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2016.04.19
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カテゴリ:健康
生命を守る四○の鎖


 (そこで、余談だが、多量栄養素をとり入れた食事をろくにとらず、栄養的に十分でない
インスタントーラーメンかなにかを食べて、そのあと、ビタミンのカプセルや錠剤をひと
つかみ口に投げこんで、栄養を摂ったと思っているのは、ナンセンスそのものだというこ
とがおわかりであろう)
 いま、″多量″″微量″という言葉が出てきたが、それでは、どれをどれくらい多量に、
どれをどれくらい微量に摂ったらよいのか?
 その大体の分量は学問的に決定づけられている。しかし、中には、必要であることはわ
かっているけれども、その分量がはっきりしていないものや、いまは一応決定されている
が、将来、変更される可能性のあるものなど、いろいろである。
 しかし、いずれにしてもこれらの栄養素は、「必須栄養素」あるいは「不可欠栄養素」と
。‘1rLトに

 よばれ、一つでも欠けると、われわれの生命維持は不可能になる。
 ウィリアムズ博士は、これら必須栄養素の一つ一つを「環」とみたとき、栄養素とは、
この環がつながってできた鎖のようなものだといっている。
 四〇の環をつなぎ合わせた鎖が、たとえどの環の一つでも弱かったら、その鎖はそこか
ら切れてしまって、鎖は役に立たない。他の三九の環がどんなに強靭であっても、一つの
環が切れたら、それはもう鎖ではない。
 それはまた、こういう例えもできるだろう。
 ここに四〇枚の板からできあがったタルがあるとする。
 四〇枚の板のどれ一枚でも、必要量のレベル以下の部分に穴があると、すべての栄養素
は、そのレベル以下になってしまって、欠乏するのである。
 だから、必要量はみなちがうけれども、必須栄養素はそれぞれ必要量のI〇〇八-セン
トをみたさなければならないのである。つまり、タルに穴をあけてはいけないのである。
 だが、必須栄養素のすべてを、毎日の食事の中で、必ず、必要量をみたすということは、
容易なことではない。そのためには、なんらかの工夫が必要である。
タンパク質の重要性

