文楽は大阪ではスカスカという勘違い
よく文楽は東京では満員御礼チケットが入手困難なくらい人気だが本拠地の大阪国立文楽劇場ではいつもガラガラで不入りだと言われる。確かあれから一度も劇場に足を運ばず「竹本さん」と呼ばわって文楽贔屓の失笑の的になっている大阪市長も、4月公演を「3割しか入ってない」と誹謗したが、見に来ないでわかったように言い切るとは、透視能力でもあるらしい。だが少なくとも私が聴きに行った日、初日と土日と平日の幕見席そして千秋楽と満席だった。千秋楽など暑いのに空調が悪くおかげで袷の着物を着ていた私は汗びっしょり、翌日はあせもが背中に出て皮膚科にかかったほどの熱気だった。彼は一体いつの回を透視したんだろうちなみに幕見というのも、橋下市長も彼の鵜呑みのシンパ諸君も知らないだろうから教えてやるが、大阪の文楽劇場での文楽公演に限り、見たいところだけピックアップして、安い料金で鑑賞できるシステムがありこれを「幕見」と言う。文楽は富裕層の楽しみとか知りもしないでいがんだことをゆうてないで自分で確認してみては如何か。文楽は昔から庶民の楽しみである。浄瑠璃は封建社会の権力者を皮肉った話がとても多いのも庶民に親しまれていたからだ。知らないということは本当に恥ずかしいということをまず知るところからはじめて、誰かをあてにするとか期待するのではなく自分の考えを実行に移せるのは自分しかいないという事実と向き合い主体性を呼び覚ましていただきたい。話を戻すなぜ文楽劇場での文楽公演がスカスカという説がまかりとおってしまったかそれは、東京と大阪の劇場のキャパシテイと公演期間の差による。東京公演は国立劇場小劇場で行われており座席数も300余開催期間も2週間足らずと少ない。そこで熱心な東京のお客さんは、チケットの発売日初日には電話ないしはパソコンの前に座りこんで、発売時間開始と同時に猛烈な勢いで電話をかけるないしはキーを打ち込みまくる。そうやって必死になって初めて確保が可能となる。替わりまして大阪の場合まず、公演期間が3週間と長いのだ。そしてなにより劇場の大きいこと。この劇場は名前こそ文楽劇場と銘打たれているが実は設計した黒川紀章は歌手の奥さんのことを考慮して座席数を多くしたと言われている。よって、座席数が800余それでも初日土日千秋楽は満員だし、平日も、6~7割はお客さんが入っている。ということは、少なく見ても400人以上は必ずはいっているのだから、この時点で東京公演一回分を軽く凌いでいるのだ。つまり大阪は、スカスカそうに見えて、ちゃんとお客さんが入っているのだ。それでなくても座席が古くてかたくて座席と座席の間が狭いと来ているので、正直常時満員だと窮屈でたまらない。橋下市長は教育問題にせよなんにせよすべて現場を見ないで現場の責任のみ追及するが、自治体の首長というのは本来まず現場の悩みを聞いて改善のために尽力するのではないか。順序がおかしい。お客を増やせと口ばかり出してないでそれなら劇場の設備に金を出せと言いたい。いまどきの梅田の映画館なみの座り心地の良い椅子に入れ替えてくれれば、リピーターも増えるだろう。設備投資もしないで稼げだの儲けろだの民間の社長きどりもいい加減にしてもらいたい。民間の社長でも集客率をあげるための設備投資はするだろう。そもそも自治体とは、採算が取れない事業に手を貸さない民間がやらないこと、地域の文化財の保存などを率先して行うのが仕事ではないのか。補助金とは、そのための、資金ではなのか。それを自分の勝手な思惑で儲からないからと因縁をつけ補助金を切ると脅すとは開き直ったやくざよりたちが悪い。だから私は思う。こんなやくざにいつまでも絡まれていると文楽の品が落ちるから、もうお引き取り願って、補助金もなにも出さないと言ったんだからそうしてもらったら良いと。ただし、こっちから、いらないとも、出してくださいとも、一切アプローチする必要は、ない。無視して勝手にやらせたらよろしい。すべての恥は、大阪市長橋下徹氏が被るだけのことなのだから。