顾漫《骄阳似我》下 やっぱり顾漫さんはいいなぁ(^-^)
最近特に仕事が忙しく、毎日毎日極限まで集中して業務をこなしているので仕事以外の時間はぐったり。新しい中国語の小説を読む気力など当然ありません。昨日も仕事から疲れ果てて帰って来てソファーでぼんやりテレビを見ていたのですが、ふと「ああ~・・・もう何日も中国語を触ってないなぁ。」と思って、リビングの片隅に乱雑に積んである本の一番上にあった《骄阳似我》下を手に取りました。頭が疲れている時はこういう軽~い恋愛小説が一番よ。以前にしっかり読み込んでいるのでお気に入りの場面を読み返すという形でパラパラとめくりました。主人公の曦光と林屿森のラブラブ場面も胸キュンで良いのですが、「こじらせ男子」の庄序からなぜか目が離せません。イケメン・高身長・頭脳明晰とモテの条件を完備しているにも関わらず恋愛方面の駆け引きでは作戦失敗のかわいそうな彼ですよ。庄序くん。大学三年生の時に出会った同級生の曦光に一目ぼれされて彼女から数々のモーションをかけられるも常にノーリアクション。最終的に曦光は庄序に正式に告白しますが、そこでもノーリアクション。その時にルームメイトの容容から「庄序は私の家のお隣さんで彼と私は幼馴染なのよね~。フフン」とマウントをとられ、曦光は庄序と容容が付き合っていたの?と思って、庄序に「あなたと容容が付き合ってたって知らなくて告白しちゃってごめん!でも私はあなたのことがずっと好きだから!」というメールを送ります。が、そのメールにも庄序は返事無し。というような前置きがあっての《骄阳似我》下 。下巻でもはっきりとは描かれていませんが、実は庄序はずっと曦光の事を好きだったようです。貧しい家庭出身の庄序は人目を惹く美人で大金持ちの令嬢の曦光に釣り合う人間になるため、大学で優秀な成績を獲得し高収入が得られる世界的企業に就職できるよう努力していたらしい。で、曦光が自分と同じ上海の企業に就職できるよう(無表情で)手助けをし、大学を卒業し二人とも上海で働くようになったら、その時が二人の幸せな将来の始まりだ…と密かに計画(妄想?)していたらしい。そんな庄序の密かすぎて伝わらない計画(妄想?)には全く気付かなかった曦光。大学卒業後蘇州の会社に入社し、そこで上司、林屿森の真正面からの告白を受け、庄序から振られた(と彼女は思っている)心の傷をやっと癒すことができました!そして庄序はというと、世界的銀行に就職し高収入でステイタスもある男性となり、「やっと曦光と釣り合う人間になれた!」とほっとしたのもつかの間、目の前に現れた曦光にはすでに恋人が!ここからの庄序くんの壊れっぷりがすごいのです(@_@。。曦光を感情的にひどい言葉で罵ったかと思えば、「俺は何を間違っていたんだ!?なあ!?何を間違っていた?」と激しく曦光に追いすがったり。もう狂気 コワ~。読んでいる身としては、「学生時代にリアクションほぼゼロだったくせに今さらそんなこと言われてもねぇ。人は他人の心が読めるエスパーじゃないんだから。」と思わざるを得ません。で、で、以下が私の一番好きな場面。追いすがる庄序くんにビシッと言い放った曦光のセリフ “喜欢是想给那个人一切美好,是小心翼翼,生怕自己哪里说错做错,让他不喜欢,让他误会自己的心意。是竭尽所能地让他开心,是不理智地美化他一切行为,绝对不会把他往不好的地方想。” 庄序说:“你对他就是这样?” 我沉默了许久,最终还是轻轻地说:“不,是曾经对你。” 他的身形仿佛在刹那凝固。“他从来不会让我小心翼翼。”「人を好きになるって、その人にこの世界の幸せを全部あげたいと思ったり何か変なことを言って彼が私のことを嫌いになったり私の気持ちを誤解したりしないかなって思ってびくびくしたり、全力で彼を楽しい気分にさせるよう頑張ったり彼がやることは全部素晴らしいと盲目的に思い込んで、彼が悪いだなんてこれっぽっちも思わなかったりすることよ。」庄序は「君は彼(林屿森)にそうしている?」と言った。私はしばらく沈黙した後「違う、以前あなたに対しての私がそうだったの。」と低い声で言った。彼は一瞬固まったように見えた。「彼(林屿森)は私をびくびくさせたりなんかしない。」(てきとー訳なので原文と見比べたりしないでね。絶対。絶対。)私、この曦光のセリフ“不,是曾经对你。”が大好きで大好きで一言でバシッと決める。すごいと思いました。「好き」の定義は人それぞれなんでしょうけど、大学時代の曦光には庄序の「好き」は感じられなかったんでしょうね。というか読者である私にも分からなかったくらいだし。庄序はというと「黙っていても気持ちは通じている。」とでも思っていたんでしょうかね?本文にははっきりとは書いていませんが、無表情で曦光の卒論を手伝ったり就職活動を手伝ったりしたことが彼にとっての愛情表現だったと思われます。しかしその行動時の彼は無表情、無感情すぎて、彼の想いは曦光には全く通じていなかったのです。あと、庄序は大学時代周囲の友達から容容とカップル扱いされてもノーリアクションを貫いて否定しなかったのよ(肯定もしていないけど。)。なぜ?というような状況下で、曦光に庄序の気持ちを気づかせるなんて、無理だったんですよね。特に曦光はちょっと鈍感寄りのお嬢さまなので庄序の内に秘めすぎた想いに気付くのは不可能だったと思われます。庄序くん。「就職して一流のステイタスを手に入れるまでは…!」と我慢せずに、学生時代に曦光の想いを素直に受け取っていれば普通に両想いだったのにね。「お金目当てで曦光と付き合ったと絶対思われたくない!」というプライドの高さが彼の恋の成就を阻みました。まあ、こういうこじらせ男子の庄序は、素直で人の心の裏を察することができない曦光と付き合っても最終的には上手くいかなかったのではないかと思います。やはり大きな愛で曦光を包み込んでくれる大人~な林屿森が曦光とはお似合いですね。そんな庄序くんは、10年後にやっと曦光への想いを断ち切ります(番外編でね)。本編での庄序くんがあまりにも気の毒だったので、番外編を読んで庄序くんの明るい未来がうっすらと感じられてほっとしています。作者顧漫さん、番外編を書いてくれてありがとうございます!