 さきにのべた通り、炭水化物、脂肪、タンパク質が、「三大栄養素」とよばれているのは
御承知の通りであるが、私の実践栄養学では、タンパク質を主体として構成される。
 なぜ、タンパク質を主体とするかというと、理由はかんたんで、われわれの身体の構造
を基本的につくっているものが、タンパク質だからである。
 鏡を見てみよう。
 鏡にうつっている自分の姿から見えるものとして、皮膚、髪の毛、筋肉、瞳など、これ
らすべて、タンパク質でできているのである。直接、見ることのできない血液やリンパ液、
心臓、肺、脳、神釘は、いずれもタンパク質からできているか、あるいは、タンパク質に
その機能の多くを頼っているのである。
 それに、生物に必須の化学反応を触媒する酵素も、タンパク質でできている。
 食物としてとり入れられたタンパク質は、タンパク消化酵素によって、アミノ酸にまで
分解され、小腸の内壁から血液中にとり入れられる。そして「門脈」という名の太い血管
を通って、肝臓にたどりつく。
 肝臓はそれを、自分自身の組織タンパクに同化する一方、血清タンパクを合成する。あ
まったアミノ酸はそのまま肝臓をはなれ、血中アミノ酸として全身をめぐる。そしてその
一部はアミノ基をうばわれて、糖質や脂質となり、あるいは子不ルギー化するのである。
 われわれが、牛肉を食べて、その牛肉のタンパク質がそのまま体内にとり入れられて、
筋肉になるのではない。牛肉のタンパク質は消化管内で、構成成分であるアミノ酸にまで
分解されたのち、体内に吸収されるのである。
 生物の体は、これらとり入れたアミノ酸を、自分の持つ遺伝情報(DNA)に従ってつ
なぎ合わせ、自分固有のタンパク質を合成するのである。だから、虎の肉を食ったからといって、虎のように強い筋肉や心を持つことはできないし、コブラやハブをいくら食った
からといって、コブラやハブの力を持つことを期待するのはナンセンスなのである。要す
るに、虎もコブラも、そのアミノ酸を活用するだけのはなしである。
 このように、食晶のふくむタンパク質は、アミノ酸にまで分解して血液中に入り、さま
ざまな形ではたらくのであるが、その分解作用をするのが酵素である。まさに、酵素がな
くてははじまらないのだが、その酵素がまたタンパク質なのである。
 また、タンパク質の重大なはたらきの中に「抗体」がある。
 抗体は血液中の重要なタンパク質で、感染や病気から、われわれを守るはたらきをする。
 抗体をふくむ免疫組織というのは、風邪の原因であるウイルスの猛攻撃とか、侵入して
くるバクテリア(細菌)にたいする体の中での防御体制である。
 私たちの周囲を、何十億という有害な微生物がとりまいており、抗体はつねにたたかっ
ているのである。
 そのほか、ホルモンの多くがタンパク質である。
 あとでのべるが、仏陀の成仏法では、ある特殊なホルモンを湧出して力を発揮する技法
SS   if~i9
を使う。この修行に入ったときには、タンパク質の必要量を、一五パーセントから二〇パ
ーセント増加させなければならない。
 タンパク質の重要性を見ていったら、際限がない。それは生体そのものの構造や機能を
語ることになり、ひいては生命そのものを解明することになるからである。
 三石巌氏は、その著書でこうのべている。
 ソビエトのノビコフは、生命をロウソクの炎にたとえている。これはけっして文学
的な発想ではない。ここにロウソクの炎があったとしよう。炎のなかでは炭化水素の
ガスが燃え、炭素の微粒子が熱せられて光を放っている。そして、炭化水素は酸化し
て二酸化炭素と水蒸気とになり、炭素の微粒子とともに上昇気流にはこばれて炎の頂
点から外にぬける。これが連続的におこるために、炎の内容は刻々と更新される。炎
の形は不変であっても、つねに新しいガスが燃え、古いものは炎と分れてゆく。ノビ
コフは、これこそが、生命の実相であるという。
 われわれ人間の姿は、そう変化するものではない。しかし、その内容はつねに更新されている。ロウソクの炎と同じだ。もし、更新されないからだがあったなら、それ
は死体にほかならない。生きているということは、つねに新しくなる、ということな
のだ。
 ロウソクの炎に、話をもどそう。ロウソクのしんからたちのぼる炭化水素のガスは、
燃えて炎になる。これを「同化」ということができる。ガスが、炎と同じものに化す
るのだ。一方、炎の燃えかすは、もう炎ではない。炎とちがったものに変化して、そ
こを立ち去ったのだ。これを「異化」ということができる。炎が、炎と異なるものに
化するのだ。
 ロウソクは、同化と異化とによって生きている。それと同様に、人間も、同化と異
化とによって生きている。なるほどわれわれのからだはタンパク質でできている。わ
れわれが生きているかぎり、そのタンパク質は、異化して肉体を立ち去らなければな
らず、そこにまた新しいタンパク質がきて、からだを更新するのだ。同化をおこなう
のだ。
 われわれが、毎日適当量のタンパク質を食わなければならない理由は、まさにこ
       にある。それは、生命の炎を消さないための不可欠の条件なのだ。
(『タンパク質の分子栄養学』)
まことに至言であると思う。
タンパク質とアミノ酸
 さて、ところで、「毎日、適当量のタンパク質」という言葉が出てきた。
”適当量”とは、いったいどれ位の分量なのか?
 それをのべる前に、もう少しタンパク質の性質についておはなししなければならない。
というのは、分量の数字を出す前に、その内容がまず問題だからである。
 読者の中には、ことによると、タンパク質とアミノ酸の関係について、よくわからない
でいる人がいるかもしれない。タンパク質ならタンパク質、アミノ酸ならアミノ酸と、割
り切ってくれたらいいじやないか、なぜ、そんなにゴチャゴチヤとこんがらかっているん
だ、と腹を立てている人もいるかもしれない。ここのところをはっきり理解しないと、これから先、なにを話してもムダになってしまう。
 タンパク質は分子から成り立っているが、それでは、典型的なタンパク分子は、いった
いどんな形をしているのだろうか?
 まず、ここに二〇種類の異なる形をしたビーズ玉があって、それが五〇〇個、一定の順
序でつながり、それがらせん状をつくって、さらにまがりくねって球形とか卵型になって
いるものを想像されたい。
 このとき、それぞれのビーズ玉がアミノ酸なのであり、ビーズ玉が連結してびっしりつ
まった球形とか卵型の複雑な構造をしているものが、天然タンパク分子とよぶものなので
ある。
 つまり、アミノ酸の集合体を、タンパク質とよぶわけだ。だから、タンパク質は、いろ
いろな構造のものが、無数にある。
 ビーズ玉(アミノ酸)が五〇〇個くらいのものもあるし、また最も単純なタンパク質と
して知られている牛のインシュリン(ふつう、糖尿病治療に使う)は一九種のビーズ玉を
五一個しか持っていない。また、およそ三〇〇〇個のビーズ玉からできているタンパク質。

