カテゴリ:ひとりごと
「共有地の悲劇」~なぜ落ちこぼれ社員はいつも時間をもてあますのか ■無理難題をこなす60点主義とは とある遊牧地帯に共有の牧草地がある。私有地なら牧草を食べつくさないよう 牛の数などを制限するが、誰もが利用できる共有地の場合、周囲の遊牧民は自分の 利益を最大化するために牛の数を増やしすぎる。なんらかの規制を加えないかぎり 牧草地は荒れ果ててしまうだろう。つまり個々の利益を最大化することで 全体の利益は損なわれてしまう。これが数学のゲーム理論でいう「共有地の悲劇」だ。 同じようなことはサラリーマン社会でも起きている。 サントリー宣伝部の若手社員時代、僕は部長以下いろんな上役・先輩から 急を要する仕事や面倒な仕事、果ては困りごとの処理をやらされた。 たとえば「日本酒業界の収益構造を知りたい。3日後までにレポートをつくれ」 とか「明日の業界団体の集まりで社長がスピーチするから原稿を書け」 という仕事が突然まわってくるのである。 あるとき、仕事を通じてお付き合いのあったマーケティングの大家 村田昭治・慶応大教授(現名誉教授)に自分の境遇を嘆いたことがある。 村田教授は、なんだ、そんなことかという顔で次のように諭してくれた。 「君は幸せだよ。若いうちは経験することがすべて勉強だ。 その点、君は次々と新しい仕事を覚えられて得じゃないか。 会社だって、社員をつぶしたら損だから無茶はしない。 それに君のところの部長は忙しいんだ。 できないとわかっている社員に仕事を頼むわけはない。 君は期待されているんだよ」 なるほどそうか。僕はラッキーな男なんだ。そう思うと ふつふつとやる気が湧いてきた。 もっとも、多忙がすぎれば体を壊す。「今日中にやってくれ」 「3日後までに調べろ」という無理難題に対して、僕は自分なりに次のような 対処基準を設けることにした。 (1)どんな要求にも必ずアウトプットを出す (2)精度や完成度は必ずしも100%に固執せず60%でよしとする――この2点である。 僕は勝手に「60点主義」と名づけ、通常の仕事のほか急な頼まれごとを 次々こなしていった。するとますます上役から信頼されるようになり 「君は余人をもって代えがたい」とまでいわれるようになったのである。 あとになって知ったのだが、当時の僕のような状態こそ「共有地の悲劇」に 当てはまる。担当分けがきっちりしていない職場では、気の利いた若手社員に あらゆる仕事が殺到してしまう。頼む側は直接の部下ではないという 意識があるから、長期的な見地から仕事をセーブしてやるといった 配慮をしないのだ。 そのため、一方ではヒマな社員はいつでもヒマだという別の問題も 生じてしまう。村田教授が指摘したとおり、多忙な上司はアウトプットに 期待できないダメ社員には最初から仕事を振ろうとしない。 ヒマをもてあましたダメ社員は、チャレンジする機会を与えられないので いつまでも実力がつかず、さらに落ちこぼれていくのである。 さて、ダメ社員のことはともかく、多忙すぎる若手が仕事で つぶれないようにするにはどうするか。 対策の王道は、その部署のトップが仕事の交通整理をきちんとしてやることだ。 それが間に合わないときは、若手自身が知恵を働かせるしかない。 悩んだときは僕が村田教授に愚痴をいったように、一人で抱え込まず 誰かに相談することだ。 そしてもう一つ、能天気な僕はそのころ「共有地の悲劇」なんて ネガティブな言葉を知らなかった。これは幸いだったと思っている。 世の中には、知らないでいるほうが幸せなことだってあるのだ。 上記丸ごとネット記事抜粋w ダメ社員のまま定年を迎えられるかが問題だが、ダメの上くらいが 理想的かな~w お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/05/23 02:07:41 AM
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