芋名月
仕事に区切りをつけて職場を出ると雲間から月が姿を現した。自宅の最寄り駅を出ると、頭上にすっきりと満月が見えた。今夜の月見はあきらめていたのだが、予想外にきれいな月を眺めることができてうれしい。仲秋の名月は芋名月ともいうくらいで、里芋の収穫期にあたるこの時期には、収穫の感謝の意味もあって里芋を供える所がある。職場でそういう話をしていたら、団子でなくて芋を供えるなんてどこの田舎だ、なんてからかわれてしまった。そういう風習は知らないという人が多かったのは、地域性の問題だろうか。キヌカツギなんかをほっこりと蒸して、わずかに塩をまぶすくらいでつるりと食するのがこの時期の楽しみなのに…。そういえば去年役所の食堂にキヌカツギがメニューに登場し、喜んで頼んだらムカゴというのもおこがましいような小さいのが出て来てがっかりしたっけ…。