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カテゴリ: ピアノレッスン番組
NHK教育テレビのスーパーピアノレッスン、今週のレッスン曲は「ロンド ニ長調 K.485」である。全音のソナチネアルバム第1巻にも掲載されている可愛らしい曲であり、私自身、小学生の頃のクリスマス会で弾いた思い出の1曲だったりする。ソナチネアルバムを使用していた人ならば、この曲を実際に弾いた経験がある人も割と多いのではないだろうか。
学生時代はよく息抜き代わりにこの曲を弾いては癒されていたものだが、つい先日、久々にこのロンド ニ長調を弾いた私は、癒されるどころか、情けなさでいっぱいになっていた。細かな部分こそ忘れていたとしても、初見(初見とはいわないか、小学生の頃弾いたのだから)である程度弾けるはずと思っていたのに、早いパッセージは思いっきりつまずいている。「げげっ!」私は小学生の頃に弾いていた曲さえ、まともに弾けないのか? まぁそんなぼやきはさておき、本題に入ろう。アントルモン氏はレッスンのはじめに生徒さんを前に「今日の生徒は11歳、この作品がぴったりだと思う」と語り、心なしか、いつもよりも表情が優しいように思えたりも。そう、このスーパーピアノレッスンの生徒群のなかでは、今回の生徒さんが最年少である。あぁ、なんとも可愛らしい。 しかし、一旦レッスンに入ればやはりアントルモン氏はいつものアントルモン氏であった。一旦、生徒さんに演奏させた後、「いつもちゃんと楽譜を見て練習していますか」と手厳しい指摘とともに細かなチェックがはじまった。(以下、各小節の注意点は青字は先生の注意点、括弧内の黒字は私なりのコメント) ・1~4小節:2小節、4小節はレガートで。鍵盤から手をあまり離さないで (2小節、4小節にスラー表記あり。楽譜をきちんと見て弾いてほしいという上記の指摘はこの部分に関係あり。また、同時に左手の伴奏は強すぎないように、との指摘もあり。) ・16小節:右手、強すぎないように (次小節から左レガート、右軽やかな和音進行、という場所ゆえ、つい右手が力みがちになる。アントルモン流にいえばあくまでもシンプルに、だろうか) ・22小節:右手の指使いに注意。5-1-2ではなく、5-2-1指で。 (この部分を今、書きながら自分はどう弾いているだろうか、と振り返ってみる。ちなみに譜面には1音目の5指指定こそないものの、2-1指については掲載されているため、アントルモン氏は「楽譜に書かれた正しい指使いで練習して欲しい」と力説。) ・44小節:左手が旋律を奏でる部分もレガートを忘れずに (ここでは左手で、主題の旋律を奏でる部分だが、同様にスラー表記がある箇所はしっかりレガートを心がけることを忘れずに!!ということだ) ・47小節:右上行、強すぎないで! (16分音符で駆け上がる箇所、ここはどうしても気持ち的に高揚し、自然と力をこめて弾いてしまいがち。) ・56小節:スラー内はひとくくりで弾き、途中で息継ぎしないで (右の進行上、2.5拍目で息継ぎをしたくなる箇所(ミレ~(ここでつい)vミレド#シラソ#)であるが、ここは一気につなげて弾く箇所。気をつけよう) ・71小節:いつもメロディを大切に歌って (これだけでは何のことだか分からないだろうが、指摘の箇所は、前小節から転調してト長調で主題部を弾く箇所。つい前小節の流れを引っ張ってしまい、ト調の主題をきちんと歌わず、旋律の途中から気持ちを切り替えたような弾き方になる場合があるので、常に旋律の流れを、実際に歌うように奏でること) ・94小節:テンポを動かしすぎずシンプルに (次小節からニ長調の主題部に戻る箇所。つい進行上、rit気味になってしまうが、ここはあくまでシンプルに主題に戻りたい。) ・102小節:右16分音符進行、次小節のために急がないで (これは冒頭の主題部にもいえることだが、右のみの16分音符進行部分、ここはつい急いで弾いでしまいがち。しかし、あくまでもテンポは守って。でないと、変な揺れが発生して聴いていて気持ち悪くなってしまう) ・110~111小節:右8分音符の3連符、軟らかすぎないように (該当小節からヘ長調に転調して主題へと続く部分。