書評:正しく決める力
戦略コンサルタント→PTA会長など教育事業でご活躍されている著者の、最新刊。正しく決める力物事を「正しく決める」ための3つの力について。さて、あなたは物事を正しく決められているだろうか?------------------------------------------------------------「正しく決める力」を身に付けるための処方箋は一つしかない。それは少数の技だけに集中して、それを身に付くまで繰り返すことだ。だから、この本では超基本の技を三つだけ紹介する。(1)考える=「重要思考」大事なコトから三段階で考える(2)議論する=「Q&A力」大事なコトを問う・答える(3)喜捨法=「捨てること」を強制する・楽しくする------------------------------------------------------------前半のくだりは、まさしく本質的でとても共感。この3つ、ひとつ一つを瞬間的にやるのはできそうだが、実際に習慣として身に付けるとなると、そうはいかない。けど、成果出している人は、身につけている人。(早速、本エントリを書く際「重要思考」的に考えた。書き出しどうしようか…とか、自分がいかに思考の無駄をしていたかに気づく。「自分が本当は何を重視しているか考える」ことはホント重要。このテーマはまたどこかで考えよう)●経験の逆説ヒトは、一回経験した成功や失敗をベースにすべて判断する。この「経験の逆説」、とても興味深い。------------------------------------------------------------本当の災害時に逃げ遅れるのは、災害未経験者ではなく災害経験者だという。「あの時も大丈夫だった」「あの雨でもウチの裏山は崩れなかった」…。その経験が、正常な判断を狂わせる。------------------------------------------------------------また、成功体験は自信にもなる上に人を説得する時の武器にもなる。だから、なかなか捨てがたい。●アヒル曲線----「喜捨法」「喜捨法」は、「最もカンタンだが、最もカンタンにやらなくなる」、「物事を続ける」ためにどうすればいいか?というノウハウである。「捨てることを楽しくする」、だから「喜捨法」。ここで出てくるアヒル曲線は、「成果が出る仕組みってこうなってるんだよ。だから、この線にそってやれてるか、考えてごらん。」って感じでユーモラス、しかしスパッと言い切っていて、気持ちいい。「ラクには成果は手に入らない」という正論はまさに「良薬に口に苦し」だが、アヒル曲線はそこに少々の甘味を加えてくれる。■その他学んだこと。・作戦とは勝機を作ること、戦術とはそれを逃さないこと・もともと、なんでプレゼンテーションがスライド方式かと言えば、それが「集中」に向いているから全体的には、各章がわりと独立している感があるが、そこをつなげて読むのもまた一興。非常に本質的なところを突いているので、誰にでもためになる。著者オフィシャルサイトからは、教育に対するこだわりと思い(とアヒル曲線!)がめちゃめちゃ伝わってくる。必見。