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テーマ:美術館・博物館(1508)
カテゴリ:ママのはなし
現在、相国寺承天閣美術館にて開催中の
『若冲展 釈迦三尊像と動植綵絵120年ぶりの再会』に 行ってまいりました。 伊藤若冲とえば・・・、 江戸期の画家で、鶏の絵が得意な人 という感じでしょうか。 普段は、宮内庁の三の丸尚蔵館に所蔵されている 若冲代表作の『動植綵絵』が京都に初めてのお里帰り ということで、なんとしてもいかなくちゃ! と思い立ち、 子供連れで、予備知識を仕入れる余裕もなく 怒濤のように出かけていきました^^; さて、絵を見た感想ですが、 期待を全く裏切らなかった・・・、 といいますか、すごく良かったので 少しブログに記録してみます。 今回の展示会の目玉 『動植綵絵』が展示された部屋に入ったとき、 なんともいえない、不思議な感覚に襲われました。 若冲の絵には、独特の躍動感があります。 それはそれは美しく、はっとするほど絵になる躍動感。 しかし、それとは反対に、なんとも不思議な静寂が その躍動感を覆っている。 よく見れば『動植綵絵』には、 すべてこの静謐のベールがかかっています。 かかっているけれども、すごい躍動感も そのベールのむこうから見える。 これが見る者に なんとも不思議な感覚をもたらすのです。 若冲以外に、こんな不思議な絵を描く人って、いるかしら・・・ そう思いながら30幅の絵のうち半分まで見て、 部屋の奥中央、お釈迦様の絵のところまで来ました。 そこで、はたと思い至ったのですが、 この絵はもしかすると 若冲なりの極楽浄土を描いた絵ではないだろうか。 そう考えれば、 動植物を描いたこの躍動感あふれる30幅ほどの絵に、 なぜ静謐のベールがかかるのか、 合点がいきます。 1つとして架空のものは描かれていないのに この『動植綵絵』は、この世のものとは思えないほど美しく、 不思議な空気で満ちている。 現実に存在するマテリアルだけを使って、極楽を描く もし、若冲にそんな心意気があったとすれば ちょっと粋です。 誰の目の前にも、現実というマテリアルは、ある、 描き出そうとする自分の心一つあれば 極楽浄土は案外と近いところにあるのかもしれません。 いずれにせよ、とにかく美しい絵の群れでした。 お得意の鶏の絵は、もちろんよかった。 よかったけれど、今、私の心にあるのは 『動植綵絵』の中にあった 梅が咲き乱れる満月の絵『梅花皓月図』です。 こんなに賑やかで、生命があふれた月を見るのは初めて。 現実の世界では、ちょっと見ることのできない 月かもしれない。 けれど、もしかすると、 「人」だけはこの月を 見ることができるのかもしれません。 その気にさえなれば・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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