猫のいるうち

夕方、Jさんから電話が入りました。
「公園の猫の目に釣り針が刺さってる」

私も連絡を受け、少し遅れて到着しました。よく懐いている猫だったので、すぐにゲージに保護できたようでした。近づいて刺さった状態をみると、左瞼に得体の知れない異物がぶらさがっていました。からまった長い釣り糸に魚の形をした疑似餌？がついたままの釣り針が上瞼に入り込んでいて、重みで上瞼が下がって目が開けられない様子。噴水のように二股に分かれていると思われる針の片方は表に出ていたが、もう一方はしっかり入って外からは見えませんでした。その針先は瞼を貫通していないようなので、眼球までは届いていないように見えました。一刻を争う状態ではないと判断し、かかりつけの獣医の先生に連絡して状況を説明しました。先生も同じ見解だったので、区内の病院ではなく大和市にあるその先生の病院に連れていくことにしました。

病院に着いて猫を見ると、先生にも
「こりゃ～ひどいなぁ」と言われてしまいました。
ペンチで針を切ろうとするも、なかなか切れなかったので、
麻酔をしてちょっと瞼を切開して無事に外すことができました。
眼球が傷つかなかったのが、本当に不幸中の幸いでした。

見つけたときから痛いのと異物の不快感で泣くように鳴いていたこの子。
目が覚めたらもう忘れているかな？
傷が治るまで、うちで保護することにしました。
あどけないかわいい顔の小柄な男の子です。
すでに里子に行った茶トラ兄弟の兄弟猫です。
３兄弟の中で一番小さかったので、私たちはすえ黒くんと呼んでいます。
すえ黒、お薬塗って、元通りのきれいなお顔にちゃんと戻してあげるからねっ。

今日のような事故は実は初めてのことではないのです。この公園でちょくちょく釣り糸や釣り針が猫に刺さっているのは、よく見つけていました。でも、背中だったり尻尾だったり皮の厚い所で食い込んでいるというよりは、ひっかかっているということが多かったので、簡単に外せたこともあり、記事に載せたことはありませんでしたが、今日、こんなことがあり、やっぱりこれはこのままにしてはいけないと思いました。
この公園には一年中昼夜問わず釣り人が訪れています。公園には釣り人が捨てていったごみがいつも散乱しています。釣り針や釣り糸は当たり前、釣りエサやワンカップやビールの空き缶、おつまみや弁当の空き袋など使ったり食べ終わったら、そのままその場に置いて帰るのです。釣った魚も大半は食べることなく公園の猫の所に置いていき、可愛そうな野良猫の糧になってんだからいいだろう、と良いことしているとでも思っているのでしょうか。
極論になりますが、魚だって生きているのです。自分達が食べるきれる分を釣るなら分かりますが、趣味や楽しみで、自己満足のために生物の命を奪っているということの重大さに気づいてほしいものです。スーパーに行って買い物するとき、肉や魚は自分達が食べる分しか買わないはずなのに。レジでお金を払わない時には、こんなにも粗雑に扱っていいのでしょうか。
たかが魚、たかが猫…と、人はどうして人間以外の生き物の命を軽視するのでしょうか。

今回はたまたま大事に至らずに済みましたが、毎回誰かが見つけて病院に連れていけるとは限りません。まして、犬の散歩や子供連れのファミリーも多く訪れる公園です。もし、これが自分の飼い犬や子供だったらどうするのでしょうか。
忘れていけないのは、この公園は釣り禁止であるということです。現在は公園の管理事務所が大目に見ているのか…注意どころか見回りにも来ないので、まるで海釣り公園のようになっていますが、こういったモラルのない人達のせいで、ちゃんとマナーをもって釣りをされている人が来れない状態になったらどうするのでしょうか。せめて、釣り人同士で「ごみ、持って帰らなきゃだめだよ」とか注意し合っていただきたいですね。