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2015年03月03日
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1からの続きです。


またまた話は変わるけど、去年ウチの下のチビが公立に転校して初めての3年生でいじめにあった。
いじめと言ってもウチのチビが言うには同じクラスの仲のいい友達からお金や持ち物をたかられていたという類いのいじめだった。学校が始まって数ヶ月してからチビの持ち物の鉛筆やノートと言ったものが鞄から消えて、その子から電話が合った次の日の朝には何ドルくれとお金を私にせがむようになった。すぐにオカシイと気づいたのでよく話を聞いてみると『○○がママの誕生日に何も買えないからお金を貸してくれと頼まれた』『学校のイベントで3ドル要るけど○○はお金をもらえないから一緒にイベント参加出来るように○○の分も払ってくれと言われた』などなど。前の学校は私立で(私立の中では学費がかなり安い所だったけど)一応どの家庭もお金を出してより良いものを子供に、という姿勢はあったのでこういったトラブルは一切経験した事が無かった。公立に移って初めての洗礼を受けた訳で、ウチのチビに取っても初めての経験だけどきちんとノーと言えるように育ってもらわないといけない。なのでチビとよく話し合った。チビは友達に嫌われるのを恐れる気持ちと、友達にお金を渡す事が悪い事だと分かっている気持ちの間でかなり辛い思いをしてたようで、その後も続くたかりに対し時にはダメと言えたけど時には黙って自分の財布を鞄に入れてるのを私に見つかり叱られていた。

チビ達の学校はとても厳しいセキュリティで親と言えど学校の中を自由に歩くのは許されずに、子供を迎えに行くと唯一開いているゲートを通り決まった一本道の廊下を通りお迎え専用のオフィスに行きサインと迎えの時刻を毎日記入してやっと子供を呼び出してもらえる。なのでそのウチのチビをいじめてる友達には滅多に会う事はないんだけどある日迎えに行って子供がオフィスまで来るのを待ってる間にその子が私の横を通った。ハーイ!と陽気に挨拶して私に抱きついて来るその子に私は『ウチのチビにお金や物を要求するのは一切辞めにしてね。そもそもそれが間違っている事は分かってる?お金が必要なら自分の家族にお願いしなさい。次はアナタの親に連絡するからね。』と言うと本人はきょとんとして『ウチの家族は一切何も私にくれないからお友達に頼んだんだけど?』と言う。各家庭、色々教育方針が違うのは分かるけど、この子は我が家とは一切異なる育て方をされてきて自分がやっている事が正しい事ではないと理解出来ないらしい。更に誕生日プレゼントを買ってあげたいとウチのチビが言うので、プレゼントを彼女にあげたんだけど、何と彼女はプレゼント欲しさに適当に誕生日を作り上げて私にウソを付いた事もある。

そろそろ学校に連絡して担任の先生にでも相談しようと思って、ある夜先生に今までの事情を全て書いて送った。

そしてメールを送った次の日、担任の先生から速攻で電話があり、私のメールを読んですぐに小学校中高年専門のスクールカウンセラーに転送したから彼女の方から連絡が行くだろう、と言われた。正直、『とりあえず先生の耳に入れておこう』程度の軽い気持ちで送った私は学校側の素早い対応にビックリした。
そしてその日の昼前にはカウンセラーから電話が。なんと転送されたメールを読んだ直後の2時間目に、まずはウチのチビを呼び出し話を直接聞き、その後すぐに相手の友達を呼び出しその子からも直接話を聞き、その後ウチのチビと相手の女の子とカウンセラーの3人でミーティングをしたそうだ。
『大人の世界に法律というものがあって、それに沿ってみんなが生活しているように、学校にはあなた達に沿ったルールがある。それは一般常識としてのモラルとか集団生活をする上での決まりであって、各家庭の家では気に留められない事だとしても学校生活を送る上では許されない事は許されない。○○がやった事はそういうルールに反するものでそれは間違っている事なので今後一切そういう行動をとる事は学校としては許さない。』というような事を3人のミーティングの中できっちり話し合ったそうだ。同時にウチのチビも誤っていると分かっている事は断る勇気を持つ必要があり、子供のうちにそういう体験をして立派な大人になる勉強をすることでもあるので、これからは断固として断る努力をするように、言いづらかったり困ったりした時には親や私に相談するように、私はトラブル解決を仕事としているプロだからいつでも相談するように、と諭してくれたそうだ。