 タッパク質の種類が途方もなくたくさんあるのは、ビーズ玉の数や種類をいろいろと変
えることができるからである。
 コー種類のビーズ玉を使って全体がいつも二八八個になるようタンパク質をつくってい
くと、なんとその順列組み合わせは、一〇〇の三〇〇乗個あり、つまり、その数だけ異な
るタッパク質ができる計算になる。この途方もない数字は、全地球上の原子の総数よりも
多いのである。
 そしてわれわれがここではっきり知っておかなければならないことは、タンパク質の種
類が無数にあるということと、しかしそれを構成する単位のアミノ酸は、二〇種しかない
ということである。どんなタンパク質も、必ずこの二〇種類のアミノ酸の組み合わせによ
ってできているということである。
 クッパク質の栄養素としての価値も、この二〇種類のアミノ酸の組み合わせ、配合のあ
り方で決定するのである。
 いまいったように、タンパク質の種類は、途方もなくたくさんある。
  ということは、タンパク食品も途方もなくたくさんあるということである。
  肉も魚も豆腐も味噌も、チーズも卵も牛乳も、すべてがタンパク質の仲間である。それ
ならば、タンパク質を食べろといわれたとき、豆腐でも卵でも肉でも、なんでもよいのか、
それらの内容に違いはないのか、ということになる。
 味噌と卵と栄養価値が同じだと思う人は、まず、一人もあるまい。だれだって違うと答
えるだろう。どうして違うのか? アミノ酸の組み合わせが違うからである。肉と豆腐も
全く違う。二〇種類のアミノ酸の組み合わせが違うからである。
 だから、タンパク食品を食べるときには、その食品のアミノ酸の種類や組み合わせをよ
く調べなければならぬことがおわかりであろう。
 つまり、前にのべた「内容」が非常に問題になってくるわけだ。
 ここで、タンパク質を構成する、二〇種類のビーズ玉、いや、アミノ酸の表を見ておい
ていただこう。(表3)
 つ必須”というのは、外部から食物としてぜったいにとり入れなければならないもの。それ以外は、他の栄養素から合成できるもの)

プロテインースコアということ

 右の表のアミノ酸を全部、必要量もともに、完全にそろえたタンパク質を、
プロテイ』
タンパ
ク質量一〇〇(のタンパク質)
一一四
 というのである。つまり、ある食品が、これだけのアミノ酸を完全にそろえていたら、
その食品を、プロテインースコアー○○の食品であるというのである。一つだけでも、欠
けているアミノ酸があったら、不完全タンパク食品である。
 ただし、必須アミノ酸以外のアミノ酸は、欠けていても不完全タンパク食品とはいわな
い。というのは、必須アミノ酸以外のアミノ酸は、体の中で、他の食物から合成できるか
らである。
 必須アミノ酸は、食物から直接摂らなければならない。体の中で合成することができな
 i4iCI 
いからである。
 けれども一種類くらいは欠けても、どうということはないのじゃないのか?
 ノウー・
 一種類といえども、必須アミノ酸が欠けると、重大な障害が発生する。
 どんな障害か?
 たとえば、必須アミノ酸の中の。リジン”が欠けたらどうなるか?
 専門家はこういっている。
 われわれは世界史の中で、アメリカの南北戦争が大きな意味をもったことを知って
いる。また、この国内戦争の勝者が、北軍であることを知っている。この勝敗の一因
がタンパク質の多少にあった、と考えるのが正解のようだ。北軍兵士が、肉や乳製品
をふんだんに食ったのに対し、南軍兵士は、トウモロコシに糖蜜という低タンパク食
であった。低タンパク食では、精神力も体力も低下せざるをえないのだ。
 このことは、太平洋戦争における、日米両軍の兵士の上にもあてはまるのではなかろう
か。ただし、日本車の兵士がトウモロコシばかり食っていたというのではない。南軍兵士
と同じような低タンパク食、不完全タンパク食だったということである。
 トウモロコシはかなりのクンパク質をふくんでいる。しかし、ラットをトウモロコシだ
けで飼育すると、まもなく死んでしまう。それは、トウモロコシのタンパク質は、リジン
とトリプトファンが少ないのである。これが、ラット、にとって致命的だったわけである。
 そして、このことは、人間にもそのままあてはまるのだ。
 じやあ、どうしたらいいのか?
 トウモロコシだけを食べずに、リジンを多くふくむ食品をいっしよにとって、おぎなえ
ばよいのである。
 リジンを多くふくむ食品とはなにか?
 動物の肉である。獣肉はリジンが多い。
 なるほどネ。やはり肉は栄養十分なんだな。では、ビーフステーキなんか、もりもり食
べればいいんだ。牛肉や豚肉は、プロテインースコアーOOなんでしょうな?
 いや、そうはいかないのである。動物の肉は、良質のアミノ酸が豊富だが、プロテイン・
スコアー○○とはいかないのである。肉にも、いろいろ問題があるのだ。
 牛肉も豚肉もダメだというなら、いったいこの世の中に、プロテインースコアー○○な
んていう食品があるのか? といわれるかもしれない。
 あるのである。





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Last updated  2016.04.19 09:28:29


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