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テーマ:サッカーあれこれ(20134)
カテゴリ:音楽・スポーツ
猛暑の続く日本とは正反対のような、少し肌寒いドイツ、フランクフルトで幕を開けた女子ワールドカップ。約5万人の大観衆がひしめく会場の雰囲気に臆する事もなく、なでしこジャパンの快進撃は始まった。 ヨーロッパ勢が群雄割拠するサッカーにおいて、アジア勢がそこに名を連ねる事は男子サッカーでも至難の業であり、ましてや世界の頂点に立つ事など『夢のまた夢』であると思っていた。しかし、それを現実のものに変えてしまった日本女性たち。 前回の覇者であるドイツを準々決勝で下し、勢いに乗ったチームは準決勝で強豪のスウェーデンを撃破。メダルが確定した時点で充分過ぎる活躍と成績を残していたから、決勝でアメリカに敗れても悔いはないだろうと思っていたが、それは大きな間違いであった。 ボール一つを奪い合うサッカーは危険なスポーツの代表でもあり、身体と身体が交差しぶつかり合う様は格闘技と言ってもよいほどだ。 体格だけを取ってみれば、ふたまわりも上の白人選手の方に分はあるが、それを上回るコンパクトなドリブルとパスの連続はボクシングに例えてみれば『ジャブ』そのものである。「ジャブを制する者に世界は見える」と言われるように、なでしこJAPANをここまで成長させて来たものは、サッカーの基本に忠実であったからだろう。 基本の積み重ねこそがスポーツの原点であり、世界に最も近い場所である。類まれな動物的直観と最後まで勝負に拘る信念を持ち合わせていた彼女たちだから達成出来た世界一。 試合開始直後からアメリカの執拗な猛攻を耐え忍び、そして掴んだチャンスは絶対ものにするという貪欲なまでの勝負勘には脱帽するばかりだ。 1対1で迎えた延長前半で、ワンバック選手の放ったヘディングシュートが日本のゴールに突き刺さった時、『万事休す』もはやこれまでと諦めてしまったファンは多かったと思う。 しかしそれは彼女たちの劇的なドラマの始まりであった。残り時間が押し迫る後半にその瞬間はやって来た。 キャプテン澤の同点ゴールは足の長さで上回るアメリカ選手の隙を掻い潜るように、一瞬早く放った技ありキック。この時点で勝負は付いていたように思えてならない。 PK戦でゴールを大きく外したアメリカ選手の天を仰ぐ虚ろな表情が全てを物語っていた。世界王者のアメリカにとって、日本に負ける訳がないと言う思い上がりがあったかどうかは別にしても、負けられないアメリカと胸を借りるつもりで試合に臨んだ『なでしこジャパン』がアメリカを相手に正々堂々と実力で勝ち取ったW杯であった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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