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テン・テン・テレツク・ステテコ・テン・テン・『おもしろ亭』にようこそ

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2010年12月28日
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カテゴリ:創作落語

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                 迷醉亭つるべえ(やじうま亭キャラクター)




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スットコ・テケ・ツク・テケ・トン・シャン・テン・テン・ツク・ポン・テケ

・シャン・テン・トコ・テン・テケ・ツク・ポコ・チン


ようこそのお運びでございます。

え~、暮れもいよいよ押しつまりまして、

せわしなくなってまいります。

え~、戦後、世の中あ、アメリカのおせっかいでグローバル化されましたそうで、

(使い慣れない片仮名語は使わなけりゃあいいんですが・・)

おかげで、何でも金金金の世の中になって参りまして、

人心の荒廃はなはだしく、パパンパンパン!

天下は、麻のごとく乱れ、パンパパン!

菅首相の頭の中も、麻のごとく乱れ、パンパパン!

商売繁昌してるのは、詐欺師だけ・・・なんて世の中でございます。

近頃では、詐欺の種類もたいそう増えましたそうで、

いちいち紹介してたら、高座の時間が終わってしまいますので、

省(はぶ)かせていただきますが、

愛人詐欺なんてのもありまして・・・。

亭主が亡くなりますと通夜の晩に、

大きなお腹をした女が現れまして、

「お宅の亭主に孕(はら)まされました。ついては、慰謝料と産まれてくる子の養育費を・・」

・・てんで、お金を巻き上げようって魂胆ですな。

亭主を信用してなかった女房は、

これに、まんまと引っ掛かります・・。









通夜の客(1)  「へい、どうもこのたびは・・むにゃむにゃ・・」


通夜の客(2)  「どうも、とんだことで・・むにゃむにゃ・・ 」


通夜の客(3)  「どうも、・・むにゃむにゃ・・ ・・」





・・・なんてやってますところへ、

お腹の大きな、ちょっと年増の色っぽい女があらわれまして、

「お宅の旦那に孕(はら)まされました。ついては、慰謝料と産まれてくる子の養育費を・・」

・・と切り出します。




さて、人間死ぬと、魂は身体からスーッと抜け出しまして、

天井あたりから下のようすを見ているんだそうですな。

・・で、新仏の亭主も、下のようすを見るともなく見てますと、

いっこうに見覚えのない女でございます。





亭主    「はて? 見覚えのない女だなあ?? やけにお腹が大きいが・・・??

       あっ、服の下に洗面器を入れてやがる!! 」





・・・身体から解放された魂といいますものは、

何でもお見通しなんだそうでございます。

ですから、葬式とか通夜のときは、

「あのやろう、やっとくたばりやがったか・・」

・・なんて、めったなコトを心に思い描いてはいけません。

新仏には、バレバレでございます。

だから、疲れますよ、葬式は・・・。





亭主    「ことによったら? この女、詐欺師じゃないか・・・??

       ああ、女房のやつ、さもありなん・・なんて顔してやがる・・!!

       よっぽどおれのことを信用してなかったんだ。

       慰謝料と養育費は、いくらなんですか?・・なんて聞いてやがる・・。

       こらっ、騙されたらあかんぞ!! 大きなお腹の正体は、洗面器じゃ。

       金づちで叩いてみろってんだ。間抜けっ!!」





・・・亭主は、じれったいけど、抜け殻の身体は棺桶の中にあるし、

魂は空中に宙ぶらりんの状態ですから、

どうすることもできません・・・。

あたふたして、思わず・・





亭主    「間抜けーっ!!」

 


・・棺桶の中から大声がしたかとおもうと、

蓋がバーンと開いて、新仏のゲンコツがにゅーっ・・。

その場に居合わせた連中は、通夜の客も女詐欺師も、

女房までもが、蜘蛛の子を散らすように、パーッと逃げてしまいます。

独りとり残された亭主は、おもわずそこにあった酒を、手酌でちびりちびり・・・。

通夜の料理をぱくぱく・・・。

そこへ、そ~~~っとようすを身に来た女房・・。







女房    「ちょいと、そこに居るのは、おまえさんかい??」


亭主    「べらぼーメ!! てめえの亭主に、おまえさんかい? もねえだろう。

       なにかい、亭主に口きくのに、いちいち本人かどうか確認するのか

       い・・?」


女房    「そういうわけじゃないけどさ、突然のご帰還だったので・・」


亭主    「あれれ?? おれは一度死んだんだよなあ? 」


女房    「そうですよ。医者がちゃんと御臨終ですと言いましたもの・・」


亭主    「ちゃんと、そう言ったのか? 」


女房    「言いましたとも・・」


亭主    「そうか。それじゃあ、おれは生き返ったのか? 」


女房    「そうですよ。生き返ったんですよ!!」


亭主    「そうか!! ありがてえなあ!! それにしても、おめえはトンマだな」


女房    「何でトンマなのさ!!」


亭主    「さっきの女な、あれは詐欺師だ」


女房    「何で詐欺師なのよ!?」


亭主    「あの大きなお腹、あの中は洗面器だ」


女房    「洗面器!? 何で、そんなこと判るのよ?」


亭主    「魂になると、よく見える」


女房    「じゃあ、魂になると、大声張り上げたくなるの!?」


亭主    「おめえが、騙されているんで、慌てたんだ。とんでもねえ詐欺女だ」


女房    「だけどさあ、大声張り上げたおかげで生き返ったんじゃない!?」


亭主    「そういえば、そうだな」


女房    「そうすると、女詐欺師は、命の恩人・・だよね!?」


亭主    「そ、そ、そういうことになるかな・・」


女房    「考えてもみなよ。女詐欺師が来たおかげで生き返ったんだよ」


亭主    「そうだった!! ありがてえ、ありがてえ・・」







・・夫婦そろって、女詐欺師の逃げ去った方角に向かって、

両手を合わせ、ナンマイダ-、ナンマイダ-・・・
















おたいくつさまで・・・










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最終更新日  2010年12月28日 19時02分31秒
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