野の花も日々あれこれ考える

実家で父の介護をしている母の趣味は、猫達の世話と園芸である。

以前も少し書いたことがあるのだが、母はベランダや窓際で様々な植物を育てている。
それはなんの脈絡もなく、一年草の草花に、観葉植物、ハーブ、多肉植物などがごっちゃになっているのだが、しかし不思議となんとなく優しい雰囲気の漂う空間になっている。
それはそのまま母の人間性を表しているようで、なんだか面白いと思う。

先日、実家に帰ったとき、母の育てている花たちの写真を撮ってきたので、少し載せてみることにする。































母は、百均の赤いぞうさんのじょうろと、プラスチック製のおもちゃのスコップでなんでも世話してしまう。
不思議なのは、街なかのベランダで、決して環境が整っているわけではないのに、母の手にかかると、ラベンダーも種から立派な株に育ってしまうし、さし芽のハーブたちも生き生きと育っていること。

生け花はかなりの腕前の母なのだが、園芸となるとまるで緊張感がなくて、鼻歌まじりにおもちゃのスコップを振るう姿は本当に楽しそうだ。


父の介護は決して楽なものではない。
けれど、その中でもこういう楽しみを忘れないでいる母の姿を見ると、娘としてはホッとする。

花たちが、少しでも母の疲れを取り除いてくれればと、そんな気持ちで写真を撮った。