電光石火の対応ですっかり私が感心していると『これで問題が解決した訳ではない。あくまでこれはスタートラインで全く異なる背景で育った子供達が同じ規範に則って集団生活して行くのは容易な事ではない。だからすぐに対応をとる必要があり、取りあえず様子をみるという行動は感心出来ない。悪い事は悪い事という事を教えてあげる事から全ては始まる。特にマイアミは移民も多く、それぞれの親が育った国の異なる習慣や躾が交錯していることもあり、モラルのばらつきは大きい。だからこれで一気にたかりが無くなると考えない方がいい。これからも○○が諦めるか反省するか次のターゲットを見つけるまであなたの子供の様子を注意深く観察して何より毎日の会話からいろんなヒントをキャッチする必要がある。』と私も諭された。

その後しばらくたかりは続いたものの、ウチのチビもノーを言えるようになり去年一年の学校生活は無事に終わった。カウンセラーはウチのチビを見かける度に声をかけてくれ、その後3度私にもフォローアップの電話をくれた。向こうの親とも個別に話し合い、私と向こうの親との3人のミーティングが必要になる手前で大丈夫だろうと判断してくれた。何よりもウチのチビがはっきり断れるようになった事は大きく私はスクールカウンセラーにとても感謝している。
そして今年度4年生になった時にはカウンセラーの配慮で別のクラスになった。今でも○○から電話がよくかかってくるけどウチのチビは程よく距離を置いて上手く仲良くやっている。


さて、再び中学生の男の子の殺害事件に戻ると。
日本もこういう専門の人達をしっかりと育てて教育の現場にきちんと置く時代に既になっていると思う。
学校の先生は普段の授業だけで一杯である人達も多くきっとそういう子供の世界の学問以外の人間関係や家庭内の事情にまで充分目を配る余裕はないのだろう。
引きこもりなども多くなりスクールカウンセラーを配置してる学校も増えてきてると聞くけど、鬱や不登校になってからの精神的ケアをするのではなく、精神科医に紹介するのを仕事とするのでもなく、そうなる前に食い止める事が出来るようにする事が大切だと思う。全部が全部救われる事は無いけれど、今まで無かったものを導入して効果が期待出来るものであれば今から人材を育てないと5年後10年後には間違いなく今より悪い状況になると思う。
今回の事件では学校の担任も校長先生もまさかこんな事態になるとは思わず結局無関心でいたのではないのか。
別にアメリカのこういうシステムがいいですよ、という訳じゃない。ここマイアミだって高校になると生徒それぞれ卒業率なんてガクっと下がり学校のこういうカウンセラーでも対応出来ない事ばかりだ。卒業率の低いところでは無事に高校を出る割合は60%くらいだそうで、普通の学校でも70−75%くらいだそうだ。それでも私は親として対応しきれない部分はこういうシステムをフルに利用していきたいと思う。何よりも自分のチビ達の成長の為だもの。

この無関心は日本人独特の『自己責任』という考えにも基づいている部分もあると思う。ISISに殺害された日本人の人質達に対しても『あんな危険に自己責任で行った方が悪い』と思った人達が多かったんじゃないのか。そもそも『自己責任で危険地に赴く事』と、政府が『海外で危険に晒されている邦人を守る義務』は全く別物で考えるべきだと思う。
この話になると書ききれないので今日は辞めておくけれど、要は『不良との付き合いから抜け出せない状況やそこに行き着いたいきさつ』と『(特に義務教育の中で)学校なり地域の機関が危険にさらされている恐れのある子供を救う努力を行う事』も同じように一直線上で考える事を捨てた方がいいと思う。


亡くなった男の子のご冥福をお祈りします。





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最終更新日  2015年03月03日 09時52分55秒
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