|
カテゴリ:カテゴリ未分類
午後7時過ぎ、実家のお寺さんから電話が掛かってきた。
「お母さんのところへ電話しましたらお留守で……」 こんな時間に留守という筈はない。 「お盆のお参りのことですが、日にちを決めたいと思いまして電話したんですが……。昨年は1ヶ月前から決めていた日を三日前に都合が悪いから変えて欲しいと言うて来られましたんでね、困ったんです」 お盆のお坊さんは忙しい。母は「命日が15日やのに、10日はあんまりやなあ」などと言っていた。そうやそうやあんまりや、せめて13日か15日か16日に参ってもらわな…、と勝手に決めて電話したのだ。お寺さんの都合など、母にはどうでもいいことで。 「うちの都合は、11日にしたいと思うんです。はい。11日の午後。そうお伝え願えませんか」 「電話してみますけど、こんな時間に留守ということは、また具合でも悪くなって、病院へ行ってるのかも知れません」 「ああ。昨年もお寺の施餓鬼には来られませんでしたなあ。でも、お参りですから。もうお参りも要らんと言われるんでしたら、それも聞かせて貰いたいんです。他へ回りますので。あ、それから、お膳は結構です。何軒も廻りますので、ゆっくりしてる間がありませんから」 もし病院へ行ってるとしたら姉が連れて行った筈だ。姉はいるかと、姉の家へ電話した。留守電が、「ピーと鳴ったらメッセージを…」と言っていた。やっぱり病院か----暑いものなあ。道走ってても毎日のようにお葬式の案内板が立っている。10分置いて、もう一度掛けた。まだ帰ってなかった。伝言を入れた。しかし、と母の方へ電話してみた。 「はい。どなた?」居た。 「さっきお寺さんから電話があって、お母さんお留守やった、言うて……こうこう」と話した。 「どっこも行ってないよ。今日は一日家におった。電話なんか掛かって来てへん。おじゅっさん電話間違いはってんやろ」 「お参り、11日の午後はいかがですか、って」 「また11日!? なんで15日によう来はれへんねんやろ。15日が命日の人、そうあるとは思えへんけど。え? ご飯要らんて? お食事代一万、お車代一万と高こうつくな。あんた電話してくれるのん? いや、私がする。過去帳にいっぱい書いてるのん、もう古い人ばっかりやから抜こうと思うねん。新しい過去帳買うて来て書き直して。あのおじゅっさん忙しいから書いてくれはれへん。あんた、お花も買うて来てな。そっちは安いやろ」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|