 まず、前回記した「主観的な世界観の設計」についてもう少し詳しく述べたい。

 日本のいわゆる「テレビアニメ」では、予算・スケジュール・人材不足から徹底的な作業合理化と動画枚数の削減が余儀なくされたこともあり、やたらとバストアップの切り返しによる会話や心情をモノローグで代弁したり、時間を自在に引き延ばしたりといった演出が採用されて来た。設定の矛盾、シナリオの構成力不足、キャラクターの心情などは、観客が主観的に同期することで推し量り、そこに「思い入れ」を膨らませて来た。

 一例を挙げれば、スポーツや格闘を扱った作品では、瞬間的な技や闘争に回想・モノローグ・討論・周囲の反応・解説などを重ねて、実時間を数十倍に引き延ばし、狭いコートや闘技場を巨大空間に変貌させて来た。

 また、中高生を主人公に学校生活を描いた作品では、親との家庭生活や授業風景は視界外に置かれ、数名だけの課外や休憩時間がテーマの中心となり、客観的な学校生活総体でなく主観的充実が拡大描写されて来た。

 しかし、線で括り色面で塗り分けられたキャラクターは、いかにも実在感が薄い。これを補うのが背景美術で、写実的にたっぷり描き込むことで臨場感を盛り立てる。実景さながらの空間的密度により、仮想現実に没入しやすくなる。

 巨大な眼、小さな鼻と口、髪色や形の些細な描き分けなど、顔の各パーツの描法が異常に発展して来た理由も、顔の芝居と台詞が優先され、動かなくても長持ちする絵を追求した結果だ。より刺激的・扇情的効果を目指して、顔の一部やハイライトを描き込んだ目だけが大写しになるトメ絵のアップなどもカメラワークや効果線などと共に常用されて来た。

 こうした技術と演出の積み重ねによって、常に「こうであろう」「こうありたい」とする心理・心情・心象の描写が最優先とされ、面倒な場所・時間・空間の現実的整合性は棚上げにされて来た。つまり、観客は各キャラクターに同化・感情移入し、その他の思考を停止することが作品を楽しむ前提となる。

 このような特殊な「日本型主観主義」の観賞訓練を重ねた観客の支持によって、日本のアニメーションは世界でも類例のない量産を可能として来た。

 よって、『アナと雪の女王』の設定不問・アップ頼みの主観主義的演出は馴染み深いものであり、違和感なく受け入れる素地は充分にあったと思われる。

 しかし、本家主観主義を押しのけてまで『アナと雪の女王』が日本で大ヒットを記録した理由は何か。


なんだ、ハリウッドが日本の「テレビアニメ」の臭い演出を採用したからヒットしたのか。要するに、売れるアニメに徹しているわけで・・・つられて観にいく観客も観客なんだろう。
スタジオジブリも、こういうマーケティングにも傾注する必要があるのかも知れないが・・・個人的には「テレビアニメ」風な作品には、興味がないんだけど。

かつて米軍が、捕獲したゼロ戦を徹底的に分析、究明して対抗策を確立し、新型機を投入したことがある。
『アナと雪の女王』の大ヒットも、それを彷彿とさせるが・・・スタジオジブリの反撃はどうなるんだろう?



<厳しいアニメ業界>
宮崎監督から長編アニメ引退宣言が出ていたが・・・
宮崎監督が抜けたあと、スタジオジブリの若手だけでやっていけるわけがないと思っていたのです。

スタジオジブリの苦しい台所事情が、ネットに出ていたので紹介します。

9/07「スタジオジブリ」なぜ映画から撤退するの? 厳しいアニメ業界より
 極めてウェットな言い方をすれば、スタジオジブリとは宮崎監督なくしては軸を失ってしまう事業体なのです。そういう経緯論と精神論で説明してしまうのは危険なのですが、この来歴は非常に重要です。なぜならジブリが他のアニメ制作会社とは異なる「社員アニメーター体制」を敷く理由と深く関わっているからです。

 アニメに限りませんが、コンテンツ制作会社は、放送局や映画館といったコンテンツを届けるインフラビジネスと比べると、ヒット作で不振作の穴を補いにくいため、その事業基盤はどうしても脆弱になります。

 ですから、かつての映画会社のように、監督から俳優や大道具まで様々な職種のスタッフを社員雇用した制作チームが理想だと言われてはいるのですが、その実現は極めて困難です。実際には極々一部のスタッフのみを社員雇用し、残りのスタッフはプロジェクトごとに集めて事業を行うという形が一般的です。そんなわけで、アニメ制作の現場でも、フリーのスタッフが多いわけです。