ぐにゃらないように) ・112小節:71小節同様、旋律の流れを考えて弾くこと (ここからヘ長調にて主題を弾く部分なのだが、71小節での指摘同様、前小節からの流れをそのままひきずって主題につないだ場合、旋律の切れ目が変なところになったりするもの。どうやら今回はこの指摘が多い。アントルモン氏は、ここで「自分の演奏をよく聞いて、それから何をしたいのか、何が出来るのか、そして何がいけないのかを考えて。(旋律をきちんと)歌ってごらん。」とじっくりと指摘している。) ・123~124小節:静かに始めてから音階の上で少しクレッシェンドするように (ここは左のみの3連符の上行し、次小節(左にて主題の旋律を弾く部分)へとつなぐ箇所。譜面上には強弱指定は無いが、アントルモン氏的には、ピアノから徐々にクレッシェンド気味に弾くとよろしい、というテキスト上の指摘あり。) ・130小節:3拍目強すぎないで。そして休符はきちんと守って (進行が上向きゆえ、3拍目を強くしがちだが、それはダメ。そして、他小節でもいえることだが、左の休符はきちんと守ること。同様に134小節目でも休符指摘あり。) ・136~137小節:付点進行も、きちんリズムにのって (ロ長調での主題部へとつなぐ、手前箇所。右手付点を含む箇所であるが、曖昧でなく、きちんとリズムにのった弾き方をすること。しかし、テキスト上の表記には「どこに行くのか、困惑気味に!」と書かれているのだが、どうもこの表現が抽象的過ぎていまひとつわからない。リズムにしゃきっとのっていると、とても困惑気味に表現できないと思うのは、私だけだろうか??) ・143小節:左二分音符はきちんと伸ばすこと (これは特にこの場で掲載する指摘ではないが、生徒さんが左の2分音符を4分音符気味に弾いていたため、指摘あり。ここはドーンときちんと左オクターブの二分音符は伸ばして弾くべき場所。) ・149小節:71,112小節での指摘同様、1拍目を大事にして (ここは主題部ではないのだが、1拍目からスラー開始箇所ゆえ、1拍目に重きをおき、決してスラー途中箇所で1拍目の音圧を超えるような音でひいてはならない・・・ということ。) ・155小節:十分時間をとって。そして指使いも守って (付点を含む、右手同音進行部分だが、なにげなく曖昧に弾かない。そして同音進行箇所は、楽譜に記載されたとおりの指使いで弾いて) 以上ここまで。個人的に気になったのは、主題部の3,4拍目にいれる装飾符である。生徒さんは割と丁寧にそして優しげに入れていたのだが、私はといえば、かなりおどけた感じで、割とカラッと弾いてしまっていた。特にアントルモン氏もそれに対して何の指摘もなかったため、今まで自分が弾いていた装飾音に自信がなくなってきた。 人の演奏を聴くことはとても大切な一方、時に、己の演奏を迷わすこともあるということを、今更感じてどうするのだ。 と、アントルモン氏の模範演奏においても装飾音はかなりキリッと弾いていたため、「まぁ、結局、各自の好みでいいのか?」とそんな結論に落ち着いてしまった。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 今回のモーツァルト・スケッチ(小話)は、トルコ行進曲でもおなじみの「トルコ」のお話。オートスリアといえば、その昔、トルコとはかなり深い関係にあったということもあってか、各所にその名残があるらしい。興味深かったのは、私も大好物である「クロワッサン」なお話。実はこれ、1683年にオスマントルコ軍がウィーンを包囲した際、ヨーロッパ諸国連合軍がそのトルコ軍に勝利したことを祝って作られたパンだったりするのだ。そのパンの形が、トルコ軍旗に描かれていた三日月型、ということらしい。なるほど、それでクロワッサンは三日月型なのである。というわけで、これがクロワッサンの起源となったとか。普段、あれほどクロワッサンを食べていながら、私はその起源について全く知りもしなかったのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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