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Her's(ハーズ)奮闘記!

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2014年07月16日
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カテゴリ:主に医療者向け

史上最大級の台風の通過と共に、ようやく、夏がやってきました。

相変わらず、マメな更新が出来ませんが、、

まぁ、それもこのブログの個性として、大目に見てやって下さい(^^;;



さて。

現在も、様々なタスクに追っかけまわされて

ブログの更新は、優先順位的にはかなり後回しになっていたのですが

ちょっと、思うところがあって(己の首を絞める行為と知りながら。。。)

お話ししてみたいと思います。



先日、とある患者さまが、私の経験上、類を見ない症状の急変を遂げられ

どう頑張っても、私ではその原因究明が出来かねる為

専門医への受診をお勧めした結果、想定外の事態が発覚し、すぐに精査となりました。


これまでにも、通室されている患者さまに異変が生じた際には

速やかに協力医やかかりつけ医、専門医への受診を促し、なんとか大事に至ることを回避してきましたが

今回の出来事は、これまでに経験したことのないタイプのものでした。


幸い、患者さまのご決断も早く、早期発見となったのでホッとはしたものの

想定外の事態が発覚したことに、本当に怖くなります。あとから背筋がゾクリとします。





もし、自分の判断が誤っていたら、或いは決断が遅れていたら


どういう経過・結果になっていたのだろうか?






私は、独立営業している理学療法士です。

しかも【リンパ浮腫に特化】したサロンを営んでいます。

隣接するクリニックにご協力を頂いて、必ず現病歴と既往歴、禁忌のチェックをお願いしています。

患者さまは、基本的に【リンパ浮腫】と診断され、処方箋を受けて来室されます。

その上で、カウンセリングに始まり、各種ケアをご提供していく訳ですが

リンパ浮腫に特化して、尚且つ処方箋を発行して頂いていても、このような“想定外”が起こるのです。


リンパ浮腫は、国内ではその発症原因の約9割が

がんの外科手術後の後遺症(リンパ節郭清)

と言われています。

つまり、Her’sに来室される患者さまの殆どが、原疾患としてがんを背景にお持ちなのです。

ひとくちに「がん患者」と言っても、術後数年経過して、全く健康に過ごされている方もあれば

術後日も浅く、放射線や化学療法の治療(通院)中の方もいらっしゃいます。

そして、いわゆる終末期に差し掛かっている方も、多くはありませんが対応させて頂いています。

まさに治療中や、終末期の方については、もちろん殊更に注意が必要ですが

健康に過ごされている方であっても、油断はできません。

患者さまご自身が一番気に懸けていらっしゃいますが、いつ何時、転移や再発が起こるやも知れないからです。



今回のようなケースは、そうそう頻発することはありませんが

だからこそ、余計に気を付けないといけないのです。

頻発するのであれば、常に気を配って身構えているでしょうが

そうそうないから、「まさか」と、見落としてしまうことが怖いのです。





以前から折に触れて、理学療法士の「起業ブーム」について触れていますが

この度、改めて【医師との連携】の重要さを実感しました。

理学療法士が「整体院」「ボディコンディショニング」などの名称で

独立して事業を営むことが増えてきました。

長らく叫ばれている、職域拡大のことを考えると、そのこと自体は非常に建設的だと感じています。

保険に頼らず、自費対応で営業することは、職能の自立にも繋がりますし

対象者に、自費でもそのケアを受ける価値を認識してもらうように働きかけることは

事業を成り立たせていく為に、知識と技術の研鑽が不可欠になりますから

職種としての責任感の自覚と、スキルの向上が望めますし

ひいては、健康寿命の延長にも寄与できる可能性があり、良いことずくめのように思えます。


但し。


それは、あくまで



理学療法士としての分を弁えた上で



という大前提に基づくべきだということを、一体どれほどの起業家が自覚、実践しているでしょうか。



私のように、がんの術後の後遺症ということを十分理解した上で活動していると

当然のことながら、問診票には原疾患であるがんにまつわる項目も用意しており

処方箋や診療情報提供書のみならず、自己申告においてもなるべく正確な情報収集を心掛けています。

(リンパ浮腫に係る当該疾患だけでなく、既往歴として別のがんの既往があるケースもあります)

出来る限り周到に準備していますから、患者さまも積極的にご協力下さいます。


しかし「まちなか整体院」的な立ち位置で、腰痛や肩こりに特化したサロンなどで

どれほど厳密な、問診をはじめとする情報収集を行っているのか?