<他社が真似できない「原則社員」の体制>
 ここで、スタッフの社員雇用が理想だ、というのは、それがスタッフの技能向上のために最善と思われているからです。スタッフの高い技能はよい作品の必須条件であり、よい作品であることは市場で成功するための必要条件です。

 そこで、スタジオジブリではアニメーターを、原則として社員雇用しています。そのため、社員数だけを見れば、テレビシリーズやアニメ映画を手広く手がけるサンライズ(224人)やIGポート(213人)を超える300人規模に達しています。このあたりに、どちらも東映動画労働組合に深く関わっていた宮崎監督と高畑監督の理想主義を見出すこともできるかもしれません。

 もしもアニメ制作会社がこの社員雇用体制を実現しようとするなら、なんといっても経営の安定化が最大の課題です。そのための方策は、一本のコラムでは書き切れないでしょう。個々のプロジェクトデザインとしては有力マンガのアニメ化を志向したり、メディアミックスを大規模に行ったり、あるいは経営手法的には制作本数を増やしてリスク分散を図ったり、他社下請けを積極的に行って日銭を確保したり、プロジェクトごとに投資組合を組成する「製作委員会方式」を開発したり、いろいろなことをやってきました。これだけで本が一冊書けます。

 そこで、宮崎監督が(少なくとも長編アニメ制作からは)引退するとなると、スタジオジブリは収益源と、その理念的基軸とを同時に失うことになります。決算公告などを見ても、現時点でジブリの経営が悪化しているわけではありませんが、鈴木プロデューサーは、むしろ長期的にアニメ制作を続けていきたいからこそ、社員雇用体制を廃止することを前提に、これまでのジブリの制作事業のやり方を見直そうと発言したのだと思われます。世間はそれを拡大解釈してジブリが制作事業を全てやめてしまうと心配したのでしょう。


宮崎監督や高畑監督の人なみ外れた頑張りと、社員に対する温情などが「原則社員」の体制を支えていたのではないか?と思うのです。
宮崎監督や高畑監督は、もうお歳だから長編アニメから身を退くわけで・・・
ジブリの中で有力な若手が育っていないならば、制作事業の見直しが必須となるのでしょう。



<フランスのジブリ・オタクがすごい>
 10日の読売テレビ『「風立ちぬ」完成までの50日間に密着!』を観たけど、フランスのジブリ・オタクがすごいわけです。
ジブリクイズ大会の優勝決定戦の二人など、日本語ペラペラで、日本人オタクさえ知らないような難問クイズを答えていた。

 日本政府主導のクールジャパンは掛け声ばかり響くが・・・
このキャンペーン以前から、ハイジやトトロの売り込みがあって、今のフランス人オタクが生まれているのだろう♪


最新作『風立ちぬ』完成までの50日間に密着!ジブリの秘密が明らかに「笑コラ」3時間SPより
 フランスでは「となりトトロ」が2年前、DVDでNo.1を記録したほどジブリアニメが大人気だということで、ジブリ大好きなフランス人を集めてジブリクイズ大会を開催。ジブリを愛するフランス人たちの熱い戦いに野中さんも思わず唸る。

また、アフレコのエピソードも・・・
主人公・堀越二郎の声を演じる大人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」庵野秀明監督。元ジブリ社員のアメリカ人スティーブン・アルパート氏も重要人物の声優として参加。


 確かに、日仏両国の感性は近いようには感じるけど・・・
文化に対する政府戦略に関しては、フランスの伝統を感じざるを得ないわけです。

仏、日本文化に急接近 「感性近い」交流戦略より
 フランスが、日本との文化交流を戦略的に推し進めている。先月のフランソワ・オランド大統領来日の折に出された「文化に関する共同声明」には「(両国民の)共通感覚に基づく」協力を目指すことが明記された。

 2泊3日の日本滞在中に大統領が訪れたのは、東京の根津美術館と森美術館。片や古美術の宝庫、片や現代芸術の先端をゆく施設だ。一緒に来日したオレリー・フィリペティ文化・通信相も、森美術館で作曲家の渋谷慶一郎氏や写真家の荒木経惟氏らと懇談、日本の現代芸術への敬意を言葉を尽くして表明していた。

 現代芸術における日仏の交流は、1980年代頃から活発になりつつある。舞踏や文楽は、日本以上にフランスで、その創造的価値を再発見されてきた。野性味あふれる身ぶりに新たな洗練を携えた舞踏集団「山海塾」も、そうした風土に育てられた。

