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むか~し、むかしの話じゃ。 宮川村に庄助という正直者がおった。 この庄助、長者様のところで働いておったが、長者様にはな、立派なこがねの仏様があったんだと。 ある日庄助が山で芝刈りをしておると仏様の姿に似た木の株が転がっておった。 「あれ、もったいなや。ずっと新人したいと思っておったが、有難いさずかり物じゃ。」 といって三度のお供えするほど大切にしたんだと。 あるとき、長者様が、 「いつもよう働いてくれるで今日は休んでごちそうじゃ。」 といわれてな、皆は大喜びじゃ。 庄助もご馳走を木仏様にお供えしようと運んでおると、長者様がわけを聞かれてな、庄助は、 「だんな様のように立派な仏様じゃねぇが、おりは木株の仏様を拝んでおります。今日はごちそうじゃからお供えしようと思いまして。」 と答えた。 あきれた長者様は、 「木株を拝んでおるとはなぁ。そうじゃ、名案を思いついた。ひとつわしの金仏様とお前の木仏様で相撲でもくませてみるか。お前が勝てばわしの全財産をやろう。わしのほうが勝ったらお前は一生奉行するんじゃ 。」 といわれたんじゃと。 気のいい庄助はこりゃ勝っても負けてもこわいこっちゃと木仏様をしょって逃げ出した。 しばらく行くと背中の木仏様が、 「どれひとつすもうでもとってみるか。」 といわれてな、ひょっと背中から降りるとしこをふんでござる。 庄助は、もうびっくり仰天、すっかりやる気の木仏様にしかたなくいざ勝負ということになった。 「はっけよーい、のこったのこった。」 さすが金仏様じゃ、つっぱりでせめたてるといっきに投げにはいったが、木仏様も負けてはおらん、むんっ!!とふんばるとうっちゃりじゃ!!なんと木仏様が勝ってしもうたんじゃ。 すると長者様も立派な男じゃ、いさぎよく金仏様をしょって出て行かれたと。 そして途中、 「仏様なんであんな木仏なんぞに負けやした。」 と尋ねると、 「年に二、三度しかメシを食っとらんわしなんぞ肝心なところで力が入らん。いくら着仏でも三度のメシを食っておれば負けるわけなぞねぇ。」 といわれたと。 ごもっとも。 おしまい
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Last updated
2012.06.22 11:41:16
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