便座から立てないわけ
ある日曜日、鍼灸の学校で勉強会があった。その学校は開校して日が浅く設備も新しいものばかりだった。1時間半の講義を受けている人の中に謎の鍼灸師もいた。講義の途中謎の鍼灸師は急にお腹の調子が悪くなってきたことを感じた。終わるまではまだ時間がある。我慢して聞くよりはすっきりした方がよいと判断し、講義のじゃまにならないよう静かに席を立ちトイレに向かった。最近のトイレは和式のものは少なく洋式が多くなってきた。そのトイレも洋式だった。便座に座り、至福のひととき。ふと横を見るとウォシュレットのスイッチが目に留まった。こういうところにまでウォシュレットが付くようになったと感心しながらスイッチを押す。お尻に当たる水。もういいだろうと停止スイッチを押す。お尻に当たる水。スイッチの押し方が悪かったのかなともう一度押す。お尻に当たる水。(・・;)二つしかボタンはないがこれは停止スイッチではないのかと考え、今度は最初に押したボタンを押す。お尻に当たる水。自動で止まるのかと思いしばらく座ってみる。お尻に当たり続ける水。(|||||゚ _ ゚ ;)この時点で謎の鍼灸師の頭の中には<壊れた>という文字がうずまき始めた。どうする!水は勢いがあり、便座から立つと外へ飛び出る。そうなるとズボンとパンツが濡れる。また水が止まらなければトイレ中に水が流れ出る危険もある。誰かを呼ぶか?この状態で!!?おそらく伝説になるだろう。それだけはなんとしても阻止しなければ。考える謎の鍼灸師、その間も、お尻に当たり続ける水。気づいた。うちのトイレにもウォシュレットが付いているが便座の横にメインスイッチがある。探した。・・・ない。何故かメインスイッチがない。いやそんなことはないどこかにあるはずだと手で探る。・・・ない。(゚ロ゚;) 簡易バージョンなのか?別の所にあるのか?そんなことをしている間も、お尻に当たり続ける水。こうなったら、コンセントを抜くか?手を伸ばせば何とか届く位置にある。これを抜けば・・止まるのか?本当に?何故か壊れて水が出続けないか?仮に止まっても壊れないか?壊れたらそのまま知らない振りで通すか?抜くという決断の出来ないまま、お尻に当たり続ける水。しばらく悩み続けていると、水が止まった。実際は2分ほどの出来事だったのだがこれほどの危機を感じたのはあまりなかった。そして謎の鍼灸師は何事もなかったように手を洗い、再び講義を聴くため席に着いた。