 「日本人の感性の柔軟さを、我々は直感的に近しく感じている」と仏大使館のベルトラン・フォール文化参事官。6月に埼玉で上演されたフランスを代表する振付家マギー・マランの「サルヴズ」では、自由の女神が割られ、サルコジ前大統領の肖像が頭で突き破られるなど、政治的かつ過激なシーンも満載。しかし、こうした挑戦的な表現を自然と受け入れる市場が日本の側にも育ちつつある。

 フランスからのラブコールについて、コンテンポラリーダンスに詳しい舞踊評論家の乗越たかおさんは「世界の文化マーケットでリーダーシップを築き直したいという思惑を感じる」という。フランスは歴史的にオペラやバレエで周辺諸国をしのぎ、「文化大国」の看板を独占してきた。欧州連合(EU)と米国間の自由貿易協定(FTA)でも、米国を警戒し「映画などの文化産業は対象外に」と主張し続けている。


 ■一流を自国から
 世界の「一流」を集め、それを自国から発信する。そうした戦略を貫くために時代とともに生まれ変わり、「文化大国」であり続けたい――。30代だった女性を文化・通信相に起用したあたりにも、清新な感性を世界にアピールする狙いが垣間見える。

 そんななか、鉱脈の一つとして注目されたのが、マンガやアニメといった日本のポップカルチャーだ。フランスでは「ジャパンエキスポ」が開かれ、日本でも今年、フランスの先端的な映像表現を紹介するイベント「デジタル・ショック」が各地で開かれた。

 ■施策整わぬ日本
 国際的な文化発信をめざす経済産業省主導の「クール・ジャパン」も、そうした動きに対応したものだ。とはいえ、産業を盛り上げるツールとしての文化と、人生を豊かにする「人間の核」としての文化の両輪を育てる施策はまだ整っていない。「才能あるアーティストを守り育て、自分たちの方法で世界へ発信していく戦略をそろそろ考えないと、日本の文化は消費されるだけで終わってしまう」と乗越さんは指摘する。

 フィリペティ氏に「伝統文化と現代芸術の支援のバランスをどう考えるか」と問うと、こう返された。「現代芸術は古典を継ぎ、次代の扉を開く。伝統を大切にすることと現代芸術を支援することは、私たちにとって全く同じことなのです」


 庵野監督の声の出演には、味わい深いものが感じられたわけだが、それなりの拘りがあったようです。

宮崎駿監督作「風立ちぬ」主演声優に庵野秀明 大物アニメ監督が異例のタッグより
アフレコ

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズでおなじみの庵野秀明監督が、宮崎駿監督5年ぶりの長編最新作「風立ちぬ」で主演声優を務めることがわかった。過去に「クワイエットルームにようこそ」や「ナイスの森 The First Contact」といった実写映画に出演経験もあり、アニメーション作品ではガイナックス制作のテレビアニメ「アベノ橋魔法☆商店街」の12話にゲスト声優出演の経験もあるが、長編アニメーション映画の主演声優は初めて。
 
 演じた二郎には、「“夢を形にしていく”仕事をしているところ」に共感したという庵野。「アニメや映画を作るということと飛行機を作るということは、作るものは違えども、夢を形にすることは同じ仕事なのだと強く思いますね」と話し、鈴木プロデューサーも「役者さんでは演じることのできない存在感です。映画を設計する監督と飛行機の設計士、作るものは違うが共通点もあると思いました。こじつけですが(笑)」と庵野の起用理由を明かす。




<いかにディズニーと闘うか?>
スタジオジブリの代表取取締役・鈴木さんが『仕事道楽』という著書で、いかにディズニーと闘うか?・・・を語っています。
p167~170
<原点は何なのか?>
 もともとジブリは、宮崎駿・高畑勲の映画を作るために立ち上げた会社です。やりたいことをやるために、会社を作った。でも、一方でジブリ作品がこれだけの実績を作ってくると新しい可能性がみえてくるし、また一方で会社として動きはじめると経営という問題がいやおうなく浮上してくる。このときどう考えるか?

