カテゴリ:映画-アメリカ
このブログを復活させたいという希望は持っていたものの、なかなか筆を持てませんでした。 ほとんど毎日のようにDVDを借りてきては見ていて、それなりに感想は持つのですが、「これだ!」という映画になかなか出会いませんでした。 いや、出会ったとしても、自分の考えをまとめる事が出来なかったのです。 って、言い訳はこれくらいにして、何回目かの復活にさいして取り上げるのは「JUNO/ジュノ」です。 ストーリー 映画生活より 16歳のジュノは、バンド仲間のポーリーと興味本位でしたたった一回のセックスで妊娠してしまう。高校生が子供を育てられるわけがなく、ジュノは親友リアに「中絶するつもり」と報告するが、中絶反対運動中の同級生に「赤ちゃんにはもう爪も生えているわよ」と言われ、産む決心をする。 続きを読む・・・ 一緒に見ていたカミさんは、冒頭の数分を見ただけで「もう、見ない」と言って自分の部屋に引き上げていった。おそらくカミさんは、主人公ジュノの態度が許せなかったんだと思う。主人公のジュノは16才で興味本位にセックスをし妊娠する。高校生であるジュノに育てられる訳はなく、「中絶」することで決着をつけようとする。カミさんが「なんと刹那主義で無責任だ」と怒っても、致し方ないこと。日本では「許されない」ことである。 だが、物語の舞台はアメリカ。妊娠検査薬が、堂々とコンビニで売られている国である。16才の高校生が、中絶するための電話予約を「自分で」病院へする国である。日本的倫理観をどうこう言ってもはじまらない。ましてや、親子の関係も、日本よりずっと個を大事にしている。里子に出す決心をしたジュノの気持ちを尊重する父親。胎児の検査の時の、義母のジュノを守るための啖呵。それぞれを一人の人間としてとらえ、容認し祝福する。 こういう環境だったからこそ、ジュノは妊娠・出産という出来事に自分で責任を取ることを決めたのだ。セックスの相手ポーリーに、「あなたとはセックスしただけ、責任取れなんて言わないわ」と決意を伝える。しかし、ジュノはまだ16才である。休日の計画を話すポーリーに「得だよねえ。あなたの体にはやったって言う証拠はのこらない。私はこんなだよ」と悪態をつく。揺れ動く気持ちの中で、ヴァネッサと離婚するというマークの言葉を聞いてジュノはさらに落ち込む。 その中でジュノは「始めて我が家の居心地の良さを感じた」のである。 ジュノの奔放でクールな性格も、この家族の中での愛にあふれた関係だからこそ生まれたものなのだ。 ラストシーン 出産を終えたジュノの頭をなでながら父親のマックが言う。「またここに来る日があるさ。我が子のために」と。マックからジュノに向けられた慈愛に満ちた言葉は、やはり愛の原点は家庭、家族であると教えているのだ。同時に、これは日本社会への警鐘とも受け取られるのである。なにか「自由」と「愛」を間違って捉えていませんか、と。 最後に。 このジュノの役をやったエレン・ペイジ、ものすごく良かった。揺れ動く16才の心、内側の葛藤と外側のクールさを見事に表現していて、見ていてここち良かった。また、全編に流れる音楽も、最高の部類にはいるのではないか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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