なかよし食堂
沖縄に来たばかりの4年前の話。新居が見つかるまで一時的に滞在していた場所の近くにタイトルの名前の食堂があった。ヤギ汁や八重山そばが売りで沖縄の料理が珍しかった私たち家族はずっと気になっていたのだ。あるときちょうどおなかがすいた夕方に通りかかりその店に入った。気さくなおばちゃんが一人で切り盛りしていた。わたしたち3人は座敷に上がり掘り座卓の一番隅の席に座った。その堀座卓は掘ってある部分が横一列に並んだすべての座卓の下とどぶのようにつながっていて座卓と座卓の間に板が渡してあり区切られていた。早い時間に入ったのでお客さんは私たち以外いない。珍しいものが好きな夫はヤギ汁を、わたしは定番のちゃんぷる定食、最も定番を好む娘は唐揚げ定食を食べながらお店の高いところに置いてあるテレビを眺めていた。カラオケ王者決定戦みたいな番組。私はあまりテレビを見ないので娘がテレビを見やすいように座ってる場所をちょっと動いた。その時娘の足にぶつかったような感覚。「あ、ごめんね!」と娘に謝ると「???なんで?」「足にぶつかったよね。」「ぶつかってないよ。」はて?へんだな~と思いながらもま、いっかと味付けの濃い山盛りのちゃんぷるを食べ続ける私。やっと全員食べ終わりおばちゃんと話しながら夫が支払いをしていると「あ!かめ!」と靴を履いてる途中の娘が叫ぶ。テレビでカメが出てきたのかと画面を見上げるが相変わらずカラオケで歌ってる画面。「違う、こっち~!」娘の指さしたのは掘り座卓の下。大人の手のひら二つ分の大きさの生きてるカメが!さっき足にぶつかったのはそれかあわてたお店のおばちゃん「不衛生だって嫌がる人もいるからいつもはやってないの。あまりお客さん来ない時間だったからたま~~~に散歩させてあげるのよ、狭い水槽だとかわいそうだからね。」早めの時間に突撃入店すると掘り座卓を散歩するカメとなかよしになれるかもしれないなかよし食堂のエピソードでした。