「精神的な疲れを感じた時はどうしますか?」
「もし精神的に疲れたら、ただ精神をリラックスするだけです。
目を閉じ、くつろぎます。そしてしばらくして再び目を開けます。するともう疲れはなくなっています」
「先ほどそちらには時間や空間はないと言いましたが、物事はどのように進展していくのですか? どのようにして物事の経過を知ることができるのですか?」
「分かりません。私の理解している限りでは、時間を計る手段はありません。
こちらには時間の意識がありません。
こう言うと、あなた方には理解できないことも知っております。こちらには地上のような午後・夕方・夜といった区別はありません。地上でいう時間はこちらでは何の影響も及ぼしません。結局、時間は地上の人間の作り出した単なる目印にすぎません」
「そちらでは昼間と夜がありますか?」
「ありません。ただ地上のような睡眠・休憩を取りたいと思うなら、夜の闇が出現します。その時は、目を閉じさえすればすがすがしい状態になります。これ以上はどのように説明してよいのか分かりません」
「ローズさん、あなたは他の天体を訪れたことがありますか?」
「私は地球より低い天体へ行ったことがあります。
しかし、あなた方が考えているような天体には行ったことがありません。私が行った天体は地球に似ていました。ところで今、あなたは私に、どのような天体に行ったことがあるのかと聞いたのですか?」
「火星や金星です」
「私はそのような所へ行ったことはありません。私は火星や金星については何も知りません。科学に興味のある者なら知っているかもしれませんが」
「他の質問をします。そちらには法律とか規則といったようなものがあるのですか?」
ウッズが尋ねた。
「こちらの世界には"自然法"があるだけです。こちらに来ると、すぐにそのことが分かるようになります。こちらには地上世界のような法律や規則はありません。万人に当てはまり、万人が認める"法則"(自然法)があるのみです」
「分かりました。ところでそちらには雲はありますか?太陽は輝いていますか?」
「太陽が輝いています。ときどき空に雲が見えますが、それは珍しいことです。
こちらの空は、あなたがこれまで見たどんな夢よりずっと美しいです。空は必ずしも青色とは限りません。ときどき緑色になったり赤くなったり、ありとあらゆるすばらしい色に変化します」
「そちらに存在する色彩はとても美しいですか?」
「それは皆さんには想像もつかないでしょう。こちらには、地上には全く存在しない色彩もあります。地上とは比較にならないほど無限の色彩があるのです」
「衣服はどうですか? そちらでは服は着るのですか?」
「とても良い質問です。もちろんこちらでも服は着ます」
「それは地上のような衣服ですか?」
「いいえ、私が昔、地上で着ていたものとは違います。皆さんもこちらの世界に来る時は、そのような服は着ないだろうと思います」
「あなたが今、着ているものを説明してくれませんか?」
「人はこちらに来て間もない時は、自分の気に入った服を着ます。
今世紀にこちらの世界にやって来た女性は、ドレスはなくてはならないもの、と考えていますから、しばらくの間はそれを着ることになります。しかしやがて彼女たちは、それは本当に必要なものでないことを悟るようになり、気に入らなくなります。そして徐々に考え方を変え、結果的に服装を変えるようになります」
「ローズさん、あなたは今、何を着ていますか?」
「皆さん方にどのように伝わるか分かりませんが、今、私はとても美しい白いドレスを着ています。ドレスの縁にはボタンが付いています。袖は長く、幅が広いです。体の真ん中で金色のベルトをしています」
「服の素材は何ですか?」
「地上にあるもので最も近いものを挙げるならシルクだと思います。私は髪をとても長くしています」
「洗濯をするとき何か問題はありませんか?」
「何もありません。泳ぐこともできます。もしあなたが水の中に入りたいと思うのなら、その通りできます。しかし衣服は濡れたり汚れたりしません。こちらには、チリやほこり、泥といったものはありません」
「そちらの世界には地上のような海はありますか?」
