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こんばんは。
鉄道に限らず、公共交通とは何か。どんな必要性があるのか。その本質を問うような記事を2本、ご紹介したいと思います。 赤字ローカル線は「バス転換」より「自家用車転換」 JR出身の青学大教授が提言 https://news.yahoo.co.jp/articles/36f675b36d4e6bd35f7b3b48f213ceeded6e3e27 産経新聞の記事ですが、web雑誌にも同じ記事が転載されています。 最早「赤字ローカル線」に乗る人はいない。需要がある高校生輸送を除いて、バス転換ではなく自家用車による移動の支援に重点を置くべき。また自動運転の進化により、高齢者の運転事故防止や「ラストワンマイル」の解決にもつながる。自動運転こそ地方における移動手段の「切り札」となる。こう主張されています。 現状「地方ローカル線廃止」を推進する(と捉えざるを得ない)姿勢を取るJR各社にとってみれば、これ以上の援軍は無い主張でしょう。 私から見れば、荒唐無稽もいいところの主張なのですが、「鉄道に人が乗っていない」(このことでさえ、何を以てそう判断するかという問題がありますが。後述。)「地方はみんなクルマで移動」「だってクルマ便利じゃん」(公共交通と比べて便利な面があることは事実です)これらのことから、みんな何となく「あ、そうなんだ」と信じてしまう恐ろしさがあります。 また「レベル4」運転解禁という話題の中で、明日にでも完全無人運転が開始できるという「幻想」を持たせていることも要注意です。無人運転における事故発生時の法的解釈の整理、緊急対応の手法等、人智で越えなければならない課題が山積です。さらに。根本的な問題として、自動運転が誘うその先の「まち」に、人が暮らしモノとカネの流れが生まれるのか。移動自体が「無駄なコスト」と捉えられたその先に、まちの発展さらには日本の発展はあるのか。 一方、このような記事も見つけました。北海道新幹線札幌延伸に伴う「並行在来線」問題が話題のメインですが、インタビューに応じた先生が、これからの地方鉄道の必要性、見方考え方を、実に的確でわかりやすく説明しています。 「バス運転士不足で鉄道が重要に」有識者が指摘 北海道新幹線「並行在来線」廃止は再検討が必要 https://toyokeizai.net/articles/-/720377 並行在来線の話はひとまず置いて、地方鉄道一般に通じる話として、以下の論点のポイントがあると思います。 ・鉄道には、環境における優位性が、言われている以上にある。(鉄道1両1日1キロ当たり22人以上運べば、バスよりエネルギー効率が良い) ・輸送密度だけが、鉄道の持つ価値の判断材料ではない。(「個々の線区を評価するに当たっては、あくまでも利用者や地域戦略の視点に立って、あるべき公共交通はどのようなものか、という視点から評価すべきである」) ・鉄道の価値を評価するには、潜在需要をどのように獲得するかの視点が重要である。(オーストリアの事例。この国では輸送密度500人でも「中程度」と判断) ・ほんの少しの自家用車から公共交通への転換でも、公共交通にとって転換による効果は非常に大きい。 ・鉄道事業単体の収支ではなく、クロスセクター効果や費用便益分析など、地域全体での様々な「収支」の合計で判断する。(B/Cが1.0を切ったとしても、それだけで判断してはならない) 今、全国各地で議論になっている地方鉄道存廃に対して、何となく感じていた「あきらめ感」が、くるっとひっくり返るような感覚を、私は持ちました。そして、記事を読む限り先生の直接の発言ではないようですが、自家用車から公共交通への「転換」に関連して、自家用車だけに頼っていいのか。あまりにもクルマべったりの地域社会は、皆が気がつかない間に大きな負荷を追うのではないか。そこに少しでも風穴を開けるための、ツールとしての鉄道。これはインタビューをしたライターの、良い提起だと思います。 来年は、どのような年になるのでしょうか。皆様どうぞよいお年を。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023/12/31 11:51:43 PM
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