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五輪まで低俗なバラエティー番組に貶めるテレビ局の「見識」 わが国のテレビ局にかかれば、 世界最大のスポーツイベントでさえ、ショーアップ化しないと気が済まないようだ。 今回に限ったことではないにしろ、 テレビ局、特に民放の中継は見るに堪えないものばかりだった。 そもそも「ライブ(生中継)」と銘打ちながら、放送は試合開始の1時間も前から始まり、 現地と日本のスタジオを結んで、アナウンサーやタレントによるつまらない掛け合いの 垂れ流し。試合開始を「まだか、まだか」としびれを切らした向きは少なくなかったはずだ。 見るに堪えなかったのは、「五輪キャスター」と称して現地に派遣されたタレントたち。 マラソンの高橋尚子や柔道の野村忠宏らのメダリストが解説者やリポーターを務めるのは よしとしても、なぜ中居正広、桜井翔、国分太一といったジャニーズのタレントを 五輪中継に引っ張り出すのか。4年に1度、大げさに言えば人生をかけた アスリートの大一番を、視聴率欲しさにスポーツの素人に何かを語らせるテレビ局は 自分のクビをしめている。 フェンシング男子の太田雄貴がフルーレ個人戦の3回戦で敗退した際には こんなことがあった。あるタレントが「ミックスゾーン」と呼ばれる 取材エリアに入り込んだものの、気の利いた質問が浮かばなかったのだろう。 「今のお気持ちは?」と素人のような質問ばかり。ムッとした太田が 「まだ団体戦がありますから」と言い残して立ち去る一幕も。まるでお友達との会話である。 「スポーツ中継、番組のショーアップ化は今に始まったことではありませんが、 今回は特に目に余りましたね」というのはマラソンなどの注目競技をテレビ観戦したという 政治評論家の山口朝雄氏だ。 「中でも私が感じたのは五輪出場までの道のりを美化し過ぎていたことです。 中継前に選手の苦労話を必要以上にクローズアップしたり、 明らかにメダル獲得の可能性が低い選手を引っ張り出して『ここがスゴイ』などと 無理やり持ち上げるケースもありました。 しらじらしいものを見せられれば、競技への関心は失せてしまいますよ」 日本人選手のメダリストが誕生すれば、各局横並びで現地の特設スタジオに招き、 「今、何がしたいですか?」などと判で押したように同じ質問の繰り返しだ。 「各局とも聞く内容に中身がなさ過ぎます。選手やチームの裏話がほとんどで、 試合中の心境、プレーや技に関して踏み込んだ質問はありませんでしたから。 視聴率稼ぎのためなのか、選手をお笑い芸人かタレントのように扱い、 笑いを取ろうとする姿勢が見え見えです。 メダリストや視聴者を冒涜(ぼうとく)しているとしか思えません」(前出の山口氏) 次回のリオデジャネイロではまともな中継を期待したいものだ。 (日刊ゲンダイ2012年8月14日掲載)
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最終更新日
2012.08.16 13:35:19
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