「私はこちらで海を見たことはありません。しかしその代わり、美しい川や湖があります。どうして海がないのか私には分かりません」
「川や湖にはボートはありますか?」
「美しいボートがあります。しかし大型船はありません。とても美しいボートです。それはヴェネチアで見かけるようなものです」
「ゴンドラのようなものですか?」
「そうです。船は花々で美しく飾られています。そしてそこで祝い事がなされます。水上は一面、光で飾られます。その光は電気やガスでつくられたものではなく、人々の心でつくられたものです。これが私の精いっぱいの説明です。私にはその様にしか説明できません」
「何とすばらしい!」
ウッズが言った。
「そちらには町はありますか?」
「美しい町があります。
汚く陰気な地上の町とは違います。
その中に特別に美しい町があります。町には劇場や娯楽場のような所もあります。地上の劇場で上演されているようなミュージカルも見ることができます。ただしそれは、地上のミュージカルよりずっとすばらしいです。
こちらの世界のすべての存在物には目的があります。意味なく存在しているものは一つとしてありません。もちろん私たちは笑うこともします。こちらにもコメディーのようなものもあります。こちらに来たからといって、ユーモアのセンスを失うわけではありません。
ご存じのように、地上の人々は正しいことを何も知っていません。教会の日曜学校では、いつも全く間違ったことが人々に教えられています」
「教会はいつもわれわれにバカ気たことを教えてきました。そして今でもそんなことをしているのです」
とグリーンが言った。
「彼らは、死後の世界にいる私たちのことを、空を飛び回ったり、ハープを奏でたり、雲の上に座ったりしていると考えているのです。それは本当におかしな考え方です」
とローズは言った。
「私はそちらにも学校のような所があると聞いておりますが」
ウッズが質問した。
「こちらには大きな学校や博物館があって、そこではあらゆる国々や民族の歴史を学ぶことができます。そこにないものはありません。全てのものが揃っています」
「あなた方は話をしますか?」
「すいません。もう一度言ってください」
「そちらの世界で、あなた方は話をしますか?」
「その必要はありません。しかし話そうと思えば話せます。
それはその人の魂の発達いかんに掛かっています。こちらでの生活が、地上の時間にして数年もすれば、人は必ず成長するようになります。そして話すことは不必要であることを悟るようになります。こちらでは自分の考えを送ったり、相手の考えを受け取ったりすることができるのです。テレパシーのようなものです」
「高度なテレパシーですか?」
「そうです。私はまだあまり上手ではありませんが。いつかもっと上手になりたいと思っています」
「人々が地上で培ってきたもの、やってきたことは、何でもそちらの世界に持って行けると聞いていますが、それは本当ですか?」
とウッズが聞いた。
ローズの答えは返ってこなかった。
「あなたは今、何と言いましたか」
という他の声が聞こえた。それから何の声も聞こえなくなった。交霊会の参加者は、ローズはどこかへ行ってしまったか、誰かに引き離されたかと思った。
すると、
「さようなら、別の時に来た方がよいようです」
とローズの声がした。
ここまで読んでも、「死後の恐れ」というものが、スッとなくなるのが分かる。
そして、死後もまた、
「テレパシーでのコミュニケーションの練習」
そして、
「愛の向上」
が求められている。
シルバーバーチや、江原先生の昌清霊などは、高級霊であるから、
きっと、高度に発達したテレパシーを取得されておられるのだと思う。
それを使用せずに、再び「声帯」を使用してコミュニケーションすることは、
おそらく並大抵の努力ではないのだろう。
飛行機の免許を取っている人が、「ハイハイ」で東京から大阪まで行くような
気の遠くなるような「試練」なのかも知れない。
しかし、それをしてくださったのは、他ならぬ「愛」ゆえに違いない。
その「愛」を目の当たりにしては、ボクは「感謝」しか思い当たらない。