時代は変わる #2
おっ母さんのマスクのことを心配すること以外、私の生活はあまり変わっていない。少年がいなくなってしまったので、散歩はしていない。毎日買い物に出るだけだ。もちろん買い物先には線が引いてある。一時停止。子供のころ、この線を越えたら死んじゃうんだぞ、などとごっこ遊びをしたことを思い出す。遊びじゃないんだよな。原発が爆発したときはもうダメなのかなと思った。それにゆっくりととどめを刺されたようだ。こんなひどい事態は避けることができたはずだ。オリンピックを口実に金儲けをしてきた連中にやられた。放射能も新型コロナも目に見えない。どこにいるのかわからない。傷ついた動物のようにじっと丸くなってやりすごすしかない。いつのことになるんだろう。コロナが去った後。もうかつての街はなくなっている。がらりと時代が変わるのだ。▼幻泉館日録:時代は変わる