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2019.05.26
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カテゴリ:気になる本
図書館に予約していた『極夜行』という本を、待つこと5ヵ月でゲットしたのです。
昨年末のETV特集『極夜 記憶の彼方へ~角幡唯介の旅~』を観たのだが、壮絶な内容であった。
…で、イラチな大使はこの本の図書館借出しを予約していたのです。


【極夜行】


角幡唯介著、文藝春秋、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
ひとり極夜を旅して、四ヵ月ぶりに太陽を見た。まったく、すべてが想定外だったー。太陽が昇らない冬の北極を、一頭の犬とともに命懸けで体感した探検家の記録。

<読む前の大使寸評>
昨年末のETV特集『極夜 記憶の彼方へ~角幡唯介の旅~』を観たのだが、壮絶な内容であった。
…で、イラチな大使はこの本の図書館借出しを予約していたのです。

<読始めの大使寸評>
このドキュメンタリーは連れ合いの出産場面から始まるのだが、予想が外れるわけで異色である。
なるほど命がけの探検のプロローグとしては、繋がっていると言えるのかもしれないですね。どちらも光に注目して描いています。

<図書館予約:(12/02予約、5/06受取)>

rakuten極夜行


「太陽」の再来を、見てみましょう。
p311~314
<太陽>
 ベンチレーターから外をのぞくと地吹雪で白い雪煙がまき立ち、視界は決して良くなかった。暴風時特有の空間の奥からとどろくような轟音は聞こえてこないが、風はテントを揺らしており、そこそこの強さであることはうかがえた。
 しかし、何しろここ数日は尋常じゃない暴風に晒されてきたので、ちょっとやそっとのレベルの強風はそよ風に思えてしまう。ただ、これでは出発しても視野が悪くて太陽は見られないかもしれない。私は少し落胆したが、しかしこのときの私は、もうほとんど太陽を見ることを断念していた。

 ところが、朝食のラーメンを作っている最中、外の状態に突然の変化が見られた。それまで地吹雪で白い闇に閉ざされて薄暗かったのが、急に明るくなり、テントの黄色い生地に薄い光が当り始めたのだ。

 もしかしたら太陽が出ているんじゃないだろうか。
 唐突な変化に私は戸惑い、高揚した。明るさはじわじわ強まっていき、まるで世界が全体的に黄金色に染まっていくような感じになり、それに伴い、気のせいか優しい温もりのようなものまで感じられた。その温もりはコンロの火とは明らかに性質の異なる熱のあり様をしており、周辺の空気全体がまるごと柔らかいオブラートでつつみこまれたような温かみだった。もうそんな温かみがあることを、私はすっかり忘れていた。

 私は興奮気味に準備をすすめた。たぶん太陽が出ている、太陽が出ているぞ、と思った。最初の太陽の光は絶対に全身で浴びたかったので、あえてベンチレーターから様子を見ることはしなかった。急いで朝食を掻きこみ、防風服を着て、ゴアテックスのパンツを穿き、靴下を替え毛皮靴をはいた。

 その間にもテントのまわりはますます明るくなり、眩しい光につつまれていった。コンロの火を消し。荷物をまとめ、あ、そうだ、亀川さんから最初の太陽は絶対に撮影してくれと言われていたんだと思い出し、コンパクトカメラの電源も入れた。そして入口の吹き流しをあけて外に出た。

 その瞬間、強烈な眩しさに私は顔をしかめた。
 テントの前で巨大に丸かった。唖然とするほど巨大だった。こんな大きな太陽は今まで見たことがなかった。フレアする巨大な火の玉だった。そう、私にはそれはごうごうと燃えさかる火の玉に見えたのだ。大きくて、温かくて、圧倒的で、信じられないほど丸々とした美しい太陽が、猛り狂った火の玉となって、核融合してエネルギーを爆発させて、真正面から金色の光を私に注いでいた。

「わあ…すげえ…。太陽だぁ…」
 私は子供のような、呆けた声を漏らした。


『極夜行』3:「最北の村」の続き
『極夜行』2:イヌイットとのファーストコンタクト
『極夜行』1:東京医科歯科大学附属病院分娩室






Last updated  2019.05.26 08:27:10
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