テーマ:暮らしを楽しむ(384822)
カテゴリ:創作落語
![]() 迷醉亭つるべえ(やじうま亭キャラクター) ![]() ・シャン・テン・トコ・テン・テケ・ツク・ポコ・チン え~、暮れもいよいよ押しつまりまして、 せわしなくなってまいります。 え~、戦後、世の中あ、アメリカのおせっかいでグローバル化されましたそうで、 (使い慣れない片仮名語は使わなけりゃあいいんですが・・) おかげで、何でも金金金の世の中になって参りまして、 人心の荒廃はなはだしく、パパンパンパン! 天下は、麻のごとく乱れ、パンパパン! 菅首相の頭の中も、麻のごとく乱れ、パンパパン! 商売繁昌してるのは、詐欺師だけ・・・なんて世の中でございます。 近頃では、詐欺の種類もたいそう増えましたそうで、 いちいち紹介してたら、高座の時間が終わってしまいますので、 省(はぶ)かせていただきますが、 愛人詐欺なんてのもありまして・・・。 亭主が亡くなりますと通夜の晩に、 大きなお腹をした女が現れまして、 「お宅の亭主に孕(はら)まされました。ついては、慰謝料と産まれてくる子の養育費を・・」 ・・てんで、お金を巻き上げようって魂胆ですな。 亭主を信用してなかった女房は、 これに、まんまと引っ掛かります・・。 通夜の客(1) 「へい、どうもこのたびは・・むにゃむにゃ・・」
・・・なんてやってますところへ、 お腹の大きな、ちょっと年増の色っぽい女があらわれまして、 「お宅の旦那に孕(はら)まされました。ついては、慰謝料と産まれてくる子の養育費を・・」 ・・と切り出します。
天井あたりから下のようすを見ているんだそうですな。 ・・で、新仏の亭主も、下のようすを見るともなく見てますと、 いっこうに見覚えのない女でございます。
亭主 「はて? 見覚えのない女だなあ?? やけにお腹が大きいが・・・?? あっ、服の下に洗面器を入れてやがる!! 」
・・・身体から解放された魂といいますものは、 何でもお見通しなんだそうでございます。 ですから、葬式とか通夜のときは、 「あのやろう、やっとくたばりやがったか・・」 ・・なんて、めったなコトを心に思い描いてはいけません。 新仏には、バレバレでございます。 だから、疲れますよ、葬式は・・・。
亭主 「ことによったら? この女、詐欺師じゃないか・・・?? ああ、女房のやつ、さもありなん・・なんて顔してやがる・・!! よっぽどおれのことを信用してなかったんだ。 慰謝料と養育費は、いくらなんですか?・・なんて聞いてやがる・・。 こらっ、騙されたらあかんぞ!! 大きなお腹の正体は、洗面器じゃ。 金づちで叩いてみろってんだ。間抜けっ!!」
・・・亭主は、じれったいけど、抜け殻の身体は棺桶の中にあるし、 魂は空中に宙ぶらりんの状態ですから、 どうすることもできません・・・。 あたふたして、思わず・・
亭主 「間抜けーっ!!」 ・・棺桶の中から大声がしたかとおもうと、 蓋がバーンと開いて、新仏のゲンコツがにゅーっ・・。 その場に居合わせた連中は、通夜の客も女詐欺師も、 女房までもが、蜘蛛の子を散らすように、パーッと逃げてしまいます。 独りとり残された亭主は、おもわずそこにあった酒を、手酌でちびりちびり・・・。 通夜の料理をぱくぱく・・・。 そこへ、そ~~~っとようすを身に来た女房・・。
女房 「ちょいと、そこに居るのは、おまえさんかい??」
なにかい、亭主に口きくのに、いちいち本人かどうか確認するのか い・・?」
・・夫婦そろって、女詐欺師の逃げ去った方角に向かって、 両手を合わせ、ナンマイダ-、ナンマイダ-・・・
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最終更新日
2010年12月28日 19時02分31秒
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