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テーマ:生き方上手(688)
カテゴリ:暮らしのあれこれ
私が日常生活で最も苦手なことの一つが、人の顔を覚えることである。
とにかく人の顔が覚えられない。覚えられないというか、きちんと認識できないのだと思う。 あまりにも覚えられないので、友達づきあいの上手な友人に相談してみると、その人の誕生日とか星座とか血液型とか、そういう周辺情報と合わせて脳にインプットするといいよ、とアドバイスをくれたのだが… いかんせん、その「人の誕生日」などを覚えるのが、これまた苦手なのだから始末におえない。 私がどれくらい顔を覚えられないかと言うと… 例えば、先日スーパーで「ののはなさん、こんにちは。花子ちゃんいつも元気そうに学校行くねー。今朝も挨拶してくれて…」と話しかけられたのだが、相手が誰だか分からない。 必死に思い出そうとするが、さっぱりわからん。 花子のことを知っているということは、花子のクラスの誰かのお母さんだろうか。 いや、しかし今朝挨拶をしたということは、通学途中で会ったということだから、近所の人なのか? なんとなく、見たことのある人なのだ。 どこかで少しは会話もしたことがある気がするが…。 結局、その場は当たり障りのないちょっとした話をして別れた。 そして夕方、裏庭から出てくると、うちの玄関にその人が立っていた。 「ごめーん、今日あったときに言えばよかったんだけど、自治会の集金…」 彼女は自治会のうちの班の今年の班長さんで、近所のおうちの奥さんだった。 回覧板や集金や連絡で、もう数回は話しているはずなのに、いつものエプロンをしておられなかったというそれだけの理由で、私には誰か認識できなかったのだ。 もう少し前には、大型ショッピングセンターを歩いていたら、向こうから知っている顔の男性が歩いてきて、にこっと笑いかけられた。 誰だろう…と思いながら会釈すると、その男性は「最近はご無沙汰ですね。元気ですか?」と笑っておっしゃった。そして「じゃ、また」と去っていってしまった。 最近はご無沙汰、とその人は確かに言った。 ええっ?!それでは私は以前、その人にしょっちゅう会っていたのだろうか…。 誰だろう…???と考えていると、娘が「先生もお買い物かな?」と言った。 「え?あの人、学校の先生やった?」と聞くと、娘はあきれた顔で 「お母さん、なに言うてるん。あれいつも行く病院の先生やんか」 白衣も着ず、聴診器もぶら下げてなかったから分からないなんて…。 これはもう、一種の病気なのではないかと、ちょっと自分でも心配になった。 でもこれは今に始まった事ではないのだ。 まだ大阪でプランナーをしていた頃、プレゼンテーションのためにお客さんの事務所へ急いでいたある朝のことだ。 私の目的地の一つ手前のビルが、よく野球選手や芸能人の泊まるホテルだった。 そのホテルの玄関前は、その日いつになくたくさんの人でごった返していて、時間に遅れそうだった私は急ぎ足でその人だかりを突っ切ろうとした。 すると、その人ごみの中心に、なんだか見たことのある顔の男性が数人立っていたのだ。 誰だか思い出せない。しかし、確かにとてもよく知っている人たちなのだ。話し声も知っている気がする。 とっさに「仕事で関係のある誰かだろう」と思った私は、その人たちに「おはようございます!」と声をかけた。 すると相手の男性達も私に「おはようございます」と口々に挨拶を返してくれた。 やっぱり知っている人なのだ。 挨拶しておいて良かった。 しかし、プレゼンの間も、顔は知っているのに名前が出てこない彼らが頭から離れない。 あーイライラする。 いったい誰だったんだろう…う~ん、名前がどうしても思い出せない…頭に浮かんでくる名前は…す…すずき? いや、そんなありふれた名前ではない気がする。 結局、思い出せないままプレゼンを終えてビルを出た私が隣のホテルの前で見たものは…。 それはテレビ中継で新曲を歌う「ラッツ&スター」の姿だった。 そう、私がその朝人ごみの中で挨拶を交わしたのは、ラッツ&スターのメンバーだったのだ。 そりゃ、よく知っている顔のはずだ。 みんな普通の服装で、顔も塗っていなかったから私には彼らだと認識できなかったのだった。 こうして書いてみると、どうやら私は「いつもの格好」というものがある人の顔の認識がダメなようだ。 顔よりも、そのコスチュームで人を認識しようという甘い脳みそなのだ。 初対面の人の名前と顔をすぐに覚えられる人を、私は心から尊敬するし、うらやましいと思う。 私の脳の中のメモリ容量は、人を認識するために使われることはないような設定になっているのかもしれない。 誰か、うまく人の顔を覚えるコツなどご存知の方がいたら、ぜひ教えて欲しい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年07月14日 13時54分52秒
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