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カテゴリ:ナキメシ
もう10数年前の話、まだ京都にいた頃の事ですが
卒業してからも、ずっとつき合っていた滋賀県の友人がある日亡くなりました。 知らせを聞いて高速を飛ばして早朝に彼の家につくと 既に近所のお手伝いしてくれるおばさん達が忙しそうに 台所で野菜を切ったり、大きな鍋で何か煮物を作ったりしていました。 案内されて、部屋に通されると当時、小学2年の下の娘さんが お父さんの亡骸に添い寝していました。 「病気であまり家に帰ってこないお父さんが帰ってきたと喜んで 一緒に寝てしまったんよ」と奥さんがつらそうに教えてくれました。 ボクはその娘さんのちょっと微笑んでいるような寝顔に ひとすじの涙の跡を見つけた時、ホントは全部わかっているのでは?と思い その娘さんがとてもいとおしく思えて、 堰を切ったように声を上げて泣いてしまいました。 半年ほどして、彼の奥さんと娘さん二人が京都に遊びにくるという連絡が有りました。 ボクはどこに連れて行ってあげようかと考えながら、車で迎えにいきました。 (そうだ!お父さんの学校を見せてあげよう!) 我ながらいいアイデアだと思い、車に乗り込んだ娘さん達に聞くと 「う~ん。。。それもいいけど、ビブレとかBALとかいきたいんやけど」と 高2の長女が主張してきました。 なんか大きなお世話をしそうになりかかってたボクは大いに反省し 「オッケ~!」と河原町に向かいました。 もう3人とも元気になってるんだ!と勝手に思い込んで、 買物に数軒つき合い、河原町三条のお店に晩ご飯を食べに入りました。 メニューを見て娘さん二人とも迷わずに 「カニクリームコロッケ」を頼みました。 ボクは(えっ!)と少し驚きました。 「カニクリームコロッケ」と亡くなった友人には 忘れられないエピソードがありまして、それは・・・ 友人が短大に入って初めてデートした時、 彼女(奥さんではない人)と晩ご飯を食べにいき 「カニクリームコロッケ」を頼んだのですが ご存知のように「カニクリームコロッケ」は少し小さめです。 それをナイフで半分に切ってフォークにさして 手頃な大きさなので一口で食べようとパクリといったら これが異常にアツい!! でも初めてのデートなので、吐き出す訳にもいかず 必死に我慢したそうです。 結果、口の中の天井とでもいいましょうか?そこの皮が ベロリと剥けたそうです。 それ以来、友人は「初めてのデートではカニクリームコロッケは 頼んだらあかんぞ!」とよく言ってました。 そんな事を思い出しながら、でもこれは教えられないなと一人 ほくそ笑んでいると下の娘さんが 「これ、お父さん、大好きやってん」 続いて長女が「あのね。おもしろい話あるんやで」と 今、ボクが思い出していた話を全くその通りに話してくれました。 (そうか。このコたちにもちゃんと話してたんだ。いいお父さんだったんだな) そう思うとまた泣けてきそうになって来たので おしぼりで顔を拭くふりをして笑いながら涙をぬぐいました。 「ほらほら。そんな話してんと。はよ食べなさい」 ボクを見透かしたように奥さんがフォローすると 「あ!お母さん。妬いてるぅー」と二人揃っていいました。 女の子二人でよかったぁとボクはその時しみじみ思いました。 生前「女の子二人だと嫁いでいく日が淋しくてかなわん」といっていた友人ですが 本当はその日も見たかった事でしょう。 でも女の子二人だからきっと奥さんも楽しくやれるかも? 下の娘さんは今年20歳。上の娘さんはたぶん28歳。 結婚したという噂は聞きません。 うちの坊主二人がたまたま同い年なので 友人とはそれぞれ結婚させようかと計画もしていたのですが それもおそらく無理でしょう。 ホントにカニクリームコロッケのアツさが泣ける夜です。 今夜も「ナキメシ」の意味がちゃうか? グッドラック。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.09.15 22:14:16
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