『水を縫う』寺地はるな
普通って何?自分を中心とした物の考え方なので、普通の基準はみんな違う。父親の全は不器用ながらも離婚で別れた子供たちを心配し、友人で雇い主の黒田が代わりに養育費を渡しに行く、自分は独身なのに全のことを理解しているからできることかも。手芸が好きで高校生になって初めて友達ができた清澄。祖母は幼少期から清澄に刺繍を教える。働くしか能がないからと、具合が悪くても休まずに体を壊してしまう母。小学生の時にスカートを切り付けられる被害に遭った姉の美青。姉弟の名付けの意味を知り父の想いを知る。ガーゼ素材のウエディングドレスは父親の全でなければ作れなかっただろう。それに白い糸で刺繍をする清澄。じんわりしみこむ文章が好きです。水を縫う [ 寺地 はるな ]