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2019.03.21
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図書館に予約していた『江は流れず』という本を、待つこと6日でゲットしたのです。
予約したのは1987年講談社版であるが、見つからないので2001年集英社版データを使っています。(いずれにしろ古い本ではある)


【江は流れず】


陳舜臣著、集英社、2001年刊

<「BOOK」データベース>より
同じころ鎖国状態が解かれた日本と中国。アジア進出をねらうヨーロッパに対抗し、朝鮮をめぐる「日清戦争」は運命的な戦いであった。伊藤博文、陸奥宗光、井上馨、李鴻章、袁世凱…深謀巧詐が脈うつ傑作歴史長編小説。

<読む前の大使寸評>
予約したのは1987年講談社版であるが、見つからないので2001年集英社版データを使っています。(いずれにしろ古い本ではある)

<図書館予約:(3/08予約、3/14受取)>

rakuten江は流れず


1858年、清国の属国であるベトナムへフランスが出兵しました。そのあたりを見てみましょう。

<第4章 風雲急なり>p55~57
 朝鮮で壬午の軍乱がおこった年、フランスはベトナムのハノイを占領した。
 フランスがベトナムに最初に大規模な出兵をしたのは、1858年のことであった。カトリック教徒の保護を口実に、スペインと共同して派兵したのである。

 第二次アヘン戦争が、アロー号事件によって勃発すると、フランスはイギリスと連合して、太平天国軍との戦いで疲れ切っている清国を攻めた。英仏連合軍が北京に入城し、円明園を破壊して、大略奪をおこなったのは、1860年10月のことであった。

 北京条約で停戦が実現すると、フランスはその兵力をベトナム南部にむけた。ベトナム南部は「南キー」と呼ばれてイタ。1862年、フランスはベトナムに「サイゴン条約」を強制して、サイゴンを含む三省一島を割譲させた。

 フランスは中国の雲南に目をむけていた。列強の中国分轄競争におくれをとってはならじと、その準備をしていたのである。地下資源の豊富な雲南からはじめて、そこから四川・広西へと侵略の手をのばすつもりであった。フランスはメコン河を侵略ルートに使う予定であったが、調査の結果、その上流は船が航行できないことがわかった。そこで、ベトナム北部をめざした。紅河、すなわちソンコイ河なら、雲南へ通じていたからである。

 清国にとって、ベトナムは朝鮮とおなじく「属国」であった。グエンアイン(嘉隆帝)が30年の内戦を平定し、新王朝をはじめたのは1802年のことだが、翌年、清朝は広西按察使の斉布森を派遣して、彼を「越南国王」に封じている。事情は朝鮮とおなじで、ベトナムは清朝の冊封は受けるが、清朝は宗主国の名目をたもつだけで、内政にはほとんど干渉しなかった。

 これは朝鮮だけではなく、琉球の場合もおなじであった。琉球はじっさいには島津藩の支配を受けていたのだが、表面上、清朝の冊封を受けていた。そうしなければ交易ができないのである。清の冊封使が琉球に来ると、島津の役人は、その期間だけ姿をかくしていた。清の冊封使もおそらく実情は知っていたのだろうが、知らぬふりをしていたにちがいない。

 ながいあいだ問題にならなかったのに、19世紀末になって、朝鮮とベトナムで、ほとんど同時に紛糾がおこったのである。朝鮮では日本、ベトナムではフランスが、からんでいたのだ。

 日本もフランスも、それぞれ朝鮮とベトナムを自主的な「独立国」とみなし、直接に外交交渉をしようとした。清国はそれにたいして、「宗主国」の看板をなんとか保とうとしたのである。


この本の末尾あたりで日清戦争講和締結を、見てみましょう。

<第37章 使節追放>p534~535
 丁汝昌は首を横に振った。
 降伏したあと、身柄はいったん日本側に引き渡される。マクリューアによれば、送還されたとき死罪と判明しているケースであるから、本人が希望すればアメリカへの亡命がゆるされるであろうという。清国は講和について、アメリカに頼ろうとしているのだから、提督の亡命に抗議することはあるまい。・・・

 丁汝昌の脳裏に、北洋艦隊を率いて、日本へ親善訪問したときの思い出が、つぎつぎとうかんだ。歓迎宴、表敬訪問・・・そのときに知り合った日本の友人たち。げんにいま戦っている敵の司令長官伊東中将も、日本で知り合った同業の友人である。長崎では水兵たちが、街頭で騒ぎをおこすようなまずいことがあった。けれども、彼の思い出のなかの日本は、なごやかな空気につつまれている。

(生きていたい。・・・)
 じつはそんな強い欲望が、彼の胸中深いところにあった。執着の心というべきであろうか。
(不可能だ)
 彼は強く打ち消した。背筋をのばし、マクリューアにむかって言った。

「軍人としての最後の仕事が降伏であるということは、私にはたえがたいことだ。しかし、正式に降伏しなければ、いたずらに人命が失われる。・・・私が死んだら、私の官印を用いて、私の名で降伏の文書を作っていただきたい。自分では捺す気がしない。・・・」
 提督の目はうるんでいたが、ついにそれは涙にならなかった。

 丁汝昌は毒を仰いで自殺した。2月12日の午後のことである。場所は劉公島の軍営のなかであり、用いた毒はアヘンであった。
 
(追って記入予定)

ウーム 朝鮮、ベトナム、台湾といえば、それぞれが中国の属国として、艱難辛苦の歴史を経てきた国であり、いつも頭の片隅に留まる国でもある。

また、この3国は米中の代理戦争を経験してきたことも共通していますね。


『江は流れず』1
この本も陳舜臣アンソロジーに収めておくものとします。






Last updated  2019.03.21 06:32:33
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