流されないのがかっこいい 安曇野の宿
ついでのついでに安曇野観光 まあ今日の今日だし、宿がなかったら車中泊でもというつもりで、タブレットで探してみた。で、見つかったのが 松の木穂高有明店 という民宿 しかも、一泊2食付きで一人6,800円というから激安である。 しかも気になるのが、日本海料理と銘打ってあるところ。内陸の安曇野で海鮮を売りにしている。大外しの可能性もあると思いつつ予約へ。 夕方、訪れてみると、古民家ふうの落ち着いたたたずまい。 店の濡れ縁でタバコを吹かし足を組んで新聞を読んでいる女性が、やおら立ち上がり、背中をかきながら“どうぞ”ときた。客かと思ったら、店の人だったのだ。何ともざっくばらんな対応。でも、ヤな感じでもない。 メイドカフェの「おかえりなさいませ、ご主人様」とは対局だが、負けず劣らずのいきなりもの凄くアットホームな対応と言えなくもない。 状況になじめないまま促されて建物に入る。 一階は食事処、二階が宿泊スペース。まだ開店前のがらんとしたお座敷の脇を通って、階段を上がっていると、「お風呂どうします?」ときた。 質問の意味が掴めない。「どう?」って、そりゃ入るでしょう。 家庭風呂なんで、ご自由にどうぞみたいなことをいわれた。 部屋は広めでベッドが二つ。BSの映らないテレビと鏡、卓袱台。余計なものは無く、一般の住宅の一部屋という感じ。まあ、我が家に帰ってきたような気がしなくもない。 特に何の説明も質問もなく、夕飯の時間だ確認して彼女は出て行った。 部屋には、タオルや歯ブラシ、冷蔵庫なんかはない。 暇だしコンビニに水を買いに行くことにした。 夕食の時間になり、階下へ。 いきなりの海鮮づくし。 付け出しには白エビの和え物など各種。 お刺身の盛り合わせは舟盛り、ボリュームもありひとつひとつが新鮮ですばらしい。 さらに大ぶりの生牡蠣。 そして、焼き魚。立派な赤い魚。 「これ何?」「ノドグロ?そんな高級魚のはずはないよね。鯛の仲間じゃね?」 何て言っていたら、 女将さんが来て「今日ね、ノドグロなの。単品だとそれなりに取るけど、宿泊の方はお得。うちは、お風呂はあんなんだけど、食事には力入れてるのよ。」 えーーーーーホントにノドグロ。。 すげえーーー。。 言わずと知れた高級魚。 一度だけ奮発して新潟でノドグロの刺身食ったことがある、1,500円ぐらいだったと思う。 人生2度目のノドグロ。焼き物は、初めて。 場所が場所ならウン千円ぐらいするだろうなあ。 ホントにびっくりの振る舞いでした。 最後は、味噌汁とご飯、そばで締めくくった。 お酒もいただき、満足満足。 翌朝も、鯖の切り身に目玉焼きと充実した朝ご飯。おひつが空になった様子を遠くから見ていた彼女は、ご飯ありますよと声をかけてくれる。ざっくばらんなようで、しっかり客を見ているのですね。おかわりもらって、4杯も食っちまった。うますぎて。 ほんと、我が家みたいだ。 ざっくばらんな彼女も、少しずつ話しかけてきた。 どこ見てきたんですか? ワサビの農園とか。安曇野は常念岳や大天井岳の登山口ですよね。 山は全然やらないので知らないんです。コーヒー入れてますから、飲んでいってね。 山登りの時はまた、来ますよと笑って話した。 松の木穂高有明店 こびないけど押しつけない、家庭的な接客 食事を重視、宿泊は徹底シンプルで、価値ある価格設定 そして何よりすばらしいのは、 郷土料理というウケやすい路線に流されず、海鮮で勝負している姿勢。そしてそれが絶品。 大当たりでした。 ホントにまた来たいなあ。