残念ながら、私はその実態を知らないので、いたずらに言及は出来ませんが

リスク管理に重きを置いて、適切な対応をされているところも当然あるでしょうが

このブログを読んで、ヒヤッとしている起業家もいらっしゃるかも知れません。

あくまで勝手な憶測ですが、そういったところで、問診票に記入する場合

対象者さまの自己判断で、重大な事項の申告漏れが生じる可能性を危惧します。

医療の色合いがさして濃くないほど、その「お手軽感」が致命傷になるのではないかと。


だから、腰痛や肩凝りに特化してるんだ、という主張があるかも知れませんが

腰痛や肩凝りほど、“クセモノ”はない、というのが私の感覚です。

不定愁訴とも言える側面を持つだけに、本当に、顕在化しているものだけで判断しても良いのだろうか?と。

少なくとも、私は怖くて絶対に出来ません。

小心者で結構、迂闊な判断で、患者さまの人生を狂わせる可能性は極力避けたいですから。

だってね、患者さまが、実はそれが物凄く重要なキーとなることを知らずに

何らかの既往歴の自己申告をされなかったばっかりに

命にかかわることや、重篤な障害を負うような事態に発展してしまったら

いったい、誰が、どうやって、責任を取るんですか??

そこまで考えたら、医師との連携もなく、単独で患者さま(対象者さま)と関わることが

どれほど恐ろしいことであるか、想像がつかないのでしょうか。


理学療法士の開業権獲得を切望する声も、聞かれるようになって久しいと感じていますが

それは、とってもとっても身の程知らずなことであると、私は思っています。

何故なら、開業するということは、あらゆる疾患、障害に精通していて、あらゆる事態を想定し、

あらゆるリスク管理を【単独で】適切にこなせることが求められる筈だからです。

「あらゆる疾患」というのは、当然、理学療法士が日頃よく関わるものばかりでなく

例えばがんであったり、産婦人科領域であったり、比較的縁の薄いものも含みます。

仮に、腰痛を訴える患者さまがあって、その時点で得られる情報から

理学療法士としての知識と経験を駆使して、何らかの治療(のつもり)を行った結果

実はご本人も気付かず妊娠状態にあり、その行為のせいで流産してしまったとしたら。。。

産婦人科領域にある程度以上通じていて、そういった可能性を予見することが出来れば、

決して支障をきたさない範囲で、アドバイス等の指導を行ったり

然るべき診療科(この例では産婦人科)に受診を促すことも出来るでしょう。

例として産婦人科領域としましたが、現実にはありとあらゆる疾患の確固たる基礎知識(+α)が必要です。

開業権を与えられている海外諸国では、それ相応の高度な教育が整備されていると聞きます。

今の日本の教育制度ではどうでしょうか?

いささか大袈裟な喩えだったかも知れませんが

ここまでの根拠と覚悟をもって「開業できる」否、「開業を許される」理学療法士は

今の日本の現状で、本当にいるのでしょうか。





ここでひとつ、大きな誤解がありがちなのでお話しします。

もし、全くの無資格の民間人が、〇〇療法とか、〇〇治療院、などを経営していて

患者さまに何らかの不利益を与えてしまうとします。

そして、理学療法士が経営するところで、同様に患者さまに不利益を与えてしまうとします。

私は、刑法や民法などの法律に明るい訳ではないので、具体的なことは言えないのですが

ものすごく砕けた表現をすると



有資格者のケースの方が、はるかにタチが悪い



ということを、ご存知でしょうか。



民間人の場合、それを厳密に拘束する法律が無いので、「治療院」の開業は、基本的に自由です。

ところが、我々理学療法士には、理学療法士及び作業療法士法という、我々の身分や行為等、

様々な取り決めとそれを取り締まる法律が存在しています。

その中で、いわゆる「開業」は認められておらず、独立営業は厳密には違法(=罪に問われる)となるのです。

つまり、何とも釈然としないところではあるのですが、独立営業している時点で、

民間人はフリーなのに、我々はアウトなのです。


ちなみに、Her’sは“法の解釈”により、そこに記載されている「医師の指示のもと」に従って

最低限のルールを順守(協力医より処方箋を発行して頂く)するというかたちを守っています。

そこが、自分なりの正当な根拠であり、プライドであり、そして責任です。





う~ん、今回、一気に、ものすごく長くなってしまいましたが。


まとめるとですね、、



我々【理学療法士】は、その身分や立ち位置を正しく理解し

自己の力量を過信することなく、免許された範囲を逸脱することなく

職務を全うしなければいけないよ、という、当たり前のことなのです。




独りよがりのせいで、周囲に迷惑をかけたり

まして、患者さまの不利益となるようなことがあっては、絶対にならない、

ということなのです。






またもや、老婆心炸裂ですよー。

でもね、誰かが言わなきゃ、わからないことってありますから。

最後まで読んで下さった方には、どうもありがとうございました。











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最終更新日  2014年07月16日 20時23分30秒
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