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テーマ:中学生ママの日記(17695)
カテゴリ:子供にまつわるあれこれ
太郎が学校から帰ってきて、
「今日、社会科の先生が『安倍さんが総理になっちゃったから、憲法9条が無くなってあなたたちも徴兵されるかもしれないわよー』って言ってたよ。」 と言う。 安倍政権が発足した時、私は様々な角度からの安倍総理の見方を(分かる範囲で、だが)子供たちに話して聞かせていたので、その教師の極端な発言に太郎は「学校の先生があんな風に言っていいの?」と思ったらしい。 中学2年生といえば、そろそろニュースで報道されるくらいのことは理解できる年齢だし、新聞も読めると思う。 だが、そんなに政治に興味を持って深く考えられる子はまだ少ない。 なにより、日本の政治の様々な制度を習うのは中学3年生のはずで、それ以前の、日本の政治の仕組みを分かっていない子供たちに、大人が(それも教師のように影響力を持つ大人が)極端な思想の端切れを見せてしまったら、子供たちにはそのイメージが強く焼き付けられ、以後、公平な立場で政治を判断し、自分なりの考えを持つことが難しくなってしまう可能性があると私は思っている。 私は、私の父がわたしにしてくれたように、政治や経済のニュースは、できるだけこまめに、できるだけ噛み砕いて子供たちと話すようにしている。 その時、一番気をつけているのは、色々な方向から見た意見を聞かせることだ。 確かに、安倍総理は改革路線を引き継ぐと公言しているし、改憲を考えているし、自衛権についても今のままでは国際協力さえままならないと考えているようだが、そう考えるにはそう考えるだけの理由も述べている。 そして、それに反対する立場の意見にも、きちんとした思想がある。 社会科の教師として教壇に立つならば、そのどちらもきちんと話した上で、子供たちに考えさせるのが筋ではないかと思う。 そのためには、戦争の前の日本の思想や戦後の日本の思想、安保、憲法のできた経緯、アメリカの思想、世界(とりわけ北朝鮮や中国との関係や中東の)情勢、そして現在の政党のそれぞれの立場や思想を全てきちんと説明する必要がある。 そして、新政権の考えていることはそれ以外にも様々なことがあり、それについて一つ一つ説明しなければ、子供たちには新しい内閣の進める国の全体像が見えない。 そしてなにより、今の日本の民主主義のあり方をきちんと説明し、「みんなにはYesかNoか、きちんと考えて発言する権利がある」ということを分からせなければならない。 もちろん、それを公平な立場できちんと説明するのは非常に時間もかかるし、とても難しいことだとよく分かっている。 たとえば先日、9.11のテロについて子供たちに話した時も、ただ起きた出来事を並べて説明するだけでは、本当のことは伝わらないので、さまざまなことに話が及んでしまい、夕食後から夜中までかかってしまったほどだ。 一つの話題でもこれだけ時間がかかり、話は世界の人々の宗教の歴史にまで及んでいくのだから、新しい内閣のことを中学生にきちんと説明するなんて、気の遠くなるような話である。 しかし、それができないなら、冒頭に書いたような無責任な発言は絶対にやめてもらいたいと思うし、公平な立場で政治の話ができないなら、社会科の教師なんてする資格はないのではないだろうかと思う。 教育の水準を上げるというと、つい国語や数学・算数や英語ばかりに目が行ってしまいがちな今の風潮だが、社会科できちんと世の中の仕組みや考える力を養うのはとても大切なことのはずだ。 しかし残念なことに、そういうことをきちんと指導できる教師を育成するためのトレーニングが特別に行われている様子はない。 一番難しい科目であるという認識もなく、教壇に立っている人が多いのが現実のようである。 たとえ難しい話題であっても、家庭できちんと、毎日のニュースや世の中について、そして世界の動きについて、話をすることはやはりとても重要だったのだと、改めて思った出来事であった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年09月30日 10時59分10秒
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