「イン・ザ・プール」という映画を観ました。
2004年公開の松尾スズキさん主演の作品で、
「時効警察」の三木聰さん監督・脚本の作品なので、
あの「時効警察」のノリが好きな人には、かなり楽しめる作品だと思います。
ストーリーは心の病を抱えた人が精神科の門を叩いたところ、
自分よりもっと変で破天荒なドクターに振り回されているうちに
自然に心の病も癒えていく…というもの。
そう心の病を取り上げている映画なのですが、
最初から最後まで爆笑できる作品です。
そして、登場人物3人の心の病は、誰しも抱えているようなもので、
観終わったあとは、「もっと気楽に生きていいんだ」と
肩の力が抜けるような気分になります。
事実、私もこの3人の心の病、全部、持っているような気がします。
まず、オダギリジョーさんが演じたサラリーマン、田口さん。
どんな症状になったかは、レディの手からはとても書けないようなものですが(笑)
その原因は、浮気相手と再婚するために自分を捨てた妻に対する未練を
捨てきれないところにあり、そんなひどいことをした元妻にも、
決して感情を爆発させたり、怒ったりできないところにありました。
最後、自分の症状を面白がってビデオに撮り、
症例だけを参考にするつもりで、決して治す気のない大学病院の医者たちに
きれまくって暴れ、警察に連れていかれたところで治るのですが、
感情を内に納め、ちゃんとコントロールすることなく
いやなことに目をつぶっていると、
症状は体に出ていくんだな~と教えられました。
そして、自分の感情と折り合いをつければ、
それも自然と治っていく…。そんなことを考えさせられました。
私も、結構、物分りのいいタイプで、
例えば、つきあっていた人と別れる時もそんなに感情を爆発させたり、
納得するまで話し合うということをせずにいたところがあります。
でも、それは優しさとか思いやりというよりも、
問題を直視せずに、自分の心をごまかしているような場合も多かったような気がします。
勿論、きれるとか怒るというのがいいことではないけれど、
自分の心に向き合わなかったり、相手と誤解を恐れずに誠意を尽くして
話すということをせず、表面的にいい人を演じていてはだめなんですよね。
まあ、私は特にこの映画のように、
それが原因で体に反応が出るということはなかったけれど、
「優しいふりでほんとは、優しくない人。人間関係の摩擦を恐れて、本音を言わない人」みたいな
この映画の登場人物の性癖、結構あてはまるな~と思って、考えさせられました。
次に、市川実和子さんが演じたルポライターの涼美。
どんな時にも「ガスとめたかなあ~」「鍵しめたかなあ~」とか
家の戸締りなどが気になって、しょっちゅう仕事をすっぽかして
家に確かめに帰ってしまう強迫神経症の女性です。
これはね~、すごいわかるんですよ~。
仕事の途中に気になって帰ることはありませんが、
私も何度も戸締りを確認しないと家から出られないタイプ。
で、この原因は小学校2年生の時の担任の先生が、
「ガス爆発がいかにひどいか」「火事がいかに怖いか」
「戸締りがいかに大切か」を、ものすごく大げさに言ったことにあると思います。
先生にしてみれば、事故を起こさないために、
子供の頃にしっかり防犯意識を植え付けるという教育意図があったのでしょうが、
記憶力のいい子供は、大人になっても、
まだその話の恐怖心を覚えているのですよ~。
そう、この間、印象的な歌は1度聞けばカラオケで歌えると書いたところ
かなりの人にうらやましがられましだが、
記憶力がいいということには、こんな弊害もあります(笑)
小学校2年の時のことも、昨日のことのように覚えている大人ってのもねえ…(泣)
でも、私の場合は、まあ無用心なよりはいいか、と
あまり気にしていなかったのですが、この映画の涼美は、
子供の頃、かくれんぼして冷蔵庫に入れたままの友人を出したかどうかまで、
気になってふるさとに冷蔵庫を探しに行ったり…?
でも、破天荒な精神科医は、傘を持たずに雨の中を歩かせたりして、
濡れることもそれほど悪くないことを教え、彼女の恐怖心を少しずつ、取り除いていきます。
まあ、そんな教訓めいたやり方ではないのですが。
そして、不思議なことに私もこの映画を観て、確かめる時間が減りました。
そんなに神経質にならなくてもいいんだ~という気分になるんですよね。
それから、ストレスを取るために通いだしたプールなのに、
次第に泳がないと生きていられなくなっていくプール依存症の
田辺誠一さん演じるエリートサラリーマン大森さん。
これもね~わかるんですよ。
私も以前、スポーツクラブで毎日1km泳いでいたんですが、
最初は健康のために泳いでいるのですが、
そのうち泳がないとだめだ!という強迫観念が強くなり、
旅行の後もわざわざ行ったり、泳ぐことが目的にとってかわってしまったり。
これ、スポーツとか仕事とか趣味にも言えることですね。
ストレス発散のためにやっていることが度を越して、
それをやらないと耐えられないようになったり、
ワーカーホリック、スタデイホリックになりがちな真面目な日本人。
あまりひとつのことに固執せずに、楽に生きなくてはね!
でも、この3人は、誰の中にもいる3人のような気がします。
そして、神経質になりすぎている3人に、
もっと楽に生きようよ~と終始、おちゃらけている
松尾スズキさん演じる精神科医の伊良部先生。
観ていると、自分の心もなんだか楽にしてくれるような映画です。
あまり人生、がんじがらめに考えず、
楽しむことを最優先すればいいのだな~と笑いながら教えられました。
私も、自分の心のこだわりを捨てて、
もっとふんわりと生きていきたい!とこの映画を観て思いました。
そして、毎日を面白おかしく楽しんで生きていきたいと思います!!
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