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garasha_do999

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Apr 30, 2006
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カテゴリ:韓国映画
パク・チャヌク監督、長編4本目。そして、これ以後に「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」と続く“復讐三部作”の最初の映画です。
“復讐三部作”は3本とも甲乙つけがたいほど、自分のなかでは拮抗した存在ですけど、強いて挙げるならばこの「復讐者に憐れみを」を挙げることになりますか。理由は。ぺ・ドゥナが出ているから、しかもヌードあり、ムフフ…のはずがありません。
「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」は主人公が超人的なのに対して、登場人物たちが“生身”の人間として生きているところが、この映画の好きなところなのだと思っています。
パク・チャヌク監督も、この映画を“リアリズムの映画”だと言っています。原義的な意味で“リアリズムの映画”と言っているのではないでしょうし、この映画を“リアリズム映画”だとは思いませんけれど、言っている意味がなんとなくわかります。言いたいのは恐らく、登場人物たちが等身大で描かれているということなのでしょう。
主演は、ソン・ガンホシン・ハギュンペ・ドゥナという韓国映画界の顔ともいえる素晴らしい顔ぶれがずらりとそろっています。しかも、彼らがそれまでのイメージを覆すような役柄で、名演技を披露してくれています。
また、リュ・スンワンリュ・スンボム兄弟が意外な役で、チョン・ジェヨンがあれっという場面(出演じシーンが短いのでお見逃しなく)、イム・ジウン(ドラマ「英雄時代」「愛の賛歌」に出演)がシン・ハギュン演じるリュの姉役で、それぞれ出演。このほか、イ・デヨンキ・ジュボンといった脇役の“常連”さんたち、「オールド・ボーイ」でノ・ジュファンを演じたチ・デハンなど実力派の俳優さんたちが、しっかりと脇を固めています。

【ストーリー】(ネタバレ寸止め!)

聴覚に障害があるリュ(シン・ハギュン)は、腎臓を患っている姉(イム・ジウン)とふたりで暮らしています。姉の病は重く、本来ならば入院しなければならないところですが、とても入院費を出せるほどの余裕はありません。リュは姉に対して何もできない代わりに、ラジオ番組に自分の思いを投稿し、姉とふたりでその番組を聴いています。
リュは病院に行って、自分の腎臓を姉に移植してもらうよう頼みますが、A型の姉にB型のリュの腎臓は移植できません。悩み苦しむリュ。
ある日、リュは公衆トイレで「臓器斡旋」の張り紙を見つけます。自分の勤める工場からリストラ退職を迫られていたリュ。臓器提供を受けるため、工場を辞めて1000万ウォンの退職金を手にします。その退職金を持って「臓器斡旋」業を営む一家を訪ねます。
しかし、実はその一家、臓器売買の闇ブローカー。リュは退職金だけでなく、自分の腎臓も奪われてしまいます。
その後、医者から臓器提供者が現れたことを告げられますが、手術費用はすでになし。泣く泣くその場は諦めることに。
リュにはヨンミ(ペ・ドゥナ)という“彼女”がいます。ヨンミは、自分でビラを作ってはそれを街で配って歩く“共産主義活動家”です。
リュがヨンミに退職金と腎臓をだまし盗られたことを打ち明けると、ヨンミは烈火のごとく怒り、リュを蹴るの殴るの… 冷静さを取り戻すと、ヨンミは善後策として、子供を“誘拐”して身代金を要求するよう、リュに話を持ちかけます。気の弱いリュは「できない」と首を横に振りますが、ヨンミは「子供を殺さずに金持ちから金を奪う“誘拐”は“悪”ではない」という理屈を持ち出し、リュに計画を進めるよう迫ります。
そのターゲットとなったのは…

【感想と紹介をかねて】

“三部作”通じていえることですが、これも一筋縄ではいかない映画です。ミステリーといえばいえないこともなく、“グロ映画”といえばいえないこともなく、“不条理劇”といえばいえないこともなく、“悲劇”といえばいえないこともありません。しかし、そのどの言葉をとっても、とてもこの映画を包み込むことは不可能です。
賛否に関しても(韓国ではこの映画は興行的にも失敗だったようですけど)、ほめる人は少ないと思います。正直に言って、私自身、最初この映画を観た後の感想は、決していいものではありませんでした。「なんでここまで不幸を数珠つなぎにしなければならないのだろう」というのが、最初の感想でした。あと味の悪さときたら、ノアール映画もその比ではありませんでしたし。
観ていない方にはあらかじめ断っておきたいのですけど、「臓器売買」「幼児誘拐」「復讐の連鎖」という吐き気のするような不快感をともなった要素が、この映画には多々あります。少なくとも、「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」がダメという人にはお奨めできません。「復讐者に憐れみを」の不快感は、この2作以上に心理的に残る種類のものだからです。そのあたりは、パク・チャヌク監督が、この映画を“リアリズムの映画”と言っているところからもうかがい知れるものがあります。
しかし、この映画の溜飲の悪さに立ち戻ってみると、「復讐者に憐れみを」の精緻さというのも改めて浮き彫りになります。登場人物たちの置かれている状況、取り巻く環境に対して、彼らはあまりにも無力です。そうした状況・環境があったとすれば、彼らの立場というのはまんざら絵空事とも言えないものがあります。