 ぼくの答えは簡単です。「いい作品を作るために、会社を活用できるうちは活用しましょう」。これに尽きます。だから、そのために全力を尽したい。会社を大きくすることにはまったく興味がないんです。「好きな映画を作って、ちょぼちょぼに回収できて、息長くやれば幸せ」と思っていたし、それは今でも変わりません。理想は「腕のいい中小企業」です。以前、こんなことをしゃべりました(「「千と千尋」はディズニーに勝った」2002年)。

ディズニーがアニメ映画で唯一、興行成績でトップに立てない国が日本なんです。彼らからすれば、日本は2倍にも3倍にもなるはずの市場なのに、どうしてもうまくいかない。そこで『もののけ姫』『千と千尋』のスタジオジブリと組んで映画を作ろうと、ディズニーやドリームワークスが次々にオファーしてきています。でも、ぼくらはいまのところ、そのつもりはありません。なぜか、作品を作るうえで生活・風俗・習慣の違いが大きいし、作り方でもあまりにもシステムが違いすぎる。そして、いいものを作るには小さい会社のほうがいいに決まっているからです。

 ディズニーのスタジオを見学すると、スタジオなんていうもんじゃない、巨大な工場なんです。一時期は技術スタッフだけで一千人以上を抱えていた、と聞きました。・・・
 しかし、規模は違っても、実際のアニメ製作の作業はそう大きくは違わない。決定的に違うのは、企画までの準備段階なのです。


 実際には、会社というものは、大きくしていかないと維持が大変だという要素があります。おまけに親会社が大借金会社でしたから、つねにヒットを要求されていました。でも、会社経営の論理にのみとらわれたら本末転等で、ジブリの魅力も失われてしまうでしょう。

 ぼくはしばしば、「いいものが作れなくなったら、ジブリなどつぶしていまっていい」と言い放っていますが、そのくらいの覚悟がなければ原点は守れないと思っているからです。

 原点はやはり、「挑戦」だったと思うんですよ。安心できるものをひたすら作っていくというのではつまらない。これまでとは全然違うものを作りたい。『もののけ姫』から作品を作るペースを2年に1本としたのも、この思いと関わっていました。今年(2008年)、高畑さんは73歳、宮さんは67歳、ぼくも還暦60歳ですが、気持ちとしてはあいかわらず、まだ草創期をやっていますね。

 だからでしょうか、ジブリ広報部長の西岡純一がみんなに言ってまわっているのが、「この会社は毎日、何が起こるかわからないから、ほんと楽しい」。こう言ってはなんですが、毎日、何か起こるんですよ。だからやっぱりおもしろい。それでやっていけたら幸せじゃないですか。


ウン ディズニーに対して意気軒昂なところがいいですね。考えてみれば、ディズニーのほうが難しい立場にあるのかも?♪

【仕事道楽】
仕事

鈴木敏夫著、岩波書店、2008年刊

<「BOOK」データベース>より
「この会社は毎日何が起こるかわからないから、ほんとに楽しい」。高畑勲・宮崎駿の両監督はじめ、異能の人々が集まるジブリでは、日々思いもかけない出来事の連続。だがその日常にこそ「今」という時代があり、作品の芽があるー「好きなものを好きなように」作りつづけてきた創造の現場を、世界のジブリ・プロデューサーが語る。

<読む前の大使寸評>
映画プロデューサーとは何なのか?・・・感性とソロバンが両立できる人だとは思うけど。

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<ジブリの売りは歌なのか♪>
宮崎監督の遺作?とも噂される「風立ちぬ」を観にいったのです。
ゼロ戦のシーンは少ないと聞いていたが、確かにゼロ戦はラスト近くにチラッと見えただけでした。

風

技術者の夢にロマンスをからませた、やや女性向きのお話しになっていて・・・
右寄りの大使にとっては、物足りない思いがしたのです。

だけど、戦前から戦中にかけての自然や街並みのシーンがきれいで、大使が生まれる前の日本は斯くやとの思いがしたのです。

それと、挿入歌が良かったわけです。
映画「会議は踊る」で歌われた『ただ一度だけ Das gibt`s nur einmal』という歌だが、大使の好きな歌なんです。

「アメリカ人の音痴は、日本人以上だ」と宮崎監督は、アフレコのスティーブン・アルパート氏(元ジブリ社員のアメリカ人)の歌をそう評したが・・・
友人をアフレコに抜擢しておいて、それはないんじゃないか(笑)
外人役には、日本語が話せる外人を採用するところが完璧な拘りなんだが、友人の感性に期待を込めて、アフレコに採用するのも宮崎流なんでしょうね♪

以下に宮崎作品で気になる歌を並べてみるが、大使好みのいい歌ばっかりである。
そうか、ジブリの売りは歌なのか♪・・・と思ったりする。

Das gibt`s nur einmal
さくらんぼの実る頃
Heidi - Japanese Opening
Heidi Opening Deutsch Volle Version
いつも何度でも

ところでドイツ語の歌ということでは、コニー・フランシスが歌った「Schoner Fremder Mann」という歌が好きなんです(サヨカ)
ドイツ語がいいのか、コニーの色香がいいのか、判然とはしないんだけど♪
Connie Francis - Schoner Fremder Mann


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