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吾が輩は野良猫である

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2013.06.05
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カテゴリ:ペット

 

IMG_0009.JPG

 

 脳梗塞で救急搬送された時、愛猫である「タラ」の事を考える余裕など全くなかった。病室に移され病気の経過報告などを聞き、九死に一生を得た安堵感で緊張の連続だった表情に漸く笑みが戻った時、初めて家に残して来た「タラ」の事が脳裏を過った。

 今回だけでなく、過去に数回入院の事態に陥った時、知り合いに預かって貰った事もあったが、そう何度も頼めるものではない事を薄々感じ取ってはいた。心不全になり掛けていた時、猫がいる事を理由に入院を自ら断った事もあった。

 「猫と自分の身体をとどちらが大切ですか?」と、主治医からお叱りの言葉を頂いた事もあったが、「自分の身体が一番です」と即答する事は出来なかった。

 わたしにとってみれば「タラ」は家族も同然である。それはおしなべて猫や犬や鳥などの動物と一緒に暮らしている者であれば納得頂ける筈である。

 とは言うものの、脳梗塞と言う一刻一秒を争う緊急事態が発生した時は、理屈抜きで我が身の事が最優先される。二日三日家を留守にしたところで、インコなどと違い猫はそう簡単にくたばるものではないだろう。

 猫と二人暮らしだった状況で、いざと言う時に頼れる者が近くに居てくれると心強いものである。幸いわたしには東洋大学に通う娘がいたので、落ち着いた頃に娘にメールをし、「タラ」の面倒を見てくれるよう依頼した。

  たまたま娘が通う大学は都営三田線の白山にあったので、学校の帰りにわたしの住む西台(同じ沿線)に寄って餌と水とトイレの世話をして貰う事になった。最 初の数日はそれでよかったのであるが、娘は「タラ」を自分のアパートに連れて行く事を思い付き実行しようとしたのであるが、ペット用のバッグに「タラ」を 入れて運ぼうとした時、流石に住み慣れた家を出る事に不安を抱いた「タラ」が余りにも鳴いて訴えたため、娘はそれを断念し、途方に暮れながら「連れて行け ない…どうしよう」と母親に涙ながらに電話で訴えたそうである。

 タラがわたしと住むようになったのはわたしが離婚した5年前の事。本来であればタラも前妻や子どもたちと一緒に新潟へ行く手筈だったのだが、どうしても猫を飼えない理由があったため、わたしが引き取る事になった次第である。

 現在は元妻のもとでヌクヌクと何不自由なく愛情を惜しげもなく受けて幸せに暮らしているようだ。

 然し、退院して自宅に戻ると、いる筈のタラがいない事を痛切に実感した。鳴き声を聞くことも出来ず、抱きしめて頬ずりする事ももう出来ないのである。僅か一匹の猫がいなくなっただけで寂寞とした思いに駆られ、それに慣れるまで相当時間が必要だったのは確かであった。

 タラがいなくなったからと言って、もうペットの話題に触れないと言う訳ではない。約8年間のタラとの思い出は数多くあり、これからも折をみて記事にして行きたいと思う次第である。






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Last updated  2013.06.06 22:25:36
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