セガトイズのグランドピアニストが驚異的なスタートダッシュ
日経MJに見るマーケティングの戦略・戦術1080号に発売からわずか1週間、「大人向け玩具売れ筋ベスト10」で 2位となった、セガトイズの 「グランドピアニスト」について書かれてあります。(引用開始) まず、大人たちを引きつけるのが設計段階での徹底した作り込みだ。 商品の構想から発売まで2年近く。通常の2倍の時間を費やした。 本格的な外観にするため、ヤマハの協力を得て現物のグランドピアノを約6分の1の縮尺で忠実に再現した。 生産面でも妥協しなかった。中国各地をまわって信頼できる 精密金型工場を発掘。現場に付きっきりで技術指導にあたった。当初、ヤマハの担当者は音質にかなり厳しい評価を下したが、プロのピアニストにも意見を求め改良を重ねた。世界的な音楽家の葉加瀬太郎氏に選曲を頼んだ。 ●設計段階、生産段階で、 「そこまでやるの?」 というほどの徹底ぶり。結果、実勢価格45,000円もする玩具が飛ぶように売れています。 ●今は、「高くても本物なら売れる」という時代です。高くても売れるのは、それだけ買える人がいるということ。安っぽいと、ダメです。 ●しかし、当然ながら、とことん作り込んだのに売れなかった、という 結果に終わる可能性もあるわけで、GOサインを出すのにはかなり勇 気がいります。 ●実はこの点が、売れる商品を出せる会社と出せない会社を分ける大きな分岐点なのです。勇気が出るだけの材料を事前に集められるかがポイント。 ●セガトイズは、十分に市場調査をしたことでしょう。例えば、今回の売れ筋ベスト10で、10位に、リトルジャマーPRO というのが入っていますが・・・ ●これも音楽系の玩具です。「人形が動きながら音楽を演奏する」というもので、実勢価格52000円。(中略) こうした商品のヒットが、セガトイズが「グランドピアニスト」を本気で作る決断をさせたものと思います。 (引用終わり) 今の世の中ではそう高くない物の場合には大方の人は手に入れることが出来ます。その中で如何に財布の紐をゆるめるかがメーカーの腕の見せ所です。消費者が今期待しているのは何か。それを満たす商品を実現したのが今回の「グランドピアノ」だと思います。ピアノ愛好家、音楽愛好家のみならず、広く一般の消費者にアピールする商品だと思います。 何故それほど魅力のある商品になったのか。ちょっと考えてみたいと思います。まず、●作りが精密で本物に近い。●そこそこいい音がしている。●自動演奏だけではなく、自分でも演奏できる。●B4サイズとコンパクトで、どこにでも持ち運べる。●価格設定がよいなどでしょうか。 実物は見たことがありませんが、おそらく実物を見て感動した方たちが購入しているのでしょう。現在の商品は感動を与えなければならないとどこかで読んだ気がします。感動すると、価格を超えて欲しくなるものです。そして、この商品は、少し頑張れば買える価格です。実に消費者の心理をくすぐる商品だと思います。 サイズは、実際のグランドピアノの約6分の1です。一つの鍵盤が約4mmで、88の鍵盤のサイズはわずか210mm。クラシックからジャズやポップス等100曲が内蔵されています。別売りのカートリッジも用意されています。 和(JAPANESE)、居(LIVING)、食(DINING)癒(BAR)といろいろなシチュエーションでの提案も抜かりがありません。プライベートな場所だけではなく、本当のバーなどに置いてあるだけで雰囲気ががらっと変わるような気がします。どこかで置かないでしょうかね?? PCで確認しただけですが、音もこだわっただけはあると思います。 それに、葉加瀬太郎に選曲を依頼したところがミソですね。普通だとピアニストに依頼すると思いますが、事もあろうにバイオリニストに依頼しています。私だったら、よく名の知られたピアニストというと、矢野顕子とか坂本龍一(元夫妻)を思い浮かべます。矢野顕子はクラシックファンには受けが悪いと思いますし、坂本教授はちょっと年を取りすぎている感じがします。それに少し暗いです。そうなると、葉加瀬太郎は以外と合っているのかもしれません。知名度は抜群ですし、一応クラシックですし。なかなか考え抜かれた人選だと思います。 多分、リトル・ジャマーの成功に影響された企画ですが、二番煎じに陥らないこだわりがあり、それが売上につながっていると思います。 私もほしいです。安いところだと4万円くらいで買えますので、お手頃な値段ではないでしょうか。そのうち休みにでもトイザらスに行って実物を見てこようかと思います。追伸 次の休みの日に実物を見てきました。期待に反して硝子のショーケースに入れられていて、音を聞くことは出来ませんでした。作りはなかなか精巧に出来ています。金属フレームなんかかなりそれっぽいですし、側板の色つやもなかなかの物です。ただし、縮小されているので弱々しい感じは否めません。何という名前か知りませんが、ご丁寧に鍵盤の上に置く赤い布まで付いています。 全体的にはかなり健闘していますが、やはり価格相当だなという印象でした。これで音が出て鍵盤が動いていれば印象がずっと違うものになっていたと思います。トイザらスの陳列の仕方がいまいちというか、昔ながらのお店本位の陳列方法(ご多分に漏れず鍵がかかっていました)だったため、印象が弱まってしまったことが原因だと思います。これで買おうと思ったお客さん(私のこと)の印象を悪くしてしまいました。おまけに側板や鍵盤蓋に汚れが付いていて、もう少し気を遣ってほしかったと思います。ここの顧客は子供と(その親)ですから、致し方ないところもありますが。。。