きみは映画『OUT』を観たか!?
今日は一日雨。寒い。というわけで引きこもってみました。先日から借りっ放しだったDVDを鑑賞。今回は桐野夏生原作、平山秀幸監督『OUT』。監督、脚本以下スタッフはほぼ『愛を乞う人』と同じスタッフ。主演も原田美枝子。いやー、これまたすごい映画を観てしまいました。弁当工場に勤める四人の女たち(原田美枝子、倍賞美津子、室井滋、西田尚美)が主人公。ギャンブル狂で日常的にDVを振るう夫(大森南朋)を発作的に殺してしまう西田尚美。その死体の処理を頼まれ、行きがかり上原田美枝子と倍賞美津子が自宅の風呂場で解体する。さらに借金を抱え込んだブランド好きの室井滋が巻き込まれる。この一件をきっかけにマチキン(香川照之)と共謀して死体の解体業を営む。そんなこんなであっという間に転落していく四人の女たちだが、そんな人生をどこか楽しんでいる。参りました。骨太なすごいストーリー。女性が原作者だというのも驚き。しかも桐野夏生は美人なんだよな(原作の面白さと作者が美人かそうではないかは関係ないのですが)。金や自由を得ながらもどこまでも堕ちていく女たち。したたかな一方で、しかしそれぞれが家庭や生活に問題を抱えているところに共感を持つことが出来るのですが、やっぱり怖いです。殺人と死体遺棄について警察から目を付けられそうな状況に陥り、急遽カラオケボックスで四人は協議をするもののそれぞれの考えはバラバラ。危機感を持つ女、楽天的な女、享楽的な女、退廃的な女。しかししばらくすると四人で仲良く島倉千代子の『人生いろいろ』を楽しげに熱唱。怖い。。。つか、その感覚は男の僕には理解できません(女の人にも理解できませんか)。結局四人はそれぞれの家庭や生活を捨て逃亡することを選びますが、一人また一人脱落し、最後は原田美枝子と室井滋の二人だけで北海道へ逃亡。トラックをヒッチハイクしドライバー(吉田日出子)に「アラスカまで行くつもり。オーロラが見たいから」と告げ、北海道の雪の原野をひた走りに走っていくシーンで終わり。彼女たちの頭上にはオーロラが輝いている。ガーン。希望と絶望は隣りあわせだ。ここまでくると善も悪もありません。元々のきっかけは西田尚美の夫。でも西田尚美自身も問題のある妻である。身重の身でありながら酒にタバコ、炊事洗濯はほとんどやってなさそう。主人公の原田美枝子は仕事仲間に金貸しをして小遣いを稼いでいる。倍賞美津子は寝たきりの義母を介護しつつも心のどこかで早く死ねばいいと思っている。室井滋は借金をしてまでブランドものを買い漁る。『OUT』は基本的に悪人しか出てこない映画です。善人は誰一人出てきません。皆腹に何かを持っている。でもそれって人間の本質と言うか核心部分を突いているような気がする。根っからの善人などいない。そんなことを言ってしまうとたちまち鼻つまみにされてしまうが、小説や映画のかたちを借りて人間社会のタブーを暴いているところに『OUT』が単なるミステリー作品ではない所以であると思う。ミステリーでありロードムービーであり女性映画でもある、ゲームの様なスリル感に満ちた映画。それでいて口に出してはいけない人間の暗部をえぐる恐ろしい作品。こうなったら原作を読まないと気が済まない。。。でも一番怖いのは間寛平だったりする←詳しくは映画を観てね。寛平ちゃんモーレツに怖すぎ!!さて、そろそろ寝ますかな。明日でバイトは最後だ。頑張ろう(本業も)