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カテゴリ: 視聴レポート
7月8日、ピアニスト清塚信也氏のサロンコンサートのため、ピアノ仲間さんと一緒にヤマハ所沢店へ。実は、このコンサートに出かけるまで、私は清塚信也氏のことを全く知らなかったのであるが、実は彼、今年の日本ショパン協会主催のショパンピアノコンクールで第1位を受賞しており、今年秋に開催されるショパン国際コンクールの予選にも出場するらしい。
あぁ、そういえば確かに今年はショパン国際コンクールの年ではないか。 秋になると、話題もショパンコンクールでいっぱいになりそうだ。・・・って久しくショパンから遠ざかっていた私には、今回のコンサートがショパン熱を再燃のきっかけになりそうである。 と、話をコンサート当日に戻そう。18時半開場に合わせて会場に行ったはいいが、既に席は満席に近い状態。「も、もしかして既に人気爆発な人なのだろうか?」。観客は女子高生やらピアノの先生風やら主婦やら、ほとんどが女性で占められている(少々複雑な思いが・・・)。 そして19時、清塚氏が登場。さっそうと、いや、ちょっとはにかみながらピアノの前へと歩いていく。うむ、確かに女性に人気が高そうな雰囲気が全身にただよっている。写真で観たときは「クラシック界の川崎麻世(の若い頃)」かと思っていたが、実際に見ると、「いや、あれはクラシック界の伊藤英明か」。(すると偶然にも、後部座席の女子高生が「ちょっと伊藤英明に似てない??」「えー似てないよー」「雰囲気がちょっと似てるよー」と話しており、おっ、私も女子高生と同じ感性をもってるのか、とニヤリ。) ってそんな話はどうでも良いか。 今回のプログラムは以下のとおり。 ・ショパン ノクターン 第16番 変ホ長調 Op.55-2 ・ショパン 華麗なる変奏曲 変ロ長調 Op.12 ・ショパン スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 Op.39 ・ショパン ポロネーズ 第5番 嬰ヘ短調Op.44 ・ショパン マズルカ第36番 イ短調 Op.59-1 ・ショパン マズルカ第37番 変イ長調 Op.59-2 ・ショパン マズルカ第38番 嬰ヘ短調 Op.59-3 ・ショパン ソナタ第3番 ロ短調 Op.58 ・ショパン 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60 つまり、オールショパンプログラムである。1曲目のノクターンの際は少々演奏に堅さこそ感じられたものの、ほどなくそれはほぐれていき、実に「良い音」を聴かせてくれる打鍵が印象的だった。彼自身、トークのなかで「ショパンの曲はどちらかといえば女々しい印象がつきまとうが、今回のプログラムで少しでもその印象が変わってくれれば嬉しい。」と言っていたとおり、これぞまさしく「しんの強さ」を感じさせられるショパンである。また、「ショパンは頑固なんです」の言葉に思わず爆笑。ピアノの詩人と言われるショパンであるが、ただ甘ったるいだけの演奏ではだめなのだ、これを再認識させてくれるひとときでもあった。 それにしても、曲の間にはちょっとしたトーク、これがなかなか面白い。会場にはピアノ教師の方々も多かったうえに、会場自体がヤマハセンターだというのに、あえて「ピアノは習う楽器ではないのです」と言い切ってしまうあたりが、あぁ、若さゆえ?しかし、この言葉だけ聞けばちょっと不快になる人もいるだろうが、その言葉の真意は「ただ言われたことだけを練習しているだけではだめ」ということであり、同時に「技術ばかりに目をむけるのではなく、もっと音楽を表現する感性を自ら磨いて欲しい。自分の個性を大事にして欲しい。それらは誰かに教えてもらって身に付くものではなく、自ら学ぶもの」ということであり、私としては大いに納得である。 それから「これからの時代、もっと格好良く魅せる演奏をすること」も重要、と語っていた。どうやら、クラシック音楽自体が、昔気質な状態ゆえ、いまひとつダサイというイメージがつきまとってしまっているので、これからはもっと幅広い層に聴いてもらうためにも、やはり「見た目」は大切だとか。(ここで清塚氏本人、決してうぬぼれで言ってる訳ではないのですが、と一言注釈をいれるあたりが、うむむ、自らの格好良さを自覚しているのか(笑)) ただ、「格好良く魅せる演奏」を自己陶酔な演奏と勘違いされてしまっては困るというのが、私個人な意見である。私としては自然と表れるさりげない格好良さ、そして当然ながら、それが演奏と釣り合っていること、やはりこれを頭に入れておかないと、滑稽にすら感じられてしまう。・・・はい・・・自己反省。 今回、清塚氏のショパン演奏を聴いて、私はつくづく安心感と期待で胸がいっぱいになった。いまだショパンの演奏は甘く優しく・・・が通用されている日本内でのショパン印象を、彼が良い形で壊していってくれれば良いのではないだろうか。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 余談ではあるが、今回の会場は、いつもならばピアノの展示フロアである場所にズラリと観客椅子を並べたこじんまりとした会場であった。しかも、窓が巨大なガラス張りなため、外の通行人からこの会場が丸見え、それゆえ、通行人からしてみれば「何やってるのだろう?」状態で覗き込む始末。音楽にのめりこんでしまえば、気にならないと思っていたが、やはり、視界の端でチラチラと動く影がどうしても気になってしまった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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