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ただの女形じゃないよ 同じ一階で見ていたお初も雪之丞が気に入ったようです。 お初 「惚れちゃったよ、本当に」 と言ったのを聞いて 闇太郎「えっ、おかしいや、・・江戸っ子姉さんが、上方役者に惚れるなん て・・」 お初 「いいじゃないかあ」 闇太郎「ああ、痘痕も靨に見えたってやつか」 お初 「違う、あたしの惚れたのは目だよ」 闇太郎「目?」 お初 「あの浪路の方ってえのを、ちっらちっらと見る目、ぞくぞくっとしたんだ よ。・・・ねえ闇の兄い、ありゃただの女形じゃないよ」 闇太郎もお初が思ったことを感じとっているようです。 闇太郎「そうかな・・、まっ、目に惚れて、肘鉄食って、酷え目にあいなさんな よ」 お初 「大丈夫、あたしゃ雪之丞に、もう目がないんだから」 二人はそんなやりとりをして芝居小屋をあとにします。 その夜、お初とムク犬の吉は、雪之丞が泊まっている宿に裏口から入っていきます。 二階では、雪之丞と菊之丞が・・・長文の手紙を読み、時節が到来したと話しています。その手紙は、娘の浪路を慰めてほしい、と土部三斎からのものでした。 菊之丞はこの手紙の招きを手掛かりにして土部に近づけばいい、焦ってはいけないと言い雪之丞が肌身離さず持っている懐剣を預かるのです。
二人の様子を外で窺っていたのはお初です。 「浪路の方の心をしっかりと掴むこと」だと言われ、「そんなあ・・・そんなこと・・」とためらっている雪之丞に、菊之丞は厳し調子で 菊之丞「あほやなあ、浪路の方さえ口説き落としたら、土部も、長崎屋も、広海屋 も、必ずお前の思うままになるがやな。・・・わかったなあ・・わかった か」 その頃、外の通りでは町方が走り回っていました。その脇を手に持った太鼓を鳴らしながらの大勢が長屋に入って行き、孤軒先生とお芳がいる家の前で止まります。その中に闇太郎の仲間の鉄心和尚と長次がいて、鉄心和尚に、闇太郎からの伝言を伝えます。土部三斎の屋敷へ行ってもうひと稼ぎして、土産を連れて帰るから、闇太郎の家で待っててほしい、ということでした。 続きます。
炎の城・・・(11) 2024年08月05日
炎の城・・・(10) 2024年07月29日
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