「復讐者に憐れみを」は複走的な2つの話が絡み合う映画です。主人公も1人ではありません。それ以外にも登場人物たちが、個々に背景やエピソードを持っていて、別の登場人物がそれぞれ同じ悩みを抱えていたりして、それらが複雑に絡み合っています。そういうところからも、観るたびごとに違った見方ができる多義性を備えています。

映画のおもしろさという観点からいえば、リュが聴覚障害者であるというところに、“仕掛け”がなされていること。これが、クライマックスにおいてとんでもない“作用”をもたらします。もちろん、観てのお楽しみです。それも含め、“謎解き”のディテールでの工夫が、単純ではあるけれども、なかなか湖っているのも見逃せません。しかも、それが心情と結びついているので“詩的”に作用しています。

この映画の興味の要素として、キャスティングが大きい部分を占めています。それぞれが、熱演・好演でこの映画をより味わい深いものにしています。
ソン・ガンホは、不景気で経営が傾いている中小企業「イルシン電気」の社長・トンジンを演じています。その不景気の影響で妻(イ・カニ)には逃げられ、解雇した従業員(キ・ジュボン)には目の前で“切腹”されます。
トンジンに残されたのは、一見裕福そうな大きい家と一人娘・ユソン(ハン・ボベ)。しかし、これがアダになって、トンジンは“不条理劇”に巻き込まれてゆきます。そのトンジンの苦悩を演じたソン・ガンホ。悲しみを押し殺すような演技は、他の映画で観てきたソン・ガンホとは打って変わったもの。心打たれます。

リュを演じたシン・ハギュン。聴覚障害者で言葉も話せないリュの役ですから、表情とボディーアクションを使っての演技です。難しい役でしたけど、シン・ハギュンは自分のものにしていました。悲しみを背負っているんですけど、少しばかりコミカルさもある、とても引きつけられるキャラクターでしたね。この役のシン・ハギュンには、かなり思い入れがあります。

そして、ぺ・ドゥナ。コミカルな役が多く、そこに彼女の魅力の大半があるんですけど、その流れからしてもまったくと言っていいほどイメージと異なる役。かなり過激なキャラクターであるうえに、手話までこなさなければならない難役です。けっこうたいへんだったのではないかと思います。メイキングでも出てきますが、撮影中、涙をこぼすことも…
でも、でき上がった映画のほうは、まったく舞台裏での苦悩を感じさせるものではありませんでした。役者根性も半端じゃないぺ・ドゥナでした。

この映画がきっかけで、シン・ハギュンぺ・ドゥナは一時お付き合いしていたんですよね。当時、ネットメディアでは話題になっていたのを思い出します。メイキングでは、その裏話をソン・ガンホが“暴露”!(通俗ネタで恐縮です)

この映画には、リュ・スンワンリュ・スンボム兄弟が出演しています。
弟さんのリュ・スンボムは、脳性麻痺の青年役というこちらも難役でした。出演場面こそそれほど多くないものの、映画のうえではキーパーソン。リュ・スンボムは脳性麻痺の人たちと実際に会って役づくりに挑んだだけあって、迫真の演技でした。
お兄さんのリュ・スンワンは出前のお兄さんの役だったんですけど、最初はカメオ出演でちょっと出て終わりの予定だったみたいです。でも、その後いろいろ注文があって出演時間が増えています。ちなみに、リュ・スンワンへの出演料はなく、その代わりが「復讐者に憐れみを」のDVDだそうです。
この人、お若いのに実はたいへん注目されている監督さんなんですよね。「ダイ・バッド」血も涙もない」「ARAHAN アラハン」リュ・スンワンの監督作品です。先月公開になった「クライング・フィスト」もそう。すごいですね。
実は「復讐者に憐れみを」のメイキングで、リュ・スンワンシン・ハギュンぺ・ドゥナを演出するところが写っているんです。もちろん、パク・チャヌク監督の許可をとったうえでのことですけど。
その演出が素晴らしいんです。自分でやってみせちゃったりしているんですが、これが巧い! さすがは監督兼俳優というところをみせています。でも、こういう人に演出されちゃうと、俳優さんは辛いかもしれませんね。「じゃあ、自分でやってみろ」っていえないもの。
リュ・スンワン氏、俳優としては「オアシス」にも出演しています。

この映画は新宿武蔵野館で観た後、だいぶ経ってからDVDで買いました。パク・チャヌク監督という人はDVDにも力を入れて映画を作る人なので、メイキングなどもおもしろく作られています。この映画を劇場で観たという人も、買って損はないと思います。

DVD 復讐者に憐れみを デラックス版 <送料無料>

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Last updated  Apr 30, 2006 03:20:50 PM
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